【えっ!!日本列島が危ない?】
漫画から生まれた『7月巨大地震説』が波紋を呼んでいる。日本だけではない。アジアのみならず欧米のメディアまでが取り上げ始めた。発端は、たつき諒氏の『私が見た未来』にあるという。1999年に書かれた作品だが、この中に東日本大震災を描いた内容が登場し、それも『2011年3月』まで一致しているとか。創作は『予知夢』に基づくものらしいが、ここまで的中するのも珍しい。メディアからしても飛び付きやすい題材なのだろう。
しかもこれでは終わらない。この夏にも『大地震と大津波に襲われる』といった噂が海外でも拡散し始めた。出処はやはり、たつき諒氏の漫画(↑)である。2021年7月の続編『私が見た未来.完全版』の中で「本当の大災難は『2025年7月』にやってくる」と明記したのだ。単なる創作であるならここまで騒がれることはないだろう。だが前作が前作だけに始末が悪い。また「当たるのでは」といった不安だけが増幅されてゆく。
追随組?もまた然り。香港では著名な風水師とされる七仙羽や李居明の発言が追い打ちをかけた。この中で七氏は「4月から暫くは日本に行ってはならない」といい、李氏も「最大の災難が迫っている」として警鐘を鳴らす。但し、こちらは9月以降を含むものの、いずれにせよ現地メディアで連日大きく取り上げられていることから文字通り鬼哭啾々の様相にあるとか。
こうした影響は心理面だけではない。経済への影響だって計り知れない。既に、キャンセルが相次いでいることで一部航空路線は減便を余儀なくされ、ホテル業界にも及んでいるというから由々しき事態でもある。観光客の動向次第では景気そのものまで悪化させてしまうのだ。かつて、お騒がせ相楽正俊氏の『富士山大爆発』が話題になったが、その比でないところが恐ろしい。
《参考》日本で発生した大地震〉
では一体、どれくらい信憑性があるのだろうか。本当にこの夏に発生するなんとことはあるのだろうか。あくまで参考ながら過去に発生した巨大地震から考査してみよう。
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★過去の巨大地震
★7月発生の南海トラフ型巨大地震
〈〈M8超のみ〉〉
★684年11月26日、白鳳地震、M8.0~9.0
(東海と東南海地震が連動。土佐に津波襲来、田畑12平方キロが海没との説も)
★887年08月22日、仁和地震、M8.0~8.5
(東海、東南海地震と連動か。五畿七道、京都で被害甚大)
★1096年12月11日、永長地震、M8.0~8.5
(東海地震だが、東南海、南海と連動した可能性大。駿河や伊勢にかけて甚大な被害)
★1099年02月16日、康和地震、M8.0~8.5
(大和や摂津に被害。土佐では田畑水没の記録あり、津波も)
★1361年07月26日、正平地震、M8.5
(摂津、阿波、土佐で被害顕著。東海、東南海地震と連動した可能性あり)
★1498年09月11日、明応地震、M8.2~8.4
(東海、東南海に南海も連動? 紀伊から房総にかけて被災。津波で1万から2万人が犠牲に)
★1605年02月03日、慶長地震、M7.9~8.0
(八丈島から浜名湖、紀伊、阿波、土佐にかけて津波被害。南海トラフ以外の説も)
★1707年10月28日、宝永地震、M8.4~8.6
(東海、東南海、南海と連動した巨大地震。後に富士山が噴火する=宝永の大噴火)
★1854年12月24日、安政東海地震、M8.4
(東海、東南海地震。四国から房総に津波。三重では大津波で被害甚大)
★1854年12月25日、安政南海地震、M8.4
(九州東部から近畿一帯にかけて大きな揺れ。高知、和歌山で大津波、被害甚大)
★1944年12月07日、昭和東南海地震、M8.2
(紀伊半島で6~9mの津波。死者行方不明合わせて1223人の他、甚大な被害)
★1946年12月21日、昭和南海地震、M8.4
(九州から房総半島に津波。西日本中心に犠牲者1330人に及ぶ大きな被害)
このように歴史に残る(南海トラフ型の)巨大地震は過去12回あるが、8回は11月下旬から2月にかけての冬場であり、12月の1ヶ月だけでも5回発生している。11月下旬の白鳳地震を加えれば半数が年末(師走)であることにお気付きかと思う。そう夏場に少なく、8月には一つもないのだ。お騒がせの『7月』に限定するなら1361年の7月26日に発生した『正平地震』のみである。
南海トラフだけではない。1703年の元禄地震(12月31日、M8.1~8.5)がそうであるように、大きな地震ほど、なぜか年末にかけて増える傾向にある。
だからといって7月は大丈夫ということではない。1361年には正平地震に遭遇している。ワンランク下(の地震)なら満遍なく発生する。但し巨大地震になる確率はかなり低い。秋から冬に比べれば更に低いのだ。だが怖い一面も。
南海トラフ型の巨大地震がこの30年以内に起きる確率は約80%とされる。1年以内なら5%前後であろう。ならば『7月説』だって否定できない。月指定で的中する確率も1%くらいはあるのだ。競馬に例えて頂きたい。これは万馬券に等しい。ギャンブル好きならお分かりと思うが、それほど珍しいものではない。でも“2連チャン”となるとどうか。天文学的な数値であり、いわば“神の領域”なのである。
とはいえ例外もあるから世の中とは不思議なもの。宝くじでさえ億単位の高額当選を複数回果たした御仁がいるのだ。日時まではともかく『7月』だけでも的中するなら、それこそ神格化されてしまうのではないか。しかも『ゼロではない』から悍ましい。
地震予知など外れるのが一番。でもここは『備えあれば・・』を見直す格好の機会にはなるかも知れない。この数年の傾向からして過去の鳴動期をなぞっているようにも見えるからだ。南海トラフだけてはない。千島海溝、日本海溝、首都直下も含めて。それも7月より11月から3月にかけての方が不気味な感じがしないでもないが。信じる、信じないはともかく、近い将来、必ずやって来るのだから。
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《余談 栃木県の認知度》
〈祝、宇都宮ブレックス優勝〉