昭和レトロな精工舎目覚まし時計を修理しています | 路地裏の骨董カフェ

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アートとふるもの好きが嵩じて、明治、大正、昭和初期のインテリアや雑貨を取り扱う古物商を始めました。また、古時計や蓄音機などを中心に修理・調整をしています。
引き続き情報交換をお願い致します。

11月も半ば、戸外は紅葉が🍁どんどん進んでいますが、時計の修理の日々を送っています。
最初は、思い出の目覚まし時計なので、なんとか修復をとご依頼のあった、昭和20年〜30年頃の精工舎の目覚まし時計です。
この当時の文字板は、塗装が剥離して細かい亀裂が入りやすいですネ。亀裂が広がる前でしたら、表面保護剤で落ち着かせてそのまま使えるんですが、ここまで亀裂が入ると文字板を生かして使うのは難しいです。
戦前の目覚まし時計でしたら紙文字板でも違和感がないのですが、戦後の時計はやはり塗装がスタンダードですので、今回は新たにジャンクから部品を転用する事にしました。運良くネットでジャンク部品を入手する事ができました。

全く同じ数字ではありませんが、作られた年代がほぼ一緒なので、仕上がりに違和感が少ないと思います。
機械は、オーバーホールする事として分解しました。


ブラシでゴシゴシ丁寧に汚れを落としました。
何度もメンテナンスをしてきた時計のようですので、機械の状態は比較的いい方です。
分解してみると、更に不具合がありました。
目安針を動かす棒がつまみの根元で折れています。更につまみもありません。
こちらも入手したジャンクから転用できました。
下の方が折れた部品です。


洗浄が終わったら、乾燥したら組み上げです。

さらに、テンプの振りに元気がありませんので、芯を研磨しました。



文字板をつけて、目覚まし時計のベルの鳴る設定を調整しました。
全体を組み立てたら完成です。



つまみも、幸い合う部品がありましたので、不具合は全て解消されました。
現在機械やベルの状態や精度の調整をしていますが、日差2分以内に追い込めそうですので、完成も間近です。

次は、昭和初期頃の精工舎ビー目覚ましのベルの修理です。アンソニアの小型目覚まし時計をミツバチと同じBEEと言う名前で売ったところから、ビー目覚ましと呼ばれるようになったそうです。


不具合は、星の形をした、ベルを鳴らす歯車部品のザラガンギ車の真が折れたようで、他のジャンクから部品を調達して、新しい部品と交換しました。


また、ベル用のゼンマイもありませんし、ベルを叩く撞木もありませんので、撞木は裏ビー目覚ましの部品を転用して作る事にしました。


左が純正部品ですが、右が裏ビー目覚ましの撞木を加工したものです。ちなみに、裏蓋をベルとして叩く小型の目覚まし時計を裏ビーと呼びます。





こちらも、精度の追い込みの調整をして、もう少しで完成といったところです。
ビー目覚まし時計も、時代によってデザインが少しずつ違うのですが、これは後期の形のようです。
ご依頼の時計の修理もなんとかお渡しできる一歩手前まで来ました。もう少し様子を見たいと思います。