It Don't Mean A Thing | "楽音楽"の日々

"楽音楽"の日々

音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

 

Duke Ellington作曲の名曲「It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)」を初めて知ったのは、私がスウィング・ジャズに目覚めた高校生の頃でした。邦題の「スウィングしなけりゃ意味ないね」がインパクト大で、大好きになったのでした。そう言えば、学校で習った文法では理解不能な原題も「なんじゃこりゃ?」でした。もっとも、その後英語のスラングは頻繁に目にすることになるんですが。

 

 

Dukeのピアノに、Ella Fitzgeraldの変幻自在の圧倒的なアドリブ。そして、強烈なスウィング感。当時の私がジャズに求めていた魅力が、短い演奏に詰め込まれています。

 

 

私のこの曲に対する「愛」が決定的になったのが、20歳頃に出会ったレビュー・ショー「Sophisticated Ladies」でした。Ellingtonのレパートリーだけで構成されたショーは、ビッグ・バンドの演奏と歌、タップを中心にしたダンスが満載です。その日本公演がテレビで放映されたのを偶然見たのでした。こんなジャズの番組が普通に地上波のテレビで放送される幸せな時代でした。現在では全く考えられないですね。

日本公演でのDee Dee Bridgewaterの歌にノックアウトされたのですが、ここではオリジナル版のパフォーマンスをご覧ください。歌はPhyllis Hyman、タップ・ダンサーのひとりは、映画「コーラスライン」にも出演していたGregg Burgeです。残念ながら、二人とも若くして亡くなっています。

 

 

如何でしょう?この動画は、貴重な記録です。私にとっての「お宝」でもあります。

 

 

 

 

 

で、私が京都橘高校吹奏楽部を知った2017年。程なく見つけたのが、伝説の2014年暮れの徳島公演「音楽の絆」コンサートでした。

動画の前に、私なりの見所を少し。

初っ端に炸裂するドラムは、京都橘の現マーチングコーチですね。この曲のスウィング感の根幹で、全編にわたってパワフルなドラミングです。

語り草になっている前年度と14年度の構成とも全く違うオリジナルのフォーメーションです。想像ですが、数日前に終わったばかりの定期演奏会のパフォーマンスをそのまま再演しているのでしょう。

ここでしか見れないのが、非常に多い部員全員がステージに上がって、密な状態を逆手に取ったフォーメーションです。集団が固まって左右へ交差移動したり、中央から左右に広がるところもゆっくりから急にスピードアップしたり・・・。緩急をうまく使って、視覚効果抜群です。京都橘の歴史の中でも、最高のパフォーマンスのひとつだと断言できます。

 

 

今まで全く触れていませんが、カラーガードのパフォーマンスも素晴らしいです。京都橘でしか見ることができない独創的な振り付けやフォーメーションは、どの年代においても常に楽しませてくれます。他の団体を見ても、似たものが存在しないということが最大の魅力だと思っています。もちろん、満面の「橘スマイル」が基本にあるのは当然です。正に、京都橘の「顔」であり「花」なのです。特に、吹奏楽連盟所属の団体では、マーチング・コンテストの人数制限のせいで、カラーガードを置く団体が減ってきています。ますます貴重な存在になってきているのです。

 

この曲は、部員たちの中でも人気が高いようで、色々形を変えながら今でも引き継がれています。三角形の密集タップでは、ビッグ・ジャンプも見所ですよね。

 

 

 

 

 

 

ところで、この曲が大好きで名演と言われる演奏を無数に見聞きしてきた私ですが、京都橘が演奏しているヴァージョンは全く知りませんでした。スウィング感を維持しつつ、シンコペーションを多用して緊張感を出すカッコ良いアレンジ。オリジナルは、いったいどこにあるのか?その当時、随分検索しました。で、やっと見つけたのが、これでした。

 

 

東京ディズニーシーで2006年から上演されている、スウィング・ジャズ満載のショー「BIG BAND BEAT」でのヴァージョンでした。行ったことのない私が、全く知らなかったのも当然です。

吹奏楽用の譜面も複数出版されていて、なかなか人気があるようです。もっとも、それの元になった過去のアレンジも存在するのかもしれません。

 

『Sophisticated Ladies」版にも「BIG BAND BEAT」版にもタップダンスが入ってますよね。京都橘も、これらのパフォーマンスを知った上で、振り付けにタップを取り入れたのかもしれません。どんな曲を演奏する場合でも、その曲の成り立ちを知ってリスペクトすることを忘れない姿勢が、私を魅了する大きな理由なのかもしれません。

 

 

京都橘のパフォーマンスだけでも、様々なパターンがあります。この曲単独で演奏されるよりも、「Sing, Sing, Sing」の途中に組み込まれているものが多いように感じます。

この曲目当てで動画を検索するだけでも楽しいですよー。

 

京都橘の「It Don't Mean A Thing」をリスペクトしつつ、自分たちのメイン・ナンバーにしてしまった妹分の吹奏楽部については、また別の機会に。