米国・カリフォルニア州の経済規模が日本を抜いて世界4位になったそうだ。 カリフォルニア州によると、GDP=国内総生産に相当する州の経済規模が去年、4兆1000億ドルに達したとのこと。 日本の経済規模は4兆200億ドルであることから、カリフォルニア州単体でも日本を上回り、アメリカ、中国、ドイツに次ぐ世界4位に相当することになる。
半世紀近く前だろうか。我が国は世界屈指の経済大国であった。世界第二位のGDPは言うに及ばず、一人あたりでも米国を凌いでいた。文字通り『Japan as Number One』の時代である。それがこの体たらく。人口(3953万人)で日本の三分の一にも満たないカルフォルニア州にまで抜かれてしまうとは。しかもこれで終わりではない。インドやブラジルには間もなく、そしてASIAN諸国がその後に迫る。僅かな期間でここまで凋落するとは、一体、誰が想像しただろうか、
一方、世界各地に蔓延する右傾化の波はとどまる所を知らない。若者だけではない。欧米では比較的リベラル派とされる高齢層をも浸食。そして、国粋主義と外国人排斥を旗印に、これまでにない速さで支持を拡大している。あのドイツまでが徴兵制復活の動きにあることからも推して知るべしであろう。
欧州各国は(旧を含め)数多くの植民地を抱える。それだけに流入も桁違いに多い。貧困や内乱に喘ぐ母国に留まるより何十倍も稼げることもあって総人口の半数近くを移民が占める国さえ珍しくない。確かに仕事は奪われるかも知れない。だがそれだけではない。底辺を担うことで一国の経済にも大きく貢献しているのも事実だ。最も顕著なのは生活を下支える分野である。
欧州でも日本と同じく、メイド(家事や育児、身の回りの世話を代行する仕事)や介護職は、誰も就きたがらない職業の代表格とされる。こうした分野を担っているのがアラブやアフリカから流入した移民だ。その数、全体の75%から90%を占め、今では彼(女)らなくして成り立たない状況にある。移民排斥を唱える急先鋒であれ、こうした職種に関してだけは門戸開放の隠れ促進派というから、なにがどうなっているやら。
日本の場合はどうか。1980年から90年代にかけては、本国の5倍も10倍も稼げるとして南米の日系人のみならず、中国や中東などからも続々と入国して来た。違法就労の問題があったにせよ、それも今は昔、いつの間にか逆転してしまった。
《参考=各国の給与ランキング》
(OECDデータより)
日本にやって来たところで扱いは技能実習生である。あくまで人手不足を補うだけの臨時雇いに過ぎないことから国籍の取得など夢のまた夢でしかない。景気次第では追放される運命にあるのだ。手取り月収にたるや10万円にも届くかどうか。家賃に光熱費、それに物価高騰の中での生活費と、仕送りなんてとても出来ない。しかも成長率著しい本国(の給与)にも抜かれつつある哀れな現実。ボランティアではない。わざわざ極東の島国まで出向かなくとも稼げる国は幾らでもあるのに。
〈1人当たりのGDP世界ランキング〉
1980年後半から2000年代にかけては、ブラジル、ペルー(日系人)が多く、中国、イラン、タイ、フィリピンといったアジア各国がこれに続いた。そして、ネパールやミャンマー、バングラデシュである。こうした国々とて成長著しい以上、これからも来てくれる保証はない。もしや『2030年問題』を待つまでもなく、日本の若者の方が逆に、こうした国々へと向かうのではなかろうか。
❋2030年問題=昭和30年代の初め、各家庭に備わる文明の利器は、裸電球にラジオ、自転車位なもので、この日本も世界の最貧国の一つであった。それが、東京五輪を経た昭和40年代には、カー、クーラー、カラーテレビの時代になり、僅か10数年の間に世界屈指の先進国である。近年、同様なケースは世界各地で起きており、この先はこれまで以上に新興国の躍進が見込まれることから勢力図も一変すると見られている》
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2040年には世帯主が65才以上の高齢者世帯は全体の44.2%(2242万世帯)まで拡大し、単身者世帯だけでも1994万人と、全体の約4割を占めると予測している。この内45%(896万人)は65才以上の高齢者である。
やがて、この国は身寄りのない単身高齢者だけで1千万人に達する。それも10人に4人が非正規就労(派遣社員)とされる中高年世代だ。家族はいない。親族もいない。ならば、財源と介護士不足から全額自己負担になるであろう介護などは受けられるはずもなく、永田町が目論む三親等介護責任の対象にすらならない。
有識者会議では、必ず「人口減少の社会でも持続的成長は可能」とし、しかも「人口半減であれ再分配率の高まりで、より豊かな社会を構築できる」との結論に至る。だがそれも人口構成(ピラミッド)が健全であっての話だ。
やがて人口1億人の半数近くが65才以上の超高齢化社会に突入する。そして6千万人の4千万人が、3千万人の2千万人が高齢者によって占められる社会へと移行してゆく。高齢化率を改善しない限りは悪化するばかりなのだ。それでも『再分配率の高まりで豊かな社会を構築できる』と言えるのだろうか。
【激減する人口に反して急増する海外移住の乖離。これでこの国は大丈夫だろうか】
出生率1.0は1世代での半減を意味する。我が国の合計特殊出生率(1.20%)は限りなくこれに近い。いや、いずれ割り込んでしまうだろう。単身世帯のみならず生涯未婚率までが急上昇しているのだ。ならば1世代での半減では済むまい。移民も流入を心配している場合ではない。こうした中でさえ急増する流出にこそ歯止めを掛けねばならないのに。もし欧米に習って移民排斥に賛同するなら日本人の海外移住にも異を唱えて欲しいものだが。