帰ってきた「橘グルーヴ」 | "楽音楽"の日々

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音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

12月10日、8万人の観客を集めた時代大道でのパフォーマンスを終えた京都橘高校吹奏楽部のメンバーは、高雄市主催の「高校海風祭」に参加します。同じ舞台でパフォーマンスを見せてくれた地元の高校生たちを含めた500人程が参加したそうです。

 

 
同じ年代の為せる技か、言葉の壁を越えて楽しんでいる様子は、こちらも嬉しくなります。
 

 

このイヴェントの後、最新の図書館を視察してこの日のスケジュールが終わりました。

 

 

 

 

 

宿泊したホテル・承億飯店で、翌朝9時にポップアップ・パフォーマンスをすることは、事前に大々的に告知されていました。

 

 

日本では見れない、学校の制服によるマーチング・ステージ。1年ぶりですね。我らが慶次郎前田さんの動画でご覧ください。

 

 

さすが慶次郎さん、後方まで見渡せる画角は実にお見事です。

ここでの1曲目は、「Uptown Funk」。今期の京都橘を代表する1曲だと思います。遂に、京都橘はファンクのグルーヴも手中に納めた!と確信しました。オリジナルへのリスペクトを感じる新しいステップが満載の、意欲的なプログラムだと思います。この曲ならではのステップを切り取った、フラワークラウンさんのダイナミックなイラストをご覧ください。

 

 

いつもながら、素晴らしい構図です。一目見て「Uptown Funk」だとわかる場面ばかりですね。

さて、このイヴェントの1ヶ月前に、京都橘の公式チャンネルに「たなフェス」でのパフォーマンス動画がアップされました。そこではまだ、全体でファンクのフィーリングが共有されていなくて、私としてはとても残念でした。そこからこの1ヶ月でのまとまりは驚異的で、ここでは京都橘にしかできない「橘ポップス」の完成形を見た気がします。そのことは、今回の台湾におけるパフォーマンス全体に言えることです。このポップアップ・パフォーマンスでは、たった5分で吹奏楽におけるファンクとスウィングの「最良の形」を見せてくれた気がします。

そう言えば「Uptown Funk」では、定期演奏会を除けば数年ぶりの「ハット」を使ったカッコ良いカラーガードの演出を見れます。この後「ハット事件」が起こるのですが、次回以降に書くつもりです。

 

前日のパフォーマンスに参加していたグロッケンとピアノ担当の部員の姿がありません。腰を痛めているという噂が以前からSNSで囁かれていましたが、事実だったようです。彼女は、帰国の途につく空港でも車椅子姿でした。彼女の不在は、これ以降のパフォーマンスに大きな影響を与えることになります。

 

慶次郎さんとは全く違った視点の動画をご紹介します。1年前の台湾訪問の時も素敵な動画をアップしてくれた、玲玲さん撮影の動画です。最前列の下の方からの撮影で、臨場感抜群で大迫力です。いつもながら、美しい映像とクリアな音質で楽しめます。

 

 

他の生配信の動画などを見ると、京都橘のメンバーが登場するまでの20分間、MCがひとりで喋っています。そこで観客としっかりコミュニケーションを取っています。観客を飽きさせず期待を煽る手腕は、相当な実力者だと思います。演奏終了後も、観客を巻き込んで「素晴らしい」や「また来てね」の大合唱をさせたり。実に素晴らしいですね。

京都橘の部員たちも、記念品贈呈や写真撮影などがあるけれども、全員がちゃんと対応できています。こういった場面に慣れているとは言え、高校生とは思えない立ち居振る舞いです。しかも、心底楽しんでいるように見えます。いろんなプレゼントがありますが、タピオカミルクティーで一番盛り上がるのが、高校生らしくて微笑ましいです。

この時に部員たちがサインしたポスターが、ホテルのロビーに展示してあるらしいです。

 

 

 

 

 

 

私は、アマチュアのバンドの特定のメンバーについて書くことは、基本的にしません。

 

けれども、今回は悪口じゃないので、書きます。

台湾公演でのMVPは、メイン・ドラムの部員です。そう、あの黒縁メガネが印象的な、彼です。

京都橘では、ここしばらくメイン・ドラムが曲毎に交代するシステムになっていて、私としてはどうしても納得できないと感じていることは、以前にも記事にしました。今期もそのシステムを踏襲していましたが、夏頃から彼がメイン・ドラムとして固定されるようになりました。

私はずっと彼に注目していました。頑張っている姿は、誰が見ても応援したくなるに違いない真摯なものでしたが、ずっと空回りしているように思えていました。

それが、ちょっと変わったなと思ったのが、マーチング・コンテスト全国大会の前あたりだったでしょうか。プロドラマー・阿野次男さんが幾度となく指導に訪れていることを阿野さんの動画でしっていましたが、プロのプレイを間近で見て感化されたことも大きかったのでしょう。

冒頭で紹介した慶次郎前田さんの動画をじっくり見ると、彼はドラムメジャーの指揮を見ていません。「Uptown Funk」のカウントを待っているだけで、演奏が始まるとテンポもリズムも完全に彼が牛耳っているのです。ここに至るまでの彼の努力は、想像を絶するものがあったのでしょう。努力の結果、絶対的な自信を持ってプレイをしています。まさに、覚醒した感があります。

 

「俺について来い!」

 

これが、京都橘のメイン・ドラマーの姿です。歴代のレジェンドと呼ばれるドラマーも、皆そうでした。

彼を軸にしてパーカッション・セクションが一体になって「橘グルーヴ」を作り上げています。そのリズムを信頼して、吹奏楽器のメンバーは気持ち良く乗っかって吹いているのがビシビシと感じられます。吹奏楽界の指導者の多くが眉をひそめる状態だろうなと思いますが、私個人的には歴代最高だと思っている115期の「橘グルーヴ」に匹敵するようなまとまりだと感じています。ポップスの演奏は、心踊るものでなければ、価値がありません。

 

彼のドラミングを、もっと近くから見てみましょう。

Wu Chen-Yuさんが、後方から撮影した動画をご覧ください。

 

 

自信あふれるドラミングが、実に気持ち良いです。周りがそれに引っ張られているのがよくわかります。「Sing,Sing,Sing」のスウィング感は、歴代トップクラスでしょう。

 

 

ここで、前日のイヴェントでも独自の映像を見せてくれたTakao walkerさんの動画を見てみましょう。

広角の撮影で観客の様子もわかります。見ものは、演奏後に会場の周りを一巡するところです。観客の全貌がわかります。さらに京都橘のメンバーが退場する際、階段を降りていくところまでしっかり撮影しています。

 

 

観光船によるクルーズは、短時間で高雄の景色を楽しむには良いアイデアでしたね。部員たちも楽しそうで、見ているだけで嬉しくなります。

 

 

 

ということで、高雄に別れを告げて、様々なトラブルを乗り越える台北公演へ続きます。