今日の指導先の茨城県の高校野球部は、私が携わり、ちょうど丸21年になる。
実は、今の顧問の先生は、私が最初にチームを訪れた時に主将だった男だ。その時から、素晴らしいリーダーであったが、まさか、その後、彼の母校で再び同じグランドに立つ事になるとは、当時は想像だにしていなかった。
さて、話は現在の主将のことだ。
彼と最初に会ったのは、昨年春の緊急事態宣言中で、zoomでのオンライン指導だった。zoom越しでも、彼の明るさ、素直さは十分に伝わるような気持ちの良い男だった。6月に初めて彼とLiveで会った時も、その印象は変わらず、本当に接していると、自然とこちらまでが明るくなるような、そんな気持ちの良い男であった。彼は案の定、この夏から主将としてチームを引っ張る事になった。
そして、今日、改めて彼の魅力を知ることになった。
今日は、昨日から野球部で実施している通い合宿(朝、昼、夜ご飯を共にする)のため、同じ部屋で私も昼食を頂く事になった。選手たちは、ご飯を山盛りに🍚して食べるのだが、練習中の補食も含めて、普段の食事よりは、おそらく多く食べなければならない選手がほとんどなのだ。そう、食べる事も合宿の大切な目的のひとつなのだ。
もちろん、なかには普段から食の細い選手もいる。私が見ていても、明らかに食が細く、なかなかご飯が喉を通らない者も数名いる。そんななかでも、時々ご飯をおかわりする者がいる。
すると、主将の彼は、「お、〇〇、いいね!」と茶化すような言い方ではなく、大きな明るい声で、その選手を讃えるのだ。それにつられて他の選手も数名が声をかける。彼のひと言で、ある意味で食事がしんどいだけの悲壮な雰囲気にならずに、明るい場に変わるのだ。
その後も、彼は常に笑いの中心にいるのだ。笑いと言っても、最近のお笑い芸人のように、誰かをディスって笑いをとるわけではなく、本当に楽しい話があったから笑っているのだ。
私の人生目標の一つである、「あいつといると不味いおかずが美味くなる」そんな男なのだ。いやー、その歳で大したもんだ。
そして、練習が終わり、私のみがグランドを後に帰る時、先生が「森下さん、先に帰られるぞ」と片付けをしている選手たちに声をかけるので、私は大きな声で「良いお年を‼️」と選手たちに言った。
そんな、言葉を言われるとは思っていなかった選手たちは、その私の挨拶にどう言葉を返していいのか、わからずにいると、その主将が「良い年をお迎え下さい‼️」と、やはり大きな声で私に伝える。
先生に「流石、〇〇ですね。本当、あそこで、ああやって言葉を返せるのがいいですよね」と話すと先生も大きく同意する。
以下、武道家の内田樹さんの言葉だ。
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「真面目」とは、まっすぐに相手の顔に向き合うということである。まっすぐに相手の顔に向き合って、「あなたのことが気がかりなんだ」と告げる、それだけのことである。その人間としてもっとも基本的な「構え」は「家風」として継承されるものなのだ。
人間の営みにおいて、もっとも重要なのは、コミュニケーションの「内容」ではなく、コミュニケーションを立ち上げる時の「作法」である。その「作法」は学問とも才覚とも年齢とも性別ともかかわりなく、「家風」として習得されるほかない。
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内田さんの言葉を借りるならば、彼はまさにコミュニケーションを立ち上げる時の「作法」があるように思う。
残念ながら、高校生のみならず、この作法がある人は少ないのだ。
2021年も、もうすぐ終わる年の瀬に、こんな若者に接する事ができた私はラッキーである。日本もまだまだ捨てたものではない。サンクス!