美味しそうなパンを買った
あの人に食べて欲しくて
あの人と一緒に食べたくて
あの人の帰りを
いつもいつも待っていた。
「おかえりなさい!」
「美味しそうなパンがあるの」
「ねぇ、ねぇ、一緒に食べようよ。」
「いらない」
「欲しくない」
「食べたくない」
「気にせず自分で食べれば?」
いつもいつも待っていた。
あの人にとって私は「カビパン」
何を努力したって
私が尽くすことは
もはや「カビパン」
あの人はどんなに空腹でも
「カビパン」でお腹を満たすことはない
あの人はどんなに疲れていても
「カビパン」に癒されることはない
あの人はどんなに悩んでいたって
「カビパン」に悩みを打ち明けることはない
一緒に食べたかったパンは
食卓の上で放置され
だったら捨てたらいいのに
カビカビるんるん、カビるんるん
カビパンがゴミ箱に入るのを
待っているのかな。
一緒に食べたくて
いつもいつも帰りを待ち続けていた
カビパンになっても捨てない私と
カビパンを捨てて欲しいと
待ち続けるあの人との根比べ。
現実に目を背けず
現実から逃げず
勇気を出して
現実のあの人をを眺めてみる
カビパン食べずに豊満になったカラダ
あの人を肥やす世界があることを認める
着る物だって困らない
肥え続けたら、また変えればいい
新しい肥えたカラダに似合った服を
「あの人の世界に私はもういない」
痛くて、痛くて、痛くて痛い。
私は「カビパン」
懲りずに美味しいパンを買おう
次は一緒に食べてくれる人
次は美味しいと共感してくれる人
次はパンをお土産に持ってきてくれる人
次はパンを私と一緒に買いに行く人
あの人にとって
私は「カビパン」
どんなに何を尽くしても
「カビパン」では満足しない
そんな自分をやっと受け入れた私。







