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《前回から続く》

【禁断の領域に入った出生数】

 今年もまた驚愕の出生数が明らかになった。厚労省の発表によると去年(2024年)1年間に生まれた子どもの数はおよそ68万6000人。合計特殊出生率も1.15まで下がってしまった。これは(政府の)従来の予測より15年早い。愚生も、2017年以降の『日本の寿命はあと90年』の中で「このままなら2030年までに70万人割れが現実味を帯びる」と書いて少なからず「絶対にない」としてお叱りを頂戴したが、これをも上回ったことになる。100万人を割ったのは2016年のことだ。僅か8年で30万人を超す急降下。正に『禁断の領域』である。

〈出生数の推移2025〉
(画像はNHKネットから)

 一方、去年1年間の死者数は前年から約3万人増の160万5298人。死者数から出生数を差し引いた減少幅も91万9237人と過去最多になった。出生率の1.0は一世代毎の半減を意味する。そして永遠に続く。最多層(団塊世代)がいなくなったところで何も解決しない。出生率が改善しないことには悪化するばかりなのだ。想像して頂きたい。出生数が、20万、10万、5万人と氷解し続ける世界を。しかも高齢化率はそのままに。これでは『あと90年』どころではない。今世紀の半ばにも終焉を迎えるかも知れない。では一体、何が起きるだろうか。

【カキクケコの法則】

《介護、教育、暮らし、健康、国家》

 先ずは『介護が崩壊する。増える高齢者と若者の数的乖離は如何ともし難い。4000万人近い高齢者を1000万人に満たない若者が看ねばならない。しかもその差は開くばかり。団塊世代の欠落も、それを遥かに上回る少子化では手の施しようがない。頼りの外国人も来ない。人は豊かさを求める。ならばどうして貧しい国にまでやって来ようか。今や日本人が出稼ぎに行く時代なのに。

(画像は朝日新聞より)

❋(昨今の出生数はこうした予測を大幅に下回って推移する傾向にある)

 『教育』も崩壊する。ことに高等教育ほど大きな影響を受ける。大学の多くは、第一次ベビーブームと第二次ベビーブームを前提に新設、又は増設されてきた。其々の(年間)出生数は平均250万、そして180万人である。それがどうだ。出生数は60万、50万、40万人と下がり続ける。これでは運営すら出来ない。統合や縮小で維持出来るのは環境に恵まれた一部の国公立くらいだろう。私立に至っては全滅の恐れすらあるのではなかろうか。

〈建設後50年以上経過するインフラの割合〉
(画像はネット国交省から借用)

 『暮らし』も大変なことになるだろう。建設・土木の分野だけではない。メンテナンスが進まないことから、電気、ガス、水道、そして通信といったインフラは尽く遮断。買い物だって然り。商業施設の撤退に加えて物流システムまで崩壊したのではもうどうにもならない。自給自足以外には生きる術を失ってしまうのだ。ゴミ処理などは最たるもので、回収作業が困難である以上、市街地の多くが悪臭漂う『ポイ捨ての山』に変貌してゆく。

 『健康』に関してはもっと厳しい。医療や介護保険制度は崩壊し全額自己負担が義務付けられる。しかもこれとて安泰ではない。如何に金を積もうとも肝心要の医療機関がないのだ。あったところで最先端には程遠い旧態依然とした施設ばかり。こうした影響は国民だけではない。医療関係者にも大きな負担を強いることになる。結果として、この日本を諦め、その多くが海外に活路を求める。そう、この国に『福祉』など存在しなくなるのだ。

 そして『国家』消滅である。財政は破綻し人影すらない。一部、集住(強制移住)によっているにはいるものの、これとて風前の灯でしかない。高齢著しく、どう見ても姥捨山そのものなのだ。人が消え、街が消え、そして国が消える。かつて異次元の少子化対策と称して取り組んだ時代があった。だが現実は厳しいもの。これを境に“異次元の少子化”社会へと突入しているのだから。でもこれって何だったのたろう。もしや『激減の少子化対策だったなんてことはないと思うが。

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《おまけ》

〈○○銀蝿物語〉

「なに、悪臭漂うポイ捨ての山だと!?」

ハエー話が、オイラの天下になるってことだわな」

「・・・・😩」