かもしれない、が終わらせた夏。 | I think now like this.

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大阪桐蔭、天国から地獄…西谷監督、号泣選手かばう
8/19(土) 19:55配信(日刊スポーツ)

 

なかなか厳しい結果になった。

「ツーアウト満塁の内野ゴロは一番近い塁でアウトな」

来る日も来る日も練習してきたやろに。

 

俺思う。

 

このプレー、確かにいろいろな伏線が絡まってたから、誰が悪いとか言われへんしね。

野球って、一個一個の局面ごとの積み重ねやから。

「切り替える」

という言葉がよく出るのも、そんな競技の側面があるからやろう。

 

7回裏、ファーストでの接触プレー。

バッターランナーに蹴られた足のことが気持ちにあったかなかったか。

これが伏線になっているかどうか、というのは外野の勝手な類推であって、実のところはわからない。

 

ツーアウトランナーなしからの逆転劇。

これが高校野球でしょう。

 

甲子園には魔物が・・・とはよく言うけれど、結局のところ魔物なんかいない。

魔物はすべての人間の中にいる。

人は、その魔物をいかに封じ込めるかをテーマに生きているんじゃないかな、とさえ思う。

言い換えれば、魔物は甲子園だけにいるのではなく、多分、舞洲にもいただろうし、万博球場にも、南港にも、山のグラウンドにもいたはずなんだ。

 

あの時、ショートがセカンドベース上にトスしていればベスト8だった、かもしれない。

一塁手は、「多分セカンドフォースアウトで試合終了」と思って一塁ベースにしっかり入れていなかったのかもしれない。7回裏に蹴られた足のことが気になったのかもしれない。

 

そんなたくさんの「かもしれない」が、どこにもいなかった魔物を顕在化させたのだとすれば、大阪桐蔭ナインにとって、そして中でも一塁を守っていた彼にとっては、厳しい結果になったなぁと思う。

 

夏の地方大会前のある日、横浜高校との練習試合に来ていた大阪桐蔭ナイン一行と新横浜駅で遭遇したことがあった。

西谷監督以下、統制された感じのする子たちだった。

整然と並び、他の客の迷惑にならないように振舞っていたあの姿。

「がんばれよ」と心の中で応援しながら自分が乗る新幹線へ向かった。

 

三回戦敗退となったら、国体にも出られない。

3年生の夏は終わった。

 

二年生中心の新チームは秋の大会に向かって、もっと言えばセンバツに向かってもう動き出す。

この敗戦は、マウンドで立ち尽くした2年生ピッチャーにとって、一番の魔除けになったかもしれない。

この秋からは自分たちのチーム。

二度と自分達の中にいる魔物が暴れ出さないように、この経験をおでこに貼って。

 

ツーアウト満塁のショートゴロをどう処理するか。

また練習すればいい。

 

甲子園には魔物なんかいない。

魔物は、全員の心の中。

西谷監督にだっている。

 

その魔物封じの戦いに、また明け暮れればいい。

お疲れ様。