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これを聴いて死ねっ

ヘヴィメタルやハードロックを中心に作品紹介を行うサイトです。


「Time Will Tell」 1989

アメリカのヘヴィメタルバンドFifth Angelの2ndアルバム。
基本の軸はカラッと開放感のあるアメリカンメタル/ハードロックでありながら、そこにブリティッシュ、欧州的な哀愁を程良くブレンドした良質のサウンドを聴かせてくれます。
1曲目”Cathedral”でもうノックアウト。終盤のサビの展開とか、こう言う曲にはホント弱い。前述の様に音自体はカラッとしているんですが、例えるならよく晴れた日に頭からヴォルビックをひっ被ったみたいな、さわやかな水っ気を感じます。押しの強さよりもメロディアスな聴き心地を大事にしており、ゴリゴリのメタルの感触を好む向きには軟弱に聴こえるかもしれません。しかし細かい事を抜きにして単純に曲の良さのみに耳を傾ければ、この扇情的なギターや叙情的かつ昂揚感のある歌メロを素通りする事は信じられないなぁ。
搦め手も何も無く真っ直ぐ正統派で勝負している音ですが、こう言うのを応援できなきゃ何を聴くんだって思います。

「Towards The Twilight」 1997

ドイツのメロディックデスメタルバンドNight In Galesの1stアルバム。
恐らくドイツでは一番最初の本格的なメロデスバンドだと思います。途中、長いこと音沙汰が無かった時期もありますが、2011年には久しぶりの新作を届けてくれ、今も現役活動中。
楽曲的には正統的な北欧メロデスを踏襲していますが、やはりメロディを聴くと土っぽいと言うか内陸的と言うか、北国の寒々しさや透明感とは異なる独特のクサい哀愁が特徴であり魅力です。山とか谷とかばっかり思い浮かびます。1曲目や8曲目は勿論名曲ですが、3曲目”Razor”なんて一生聴きたい曲だなぁ。他も聴き応えがあり、捨て曲など存在しません。
90年代マイナーメロデスの名盤。メロデスが好きなら一度は聴いておくべき。



「Sylphlike」 1996

こちらは1stの前に出たミニアルバム。私が持っているのはオリジナルではなく1stの再発盤に一緒に収録されているものです。1stは持っているのにコレが聴きたくてわざわざ買い直しました。
デモに毛が生えた程度の音質がちと気になりますが、内容は1stの前哨戦と言ったところ。勢い任せのアレンジが小粒な印象を与えるものの、初期衝動と言う意味ではこのミニアルバムこそ正しくメロデスであると思います。5曲目のインストがなかなか味わい深い。




「Thunderbeast」 1998

2ndアルバム。土の香りが漂う1stと比べてソリッドで都会的な質感になりました。1stを大変気に入っていたのでこの変化に私は拒絶反応を起こし、買った当時ロクに聴かなかったのですが、今改めて聴き直すと全然悪くない。むしろ良い。
サウンドの感触のせいでクサさが薄れたように感じますが、実際は相変わらず土臭いメロディを奏でていますし、冗長さが減り洗練されたアレンジはスカッと耳に馴染んでくれます。収録曲数が多いながら佳曲が揃っており、今作のハイライトである”Stormchild”は名曲と言って良い。”I Am The Dungeongod”も見逃せない。
1stはB級メロデスの金字塔ですが、この2ndも手堅い。




「Nailwork」 2000

3rdアルバム。このアルバム辺りから雲行きが怪しくなってきたと言うか、私の苦手な(はっきり言えば嫌い)モダン化をしてしまった作品です。Soilwarkをかなり意識していると思います。とにかく普通声で歌い始めたのが一番受け付けなかった。1回通しで聴いたかどうかも分からん内にお蔵入りにした気がします。しかしこれもまた、ある程度耳が肥えて寛容になった今聴いてみるとそこまで目くじらを立てる内容でも無かった。普通声の是非はともかく、鋭角的でスリリングな楽曲は時にデスラッシュ、時には正統的なヘヴィメタルのカッコ良さを携えており、目が覚めるテンションの高さはこれまでの彼らには無かった要素。よく聴けばかつての土臭さもスパイスとして効いていますし、細かい事を気にしなければ十分楽しめるアルバムです。それでもやっぱりデス声で通して欲しかったけど。



「Necrodynamic」 2001

4thアルバム。最早メロデスっぽさ皆無のジャケットと化しておりますが、内容に関しても想像に違いなく、これはもう完全にモダンデスラッシュです。年月で言えば1stから大して経って無いのにこの変わりよう。一体何食ったらこんな音になってしまうんでしょう?でもまぁNight In Galesのアルバムだと考えないで聴けば非常にハイテンションでスカッとする出来の良いデスラッシュなんですがね。迷走していると言えなくもないですが、ここまで開き直られるともう好きにしてくれって感じでもあります。しかしこの後メンバー自身もどっちに進めばいいのか分からんくなったらしく、次作発表まで長い年月を要する事になります。



「Five Scars」 2011

前作から10年の歳月を経て発表された5thアルバム。聴いたことはありませんが、途中いくつかのデモやEPは出していた様です。それでも活動が停滞しているであろう事は明らかだったので、このバンドも終わってしまったか…って感じでした。そんな中でのまさかの復活作に目ン玉飛び出るかと思いましたよ。
物悲しいイントロ曲に続く2曲目”This Neon Grave”は長らく待たせたファンへの感謝を込めた贈り物。1stの頃を彷彿とさせる劇的な正統メロデスナンバーです。3rd以降の普通声との併用は部分的に用いつつも、音楽性そのものは1stや2ndの頃に原点回帰したと言え、あの独特の土臭いメロディがスケール大きく、洗練されたアレンジと演奏によって再び聴けるのはまさに涙モノです。8曲目辺りは今の彼らだからこそ様になるグッドナンバー。
単なる一発復活とは異なる、今後を感じさせるテンションを持った好作。私の中では2011年ベストのアルバムでした。期待しているぞ!

「Human Error: Ways To Self Destruction」 2002

Behemothのメンバーなどが在籍していたポーランドのブラックメタルバンドCrionicsの1stアルバム。
激走激烈ブラックメタル。殴りつける様なヘヴィさとドスドスとしたブラストビートを武器に暴れまくります。ヴォーカルにしてもブラック声ではなくグロウルを多用するので余計に脂っこい。鉄球の雨でも降っているかの様なサウンドです。キーボードが一生懸命シンフォニックな味付けをしていますが、他の音量がでか過ぎてほとんど聞こえないので荘厳もクソも無いと言うオチ。リフに関してはブルータルなものと邪悪なものが中心で、たまに暗黒の叙情を聴かせる事もあります。6曲目辺りはメロディと暴虐性のバランスが取れたなかなかの出来だと思います。
音質はロウと言う程では無いにしろ籠り気味。またブラックメタルとしてはかなり音圧があります。音量のバランスの悪さは生っぽくて好き。
色々考える間もなく激しいままに終わる曲ばかりで、一本調子と言えばそうですがこの押しの強さには感服。大音量での鑑賞推奨。

「Chop Copper」 2001

ドイツのゴアグラインドバンドSanitys Dawnの4thアルバム。
90年代からダラダラ活動している連中ですがフルアルバムとしては今作が最新。私が持っているのはコレだけ。
丁度パンクやグラインドコアへの接近を始めた作品であり、身構えるほどのゴアさはありません。ドカボコした勢いだけで突っ切るわけではなくしっかり起伏のあるアレンジを施した楽曲が並んでおり、出で立ちとは裏腹にキチッとした内容。前作ではゲロいガテラルを使っていたヴォーカルも怒鳴り声や喚き声中心に変化しています。個人的にはもっと品の無い音の方が好きですが、細かい事を抜きにすれば良好なクオリティが楽しめるアルバムです。

「The Primal Event」 1998

スウェーデンのメロディックデスメタルバンドLothlorienのアルバム。
私、このジャケットが好きなんです。伝わらないでしょうが、なんとなく3DOのソフトのジャケみたいな雰囲気が懐かしくて。
それはさておき、内容としてはクサメロをふんだんに用いた正統的メロデスです。ですが特徴としてシンフォニックなキーボードを大きくフィーチャーしており、まるでロシア音楽でも聴いているかの様なスケールの大きい音を作り上げています。楽曲的にはそんなに小難しい事をやっているわけではないのにどこか高い位置から見下ろしているかの様な格を感じさせるのは、バタバタせずどっしりした演奏の賜物です。あえて疾走曲を後半に固めたのも、勢いやインパクトではなくしっかりと作品を聴かせる意図があってのことでしょう。スローテンポの曲が活きていると言うのもデビュー作らしからぬ風格です。もっとバーッンとキャッチーな曲のひとつでもあれば売れていたんでしょうけれど、そんな曲を入れて品を落とす事をしなかったのは立派。完成されているが故に次作の音像が全く想像出来ないと言うのはメンバーも同じだった様で、結局一作きりで解散してしまいましたが、それは潔い決断でしょう。今でも色褪せていないし、聴くたびに味わいが増します。
その後ギタリスト二人とドラマーはFrequencyを結成し、今も活動中。