「金沢ゆめ街道2023」での京都橘 | "楽音楽"の日々

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音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

この8月は、二つの雑誌で京都橘高校吹奏楽部が取り上げられました。

「Newsweek日本版」と「Band Journal」9月号です。

 

 

両方の記事をチェックしました。

「Newsweek」は、目新しい情報もなく、京都橘を知らない人の興味をそそるものでもなく、残念でした。「Newsweek」誌に取り上げてもらったという事実のみに価値がある、という程度のものでした。

「Band Journal」誌の記事は、顧問の兼城先生にインタヴューして、新しい情報を提供してくれていたので、短いながらも価値あるものでした。さすがは吹奏楽専門誌、といったところでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

8月12日、たぶん京都橘高校吹奏楽部としては初めての北陸遠征です。

 

地元の大手新聞社・北国新聞社主催のイヴェント「金沢ゆめ街道2023」への参加です。メイン・ゲストとしての招聘だったようで、5月の「博多どんたく」とは全く扱いが違います。「博多どんたく」のケースは、数百団体が参加する中のエントリー団体のひとつだったので、仕方ないですね。

 

この日の金沢は、最高気温33、7度。オープニング・パレードは午後4時スタートだったとは言え、かなり暑かったはずです。

パレード・プログラムの詳細と原曲などの情報は、私が5月18日にアップした「博多どんたくパレード観戦記〜おっかけ編」に詳しく書いていますので、気になる方はそちらをご覧ください。

 

ということで、st.taketoさん撮影の動画を中心に、このイヴェントを楽しみたいと思います。

 

 

今年度は例年以上に振り付けが複雑です。アイデアを限界まで詰め込んでるように思えます。未完成だった「博多どんたく」では、仕上がりを想像するしかありませんでした。3ヶ月経った今回のパレードは格段に進歩していて、彼らが制作当初に描いていた「景色」が観客にも見えるレベルになっている気がします。順を追って、私が感じたことを記しておきます。

 

パレード恒例のオープニング・ナンバー「Down By The Riverside」は、流石の安定感。イヴェント用のトラックを避けてスタートすると、すぐに道路中央へ移動します。前方から捉えた映像でも、美しい動きです。その移動は、たぶん事前に一言だけの指示だったんだろうと想像できます。この臨機応変さが、京都橘の魅力のひとつでもあります。

 

続く「We are confidence man」は、演奏・振り付け共にソリッドになって見事です。ようやくこの曲のカッコ良さを表現できる段階になってきました。

 

「Mambo No.5」は、伝統的にラテン音楽を得意としてきた京都橘にとっては簡単な曲調ですが、テンポが速くて「博多どんたく」ではガチャガチャしてる印象でした。今回は見事にまとまっていて、軽快です。ブレイクでの「あ〜、ウッ!」も、実に楽しそうです。

 

今年度のパレードにおける私のお気に入りの一曲「American Patrol」は、観客に手を振ってからの敬礼も揃っていて楽しませてくれます。2コーラス目の「ひょこひょこ」ステップは、京都橘のミニ・スカートのユニフォームあってこそ可愛く見えるのです。パンツ・スタイルの他のユニフォームでは想像できない個性あふれる振り付けだと思います。そして、全員そろっての左へ右への隊列移動は、実に美しいです。

 

「Tristeza」は2018年に演奏していた時を踏襲した振り付けですが、サンバ・ステップもだいぶ揃ってきました。後は、2018年の派手さにどのくらい近付けるか?ということですね。

 

パレード終盤の「ハイ・ホー」は、観客の手拍子と笑顔を誘っていて、改めてパレードの楽しさを再認識させてくれます。

 

 

パレード全体を通して印象的なのは、これまで幾度となく書いていることですが、スーザフォン・パートの充実ぶりです。まるで一本で吹いているように聞こえるまとまりと、リズム・キープの素晴らしさ。さすが京都橘のスーザ隊!と言わざるを得ません。

 

 

続いては、主催者である北國新聞社前でのステージの様子です。

 

 

道路面を見ればわかるように、大きい交差点のど真ん中でのパフォーマンスです。ちょうどパレードの終点なんですね。

曲目は、予想通りパレードのプログラムにはない「Winter Games」と「Sing,Sing,Sing」でした。ステップも演奏も良くまとまっています。割と余裕のあるスペースだったので、フォーメーション・チェンジが一切なかったのが残念です。想像するに、スタッフと構成係の予想がはずれたんだと思います。こんなに広いとは思っていなかったのでしょう。で、ほぼ1時間後のパフォーマンスでは、フォーメーション・チェンジをやる方向に変更したのではないでしょうか?

 

ということで、午後6時から行われた「片町きららステージ」です。

 

 

「Fanfare for Tachibana」は、若干の乱れはあるものの、相変わらず凛としていて美しいです。

 

今年3月の定期演奏会で披露して以来、今年度のステージ・プログラムの人気曲になっているのが「君の瞳に恋してる」です。

だんだん盛り上がるイントロが秀逸です。それをしっかり理解した振り付けが、「京都橘印」ですよね。カラーガードのチアリーダーっぽいダンスが、とっても可愛いです。吹奏楽の世界でも全国的に人気のこの曲ですが、元気一杯のパフォーマンスと溢れる笑顔は、他の追随を許しません。

 

そして、左右に分かれて待機していた部員も全員が参加して演奏するのが「Sing,Sing,Sing」です。1時間前のステージとは全く違っていて、フォーメーション・チェンジがあってメンバーも生き生きしているように見えます。途中の「きゃ〜」が長くなってるのにお気付きでしょうか?移動するのに、それだけの時間がかかるということですね。

 

さて、この「片町きららステージ」の演奏が始まる午後6時に、メンバー達はかなり早く到着したようです。すぐそばのステージでは別のパフォーマンスがあっていて、その終了を待ってのスタートだったようです。その演奏前の様子を「フリーダム」さんが映像に収めています。

 

 

司会者がうまく繋いでいます。予定外だと思われる4分間に及ぶ部長へのインタヴューは、なかなか貴重です。司会者からの問いかけに淀みなく答えていて、実に見事です。また、予想よりも幅が狭かったステージに合わせての変更の打ち合わせを、部長インタヴューの後ろで進めているのも、興味深いシーンです。

 

 

 

今年度は、特に様々なイヴェントが続いているので、1年生にとっては大変です。経験のある2、3年生はちゃんと順応していて、彼らの熟練度の高さが際立つ結果になりました。パレードでもステージでも、1年生がいっぱいいっぱいの状態であることが、ひしひしと感じられます。頑張っている人に「頑張れ!」と言うのは無粋ですが、必死で先輩について行こうと笑顔さえ忘れて頑張っている1年生を、心から応援したくなるのです。

他の学校でも言えることですが、うまくできていない1年生に注目して追っかけていると、みるみる上達していく様子を楽しめます。家族でも親戚でもないのに、完全に「親目線」になっている自分に気付いて笑ってしまいます。

 

9月のマーチング・コンテストを経て、10月末の別府でのパレードまでの彼らの進歩を期待して、温かく見守っていこうと思うのです。