久しぶりにタイガー機械式計算機をメンテナンスしました | 路地裏の骨董カフェ

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久しぶりにタイガー機械式計算機をメンテナンスする事にしました。
資料で調べると、昭和24年から製造された、連乗式20号と言う製品のようです。
おそらく、機械式計算の中でも一番大きいのではないかと思います。
当時の値段で2万8000円、ほぼ、当時の大卒に初任給に匹敵する高価な計算機でした。
主に、官公庁や大企業、建築設計業など、複雑な計算をする場で活躍したそうです。
昭和39年にトランジスタの電卓が登場すると、活躍の場を奪われ、姿を消しました。

桁のリセットバーは、回転しましたが、桁の動きなど硬い感じで、油も切れており、清掃メンテナンスが必要です。汚れた0が見えなくなっています。

窓もたくさん開いており、ゴミや埃が入りやすく溜まり安い構造です。

掃除機で刷毛を使って大まかに、チリや埃を吸った後で、パーツクリーナーで油と汚れを落とし、さらに歯ブラシで、奥の細かな汚れも洗浄して落としました。



汚れで、消えていた文字も綺麗に復活しました。
歯車や回転する部品に、オイルを塗布して稼働を調整しました。


底側の桁送りの部分も、汚れを落としてこちらも注油しました。
外側のカバーは、塗装の剥げも余りありませんでしたので、炭酸ソーダでタバコ汚れも一緒に洗浄し、乾燥後組み上げました。



綺麗になりました。
稼働もスムーズになって、加減乗除の計算ができます。
と言っても、割り算は、ちょっと勝手が違うので、理解に時間がかかります。
これで、戦後の高度成長期のビルなどの構造計算など複雑な計算をこなしていた聞いています。
タイガー計算機の創始者大本寅次郎が考案し、特許を取得した、日本生まれの計算機で、日本の復興を計算で支えた縁の下の力持ちのような機械ですネ。
今では、産業遺物となってしまいましたが、アンティークブームの中で、インテリアとしても存在感を放ちます。
今回も稼働が軽くなりきっちり復活しました。
大正期から昭和20年代頃まで、黒いボディーの機械、扇風機やタイプライター、ミシンなど、みんな、黒モノで、この手回し計算機もそうですが、似たような魅力があります。