【住宅余りでも稼げる裏技】
CMでお馴染みの『リースバック』が認知されて久しい。売った家にそのまま住めるなんて夢のような話である。しかも、売却で得た資金は、老後の蓄え、子や孫の教育費、旅行に買い物といったように何に使っても構わないんだとか。でもこれって大丈夫なのだろうか。どこかに落とし穴はないのだろうか。不安材料は“家賃”だけではない。そこに潜む負の社会的事情なのだが。
〈増え続ける住宅余りの現実〉

(画像はネットから借用)
長年、我が国の資産価値は土地建物といった不動産が大きなウェイトを占めてきた。だから資金繰りでも、いの一番に『不動産を抵当に』が求められた。そう最大の担保だったのだ。だがそれも昔話。少子高齢化に伴う『住宅余り』が、こうした“常識”を一変させることになる。これだけ廃屋銀座が拡大したのでは資産価値どころではない。それも郡部だけでなく大都市圏にまで及んでいるから始末が悪い。最早、不動産は資産ではなく『窮極の負債』なのである。
困ったのは金融業界も同じだ。都心や再開発の進むエリアだけはバブル状態にあるものの、それ以外の地域は見る影もない。至る所に軍艦島が誕生しつつある現実。これでは、不動産を担保に貸し付け、その金利を元手に再投資するといった本来の事業構図すら崩れかねない。さあどうしよう。何か名案はないだろうか。こうした中で思い付いたのがリースバックだ。
これまでなら貸し付け金が焦げ付いたところで担保(土地家屋)があった。それが二束三文では目も当てられなくなってしまう。だがリースバックは違う。家賃として入ってくるのだ。居住する限りは永遠に。結果として無価値な物件を保有する羽目になったにせよ、それ以上に稼がせて貰えることから、メデタシ、メデタシといったところか。
だが問題も。借り入れた場合の返済利息と家賃との差異だ。家屋を担保に1500万円を借り入れたとしよう。現在の利息制限法(年利15%)からすれば返済額は年間225万円、月々なら約18万円といったところか。それも完済で満了である。無論、我が家を失うこともない。対して、リースバックには制限がない。査定額の低さから(月)10万円で済んだにせよ合算となるとどうか。振り返れば『大損』なんてこともあるのではなかろうか。
悪質業者の介在だってないとはいえない。価値以上の家賃を要求されるケースだ。1000万円の売却で家賃15万円を払わされたのでは堪ったものではない。利息とするなら年利は18%にも相当する。これぞ、法の抜け道であり、○○のテクニックでもある。バブル全盛期、住宅展示場では『モデルハウス売ります』が盛んに行われだが、これと同じで『隠れ○○』と見られても仕方ないと思うが。ともあれ『美味しい話には裏がある』のでくれぐれも御注意を・・。
《参考/過去記事》
《モデルハウス“廉価でお譲りします”は究極の裏技》
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《余談》
【禁断の領域に入った出生数】
今年もまた驚愕の出生数が明らかになった。厚労省の発表によると去年(2024年)1年間に生まれた子どもの数はおよそ68万6000人。合計特殊出生率も1.15まで下がってしまった。これは(政府の)従来の予測より15年早い。愚生も、2017年以降の『日本の寿命はあと90年』の中で「このままなら2030年までに70万人割れが現実味を帯びる」と書いて少なからず「有り得ないことだ」としてお叱りを頂戴したが、これをも上回ったことになる。100万人を割ったのは2016年のことだ。僅か8年で30万人を超す急降下。正に『禁断の領域』である。
〈出生数の推移2025〉
一方、去年1年間の死者数は前年から約3万人増の160万5298人。死者数から出生数を差し引いた減少幅も91万9237人と過去最多になった。出生率の1.0は一世代毎の半減を意味する。そして永遠に続く。最多層(団塊世代)がいなくなったところで何も解決しない。出生率が改善しないことには悪化するばかりなのだ。想像して頂きたい。出生数が、20万、10万、5万人と氷解し続ける世界を。しかも高齢化率はそのままに。これでは『あと90年』どころではない。『日本の寿命はあと60年』に書き直さざるを得ないかも知れない。