6月24日、「3000人の吹奏楽」ファイナルが開催されました。
前回2018年とは比べ物にならないほどの無数の動画がアップされて、色々見ているとあっという間に時間が経ってしまいます。撮影していただいた皆様、本当にありがとうございます。
さて、これまで以前の京都橘の「3000人の吹奏楽」のパフォーマンスを振り返りながら、今年のプログラムとパフォーマンスに期待をしていました。
じっくりと、観てみたいと思います。数々の動画を観ていると気付いたのが、動画を撮る位置によって音質が極端に変わる、ということです。ドーム球場なので、音が色々と複雑に反響してなかなかクリアに録音されていません。京都橘の動画を見ても妙に音がズレている気がしていましたが、スマホで撮影した痩せた音の録音だと、見事に揃っているのがわかります。優秀なマイクだと、余計な反響音までしっかり拾ってしまうんでしょうね。
また、これまで書いてきたように、このイヴェントは1年生にとって最初のマーチング・ステージで完成度を求めるのは酷です。さらに、今回はイヴェントのファイナルということで、OB&OGを含めた編成なので完成度については更にハードルを下げる必要があります。
ということで、そういったことを頭に置きながらご覧ください。毎度おなじみのst.taketoさん撮影です。
座奏でもマーチングでも最初に演奏することが定番になってきた「Fanfare For Tachibana」でスタートです。
美しくて、凛とした雰囲気が京都橘にピッタリで、大好きなナンバーです。
パフォーマンスの前のアナウンスで曲目が紹介されていましたので、楽しみにしていた演奏曲でのサプライズはなくなりました。全部、京都橘の定番ですもんね。
ドラム・マーチで横4列に整列して「Down By The Riverside」がスタートします。もう、そのままの形で前進するだけでも十分だったのですが、形態を変化させながら縦8列になります。さらに列をクロスしながらのフォーメーション・チェンジ。目を離すスキを与えてくれません。曲の終わりに向けて列を崩して最後のポイントを目指します。ここでは、右手へ大股で移動するバリトン・サックスとバスクラの低音木管と、別ルートで同じく右へ移動するユーフォの一団に注目すると楽しめます。そして、曲終わりのフォーメーション。何の形なのか、最初はわかりませんでした。それは、数日後に判明することになります。何の前触れもなく突然アップされたのが、花王キュレルのウェブCMでした。
京都橘の「青春」をギュッと1分間に閉じ込めた、美しい見事な作りになっています。いろんな場面がコラージュとして構成されていて、ついつい動画を止めて見入ってしまいます。中には、初めて見る京都橘のロゴ入りのオリジナル・キャップも見えます。そして、ほんの一瞬映るのが、マーチングのコンテ(マーチングでの配置を示す設計図)です。京都橘では、これを伝統的に生徒が作成することが知られています。ここに見えるコンテに描かれているのは、雪の結晶の形でした。なるほど。改めて見返すと、立ち位置がズレているせいで分かり難かったようですね。
「なぜ、雪の結晶?」という疑問は、その形で始まる「Winter Games」で解消されます。カルガリー冬季オリンピックのテーマ曲ですもんね。
「Winter Games」は、もともとフォーメーション・チェンジが少ないプログラムです。なので、とても美しいフォーメーションに仕上がっています。OB.OG含めた各セクションの様子をじっくり観察するチャンスです。まず、目立つのは10本のスーザフォンです。2本が白いファイバー製で「TACHIBANA」のロゴも入っていないので、レンタルなのかもしれません。OGが何名入っているのかよくわかりませんが、118期の部長も参加してるんでしょうか?当時のイチ推しだったんだけど、アップの多い動画を見ても確信を持てるものがありません。18人もいるトランペットは、視覚的にも迫力満点。現地での生音の迫力は、私の想像を越えるものだったかもしれません。
そうそう、119期のOGを描いたイラストがありました。毎度お世話になってる「ようこそ」さんの作品です。
いつもながら、モデルの人物に対する愛が溢れていて、見ていて自然に笑顔になれます。
今回のパフォーマンスの中で最も完成度が高いのが「Winter Games」だったと思います。残念ながら、「驚き」はなかったんですが・・・。
119期のOGによるマルチタムから始まるのが、「Sing, Sing, Sing」です。
パーカッション・セクションは、全部で12人。昨年大活躍だった3人のOGの顔を見れるのは、理屈抜きに楽しいものです。
OG,OBが加わったパフォーマンスなので通常のパターンで終わるかと予想していたら、思いっ切り裏切られました。「攻めた」フォーメーションは、今後2025年のローズ・パレードまでの京都橘のパフォーマンスの行方を占うほどの重要なチャレンジだと感じました。じっくり観るには、全体を見渡せる動画が必須です。慶次郎前田さん撮影の、Fixed Angleヴァージョンでご覧ください。
直線と曲線を組み合わせた高速フォーメーション・チェンジは、2019年から京都橘の得意技になったものです。今年のヴァージョンも、そのままコンテストに持っていっても良いほどの、複雑なフォーメーションです。未完成だけど、今年のマーチング・コンテストのプロト・タイプとも言えるカッコ良さです。
恒例の「キャー」という嬌声の後は、今までならクライマックスまで駆け抜けるだけなのですが、ここでもチャレンジです。昨年の台湾双十節でのパフォーマンスを思い出させる直線を交差させるフォーメーションで盛り上げる演出で、混沌とした状態からラストの3列V字への流れは初めて見るものです。ブラッシュアップした完成形を是非とも観てみたいと思わせるプログラムです。
さて、彼らは高校生ですから個人を特定することは敢えて避けてきた私ですが、これからの活躍を期待する部員をひとり挙げておきたいと思います。福岡での「博多どんたく」で注目した勉強熱心なカラーガードの新人です。今回の「3000人の吹奏楽」でも、諸先輩と一緒に懸命のパフォーマンスをしていました。常に先輩の動きを見ているし笑顔を見せる余裕も全くないけど、とにかく元気一杯です。「Sing, Sing, Sing」でも「そんなに全力だと、靴飛ばすぞー」って思ってたら、開始早々に豪快に飛ばしてしまいました。京都橘の伝統をこんな形で継承している彼女の成長を、温かく見守っていきたいと思うのです。慣れてきて笑顔が自然に出てきたら、大化けするかも?
京都橘のファンとしては、「3000人の吹奏楽」に参加していることは当然のことのように思いますが、冷静に見てみるとかなり特殊なことなのです。冒頭にあげたチラシの後援の欄には、京都府や京都市の文字はありません。大阪と兵庫が中心になって開催していたイヴェントのようです。確かに、過去の動画を見渡してみても、京都から参加している学校はほとんど記憶にないですもんね。
いつ頃から京都橘が参加しているのかよくわからなかったのですが、プログラムでの出演団体紹介のページに明記してありました。
「23回」とあります。昔の動画がないのがとても残念です。
23回だとすると、前顧問が京都橘に赴任して間も無くの頃から参加していると考えられます。前顧問は大阪の人ですから、そちら方面に強力なコネクションがあったんでしょうね。当時は、京都橘の参加がイヴェントの目玉のひとつになるなんて、誰も想像していなかったのでしょう。
ファイナルということで、懐古的なプログラムを組んでいる団体も数多くありました。そんな中で京都橘は、代表曲とOB,OG参加という「懐古的」という形をとりながらも、これからを見据えた「攻めた」プログラムに挑戦したのです。その心意気こそ、京都橘らしいと私は思うのです。
「3000人の吹奏楽」の意義のひとつ、合同演奏が行われるフィナーレの様子をご覧ください。オレンジのユニフォームでコントラバスやファゴットを演奏するレアな姿も楽しめます。最後の花火まで、じっくりご覧ください。慶次郎前田さんの撮影です。
思い返せば、京都橘以外の様々な学校を知るキッカケになったのがこのイヴェントでした。箕面自由のチアリーダーを知ったのもこのイヴェントのおかげです。各団体が思い思いに出し物を企画するので、自由でヴァラエティに富んでいるのが魅力でした。多分、出演の時間ぐらいしか制限はなかったんじゃないかと思います。
このイヴェントを最初から最後までまとめて観れる動画がありました。是非、通してご覧ください。おなじみのI LOVE BRASSさん撮影です。
全国の吹奏楽関係者も羨む素晴らしいイヴェントだっただけに、ファイナルを迎えたことは心から残念です。関西テレビとメイン・スポンサーだったタケモトピアノには、感謝しかありません。
どんな形であっても、代わりのイヴェントが立ち上げられることを期待したいと思います。密かに企画が動き出しているというウワサもありますが、私には確認する術もありません。
京都橘は、今回見せてくれた「攻めた」プログラムが大輪の花を咲かせるように、期待しながら見守っていきたいと思うのです。