8月8日、Olivia Newton-Johnが旅立ちました。73歳。
私が洋楽にのめり込むキッカケになった、大恩人のひとりです。
小学5年生の頃から深夜ラジオを聴き始めて、CarpentersやMichel Polnareffに出会い、日本にない雰囲気を持った洋楽に魅力を感じていたところに突然現れたのが彼女でした。
多分1975年、忘れもしない地元のレコード店「みきや楽器店」の洋楽コーナー。
全く偶然に目に飛び込んで来たのが、Oliviaのアルバム「そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)」のジャケット写真でした。完全にジャケ買いです。
針を落としたレコードのトップが、アルバム・タイトル曲でした。
そよ風の誘惑
もう、イントロの冒頭からインパクトがあって、その後カントリー音楽に親しむことになるのも、明らかにこの曲のおかげです。
文字通り擦り切れるほどレコードを繰り返し聴いてる時に、TBS系の朝番組「おはよう700」でOliviaが歌うJohn Denverのカヴァー「カントリー・ロード(Take Me Home, Country Roads)」が流れるようになりました。毎朝耳にすることになったOliviaの声。これ以降、ずっとOliviaを追っかけることになったのでした。
デビューからずっとカントリー歌手として成功していたOliviaの転機になったのは、1978年公開のミュージカル映画「グリース(Grease)」でした。全編を彩る音楽がロックンロールだったので、彼女は相当に不安だったようです。高校生役だったので年齢的に批判されることはありましたが、映画そのものも実に楽しく、何と言っても彼女の歌は圧巻でした。商業的にも大成功で、これ以降Oliviaは女優としても認められるようになりました。
1980年の「ザナドゥ(Xanadu)」ではELOと共演、1983年の「セカンド・チャンス(Two Of A Kind)」では再びJohn Travoltaと共演して、David Foster一派の楽曲も歌いました。
もちろん1981年の「フィジカル(Physical)」の大成功が最大の転機なのは確かでしょうが、「カントリー歌手」と言われなくなったのは、やはり「グリース」の成功からでしょう。
John Travoltaとのデュエットでヒットした曲もありますが、私が「グリース」の中で最も好きなのは、Oliviaが届かない想いを切なく歌う「愛すれど悲し(Hopelessly Devoted To You)」です。
愛すれど悲し
この曲も、前出の「そよ風の誘惑」も、作詞作曲はJohn Farrarという人。
彼はOliviaの音楽的ブレーンで、彼女のヒット曲の半分以上を作っています。彼が作る曲は、普通では考えられない変態的なコード進行を使いながら、全体としては非常に聴き易いものに出来上がっているのです。また別の機会に、彼のソング・ブックみたいな記事を書こうかと思っています。まぁ、ほとんどがOliviaの曲になってしまうのは仕方ないでしょうけど。
彼女の作品を聴きなおそうと思って探して見たところ、肝心なものが散逸してしまっていて、手元にあるのがこれだけでした。
そうそう、こちらの映像作品も素晴らしいです。
「フィジカル」の成功で最も勢いのある時期のOliviaを堪能するなら、これでしょうねー。バック・メンバーも豪華で、Tom Scottがバンマスをやってます。動画サイトにもフルヴァージョンがアップされてるので、気になる方はお探し下さい。
Oliviaの歌声は、繊細なところからパワフルなところまで変幻自在。しかも一聴して彼女だとわかる個性。唯一無二の歌手でした。
最後に、あまり知られていない曲をご紹介。
David Fosterのメジャー・デビュー作に入っている、彼の代表曲「ベスト・オブ・ミー(The Best Of Me)」です。その前から日本制作の作品で人気の曲だったんですが、このアルバムではデュエット相手にOliviaを指名しています。
ベスト・オブ・ミー
素晴らしい歌手だっただけでなく、とても頭も良くて日本びいきだったOlivia。
訃報から1週間経っても、まだぽっかりと心に穴が空いている気分です。
Oliviaの作品の総括は、もうしばらく間をおいてじっくりやっていこうと思います。
Olivia、たくさんの楽曲と夢のある映画をありがとう。心から感謝です。
R.I.P.