「人間、失格。
 もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。
 ......
 いまは自分には、幸福も不幸もありません。
 ただ、一さいは過ぎて行きます。
 ......
 自分はことし、二十七になります。白髪がめっきりふえたので、たいていの人から、四十以上に見られます。」 (太宰治著 「人間失格」より引用)

やっと、「人間失格」を読み終えました。正直に言って大変、危険な小説(自叙伝)です。良くも悪くも優柔不断な言葉でしかいえませんが、凡人にとっては、モラトリアムである学生の頃には許されても、大人になって働く一庶民としては、これに共感すると、身を破滅するしかありません。しかし、否定できない、自分の心の中に触るものがある、それもそっと繊細にではなく、強引に見せつけられるといった趣です。この「人間失格」が完成してまもなく、太宰治は、身をもって入水自殺という形で、完結させます。(享年39歳)以下、解説を引用します。    「太宰治は反立法(アンチ・テーゼ)の役割を全うしマイナスの十字架につこうとしたのである。太宰治の生涯と文学は下降指向のそれと言ってよい。悪しき秩序、権力とたたかうためには、まず自分の中にあるそれらとたたかわねばならぬ。徹底した自己否定、自己破壊によってのみ、はじめて根源から秩序、権力を批判、否定することが可能になる。太宰はそう信じ、それを生涯かけて実行した。立身出世はもとより、自己完成、自己確立も、安息した幸福にひたることも自ら禁じた。.....太宰文学を全否定し認めようとしない文学者、大嫌いだという読書も少なくない。太宰に対しては全肯定か全否定しか許されない。そういう意味でも太宰治は、日本では稀な特別の存在と言わねばならぬ。」(奥野 健男 解説より引用)
「70年代ニューヨーク―─あの頃の僕達は、緑の自転車に夢中だった・・・。 少年とちょっと(?)年上の“ともだち”が繰りひろげるノスタルジックな感動ドラマ!!「ターミネーター4」に大抜擢され、次世代ハリウッド・スターとして人気急上昇中のアントン・イェルチンと、<感動請負人>として数々のハリウッド大作に主演してきた名優:ロビン・ウィリアムズ、この二人がつむぐ心温まる感動作。」(INTERFILM ONLINEより引用)    久々にロビン・ウィリアムズの映画を観ました。と言っても主演ではなく助演です。主人公の少年トム(アントン・イェルチン)13歳と学校の用務員で知的障害を持つパパス(ロビン・ウィリアムズ)41歳は、大の親友であり、お互いにふざけあう仲でした。(親子ほど年齢差があるのが、面白いです。)しかし、その二人に精神的に微妙な心のずれや、それに関連して、どうしてもぬぐいきれない災難が襲ってきます。主人公のトムは、パパスや良き人に触発され、人生の大きな決断をします。その過程の、心の機微が、胸をついてやみません。(特に別れと再会のシーン。)アントン・イェルチンが前面にたって、演技が抜群に上手いです。でも、ロビンファンの私としては、ロビン・ウィリアムズの演技の巧みさと、味わい深さに、また泣けてしまいました。やっぱり、年をとってもロビンの演技は、正常な心と異常な心のグレーゾーンを行き来している、それが、とても胸をつきます。心が乾いている方には、是非、お勧めです。
(日本では未公開の映画のようです。)
(「House of D 」の邦画題が「最高のともだち」とは、もっとましなタイトルをつけて欲しかったです。)

INTERFILM ONLINE
http://www.interfilm.co.jp/Detail/09/IS09-0546/IS09-0546.html

ロビン・ウィリアムズをもっと、知りたい方、このブログはお勧め。
http://robinwilliams.jugem.jp/
(グッド・ウィル・ハンティング、いまを生きる、グッドモーニング,ベトナム 、フィッシャー・キング、レナードの朝等、すべてお勧め。)
夕方に、外に出ると、今日も、雨雲が低く垂れ込めている。
しばらく歩くと、思ったとおり、雨が。...
細かな小雨が霧吹きのように、吹き注いできた。
しかし、夏の霧雨は、思いのほか、気持ちがよい。
多少、濡れながらも、歩くスピードはあがる。
こんな静かな夕暮れ時に、懐かしいフレーズが、そらみみのように、確かに聴こえた。
「僕は 呼びかけはしない
 遠く すぎ去るものに
 僕は 呼びかけはしない
 かたわらを 行くものさえ」
この後、少女よ、泣くのはおやめ、なんて唐突な歌詞だったか。
でも、「うつろな輝き」という言葉が、あの頃をよく表現していた。
こんな気持ちにさせてくれる夏の霧雨に、ずっと濡れていたいと思った。

(そらみみフレーズは、作詞、作曲:小椋 佳、「さらば青春」より引用)

さらば青春、聴けます。
http://www.youtube.com/watch?v=pccX0l86d7o&feature=related

P.S.
生涯青春なんて、風潮があるが、ぼくの本当の青春は、思春期のほんのわずかなひとときだった。後は、望んでも、望めない青春への憧れだけを追いかけている。


「「ニキータ」のリュック・ベッソンが初めてアメリカで製作したバイオレンス・アクション。ニューヨークを舞台に、凄腕の殺し屋レオンと12歳の少女マチルダの純愛と戦いを描く。大都会の片隅で出会った孤独なふたりの葛藤と壮絶なアクション・シーンがほどよくブレンドされた佳作だが、その功績は朴訥だが頼もしいJ・レノと繊細でいてたくましいN・ポートマンの二人の魅力に負うところが大きい。」(YAHOO!映画より引用)    もう、15年も前の映画になります。名作コーナーにあったというだけで借りてみました。全体的には、エンターテイメントな作りで、一気に観れます。ジャン・レノ(レオン)は、役柄としてはまっていて、かっこいいです。そして、ナタリー・ポートマン(マチルダ)が、大人顔負けです。冷徹な殺し屋レオンは、マチルダと出会い、次第に彼女を守りたいという意識が強くなっていきます。悲しいかな、その気持ちが彼、レオンにとって、心の隙となるのです。殺し屋に、そういう感情は、許されないという結果に。しかし、レオンは光をみいだしたのだと思います。鉢植えの観葉植物に水を与えながら「こいつは、しゃべらないから、いい。自分に、よく似ている。根無し草というところもな。」とレオン。このセリフがラストに効いてきます。(麻薬取締捜査官が悪役というところも、ハリウッド映画らしい感じがします。)(リュック・ベッソン監督のジャンヌ・ダルクもお勧め。)

YAHOO!映画
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail?ty=mv&id=25289
「水中での撮影は過酷なものだ。体には常に大きな負担がかかる。それでも、中村は海へと向かう。懸命に生きるささやかな命に触れたときの驚きや感動が、中村を突き動かす。「命をまっとうするために生きているということ。目の前にある環境の中で、満足はしてないかもしれないけど、その中で懸命に生きているということに対して非常に敬意を払います。そういう生き物がいる限り、僕はやっぱり見てみたい、写真を撮っていきたい。」」(プロフェッショナルより引用)    壊滅しかけているサンゴ群の中に、わずかに赤ちゃんのサンゴの命をみつける。そして、そっと、静かにシャッターを押すシーンは、その言葉を裏付けるかのようでした。40年間にわたり、沈黙の海の中で命を撮る、その仕事ぶりは、実に忍耐の伴うものだと感じました。光や海の状態など、全ての条件が整うのを、潜っては、見極め、潜っては、翌日に持ち越しといった、気長い、しかし、最後までやり通す強い意志でした。

プロフェッショナル
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/090616/index.html