明るい光が見え、そこに白い帽子をかぶってメガネをかけたおばさんがいました。
「外に出る!」と思ったら、すーっとまた暗くなりました。
その瞬間「チッ」とおばさんが舌を鳴らすのが聞こえました。
次に明るい光の中で聞こえたのは
「午前4時47分。2670グラムの元気な男の子です。」
というおばさんの声でした。
幼稚園に入園してから母にこの話をして、おばさんに会いに行きました。
このおばさんは助産婦さんで、私を取り上げてくれた人でした。
私が
「ボクが生まれる時に、おばちゃん”チッ”って言った?」
と聞くと、
「そんなこと覚えてるの!
ようやく生まれると思ったら、あなたまた入っちゃったのよ。
おばちゃんがいけなかったね、ごめんね」
と謝ってくれました。
この記憶も、歳を重ねる毎に鮮明になってきます。