さユり、新宿駅前ライブにファン2,000人集結
という話題に触れて
出ましたね~ アルバム。
「ミカヅキの航海」
初めて聴く曲って少ないけれど、でもまぁ、凄い出来だなぁと思う。
3曲目に「十億年」という曲が入っているけれど、このアルバムの中では出色よね。
モード学園を思って書いた曲だと言っていたけれど、でもモード学園のCMで使われる曲は本当にセンスがいい。
20歳、といえばもう娘でもおかしくない年だけど、この子の感性には本当に舌を巻く、というかなんというか。
自分が20歳だった頃、果たしてこの子みたいに自分のことや、世の中の事、自分と世の中の関係とか、そんなこと感じられていたか、気が付いていたか、考えていたかと思うと、ちょっと恥ずかしくなるほど。
時代だといえばそれまでの事だけれど、どの時代に於いても、若い子の中にはその時代時代の葛藤やら、苦しみやら、不安やら、焦り、そんな感情があるんやなぁと。
改めて感じた気がしてね。
ほんの少し、今の若い子たちの感性を理解してあげられるのかな、って気になったり。
この「十億年」という曲。
メロディがいい。
素朴で、混じりっ気がない真っすぐなメロディ。
ブレスのたびに聴こえるこの子の息を継ぐ音は、まさに次を続けるための意志の音なんだと思う。
歌に支えられて、感性に支えられてそして、その才能で歌い続けることを勝ち取ったこの子の勝鬨なんだと思う。
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怖くて目を開けられなかったけど 今なら
信じられるような気がした 海の底
巨大な巨大な不安と戦ってやっと出会えたんだ
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この感覚は、多分、世のおっさんたちやおばちゃんたちがかつて、感じていながら言葉にできなかった感覚。
みんな、若い時というのは不安でね。
その不安を打ち消すために生きているようなもので。
真っすぐに自分を磨いた者、現実逃避をその術とした者、何かに頼った者、打ち消し方は人それぞれだけれど、みんなそうやって年を取ってきたんだと思う。
そんなそれぞれの不安の打ち消し方こそが、おそらく今のおっさんやおばちゃんたちの力として、いろんなものを支えているんだと思う。
多分、この子は自分の才能を磨くことでその不安と戦っているんだろうと思うんだな。
一生懸命歌うことで、言葉やメロディを捻り出すことで、おっきな不安と戦っているんだろう。
「欠けた何か」は誰にも、どの瞬間にもある。
それを埋めようとする、その行為そのものが生きることなんだと彼女は歌う。
それこそが「呼吸の意味」なんだと。
しっかり生きること、というのは、しっかり不安と戦うことなんだと、彼女の立ち姿を見るたびに思う。
欠けたミカヅキが満月になる夜。
いつ来るのかわからないけれど、その瞬間まで歌い続けてほしいな、と思う。
もし、彼女のこのアルバムが評価されないなら、日本の音楽シーンはもう終わりだと思えるほど、いい出来だと思う。
素晴らしい。
俺にこう言わせた歌い手は、そういない。