「次は何飲む?」

みんなのグラスの空き具合を見て イッタンは上機嫌で聞く

「イッタンは初沖縄なんだから、イッタンの好きなものでいいよ!」

「じゃぁ。泡盛!」

「面倒だからボトルで頼んじゃおう!」

イッタンは店員を呼び、菊の露ブラウンという銘柄の泡盛をボトルで注文する。


沖縄民謡ライブが終わったからか、退店するお客さんが複数いた。


ボトルが到着すると各グラスに注ぐ。

「じゃ、じゃ、改めまして・・・」

「かんぱーい!」
「かんぱーい!」
「かんぱーい!」


三人は声高々と乾杯をする。


ん?三人??

良く見たら、エッチャンと太一は 隣の席の人たち(男性1名・女性2名)と楽しそうに話し込んでいる。


[沖縄の公式]
隣の席の人と仲良くなる + 沖縄 = イッタン置いていかれる



あぶなーい!
隣の人と仲良くなったらいかんぜよ!イッタンがピンチ。


とりあえず、隣の席の人と話し込んでいる二人は放っておいて、3人で盛り上がる。

・・・が、明らかに 太一・エッチャン+隣の3人 の方が楽しそうだ。

こうなったら必ず盛り上がるゲームをロビン・トモオ・イッタンの3人で始めちゃうもんねー。

「マイケルジャクソンゲェェーーム!!」(←今思いついた)

$ろびんの旅行記

「なにそれ!なにそれ!」

イッタンが興味津々でロビンに聞く

「誰が一番マイケルジャクソンに似ている"ポゥ"を言えるかゲーム!」

「じゃぁ、イッタンから始めるよ。ハイっハイっ」

トモオが言いながら手を叩く。


「・・・えっ。えっと・・・。できねーよー!」

イッタンが笑顔で困惑している。



「何の遊びしてるの??」

イッタンの素敵な困惑具合に気がついたエッチャンがこちらに戻って(?)くる

「この人たちね、広島から来たんだって。」

「へー」

「みんなで出来るゲームやろうよ。何ゲームしてたの?」

「マイケルジャクソンゲーム」

「えー。知らない。ピンポンパンにしよー!!」

エッチャンがノリノリでゲームを提案。

広島と横浜でルールに差異があるといけないので、ルールのおさらいがてら ロビンは手順を説明する。

「・・・というわけで、ルール分かりましたか?まずは練習ね!

ピン」


「ポン」

「パン」

「てな具合ね。じゃぁ本番行くよーーー!


太一から始まるぅぅぅぅううう! ピンっポンっパンゲェェェーーーム!



太一「ピンっ」


「ポゥっ!!」
「ポゥっ!!」


ロビンとトモオが一斉にマイケルジャクソンの真似をする。


「それじゃゲームにならねーじゃねーかよ!」

太一が切れながら笑っている。

広島の方たちはポカンとしている。

勝手に楽しんじゃってすみません・・・

「5人です。島唄ライブの席ありますか?」

"とぅばらーま"の店員に ロビンが伝える。

「こちらへどうぞ」

と、2階の席へ案内される。


陽気な沖縄風の音楽が聞こえている。

すでにライブは始まっているようだ。

ステージ上には3名立っていた。

向かって右側には太鼓を叩いている手ぬぐいを頭に巻いた男性、左側には三線を奏でているチリチリパーマの男性、中央では女性が歌っていた。

ろびんの旅行記

「あれ?あの女性見たことあるなー」

2年前、沖縄に遊びに来た際に 同じように沖縄民謡ライブで演奏していた人だ。

"Cojaco"。そう、彼女の名前はCojaco(こじゃこ)と言う名前だった。

ANAの沖縄ツアーのテーマソングや、ORIONビールのCM曲を歌っている沖縄出身のミュージシャンだ。


席に着くと 店員を呼び、イッタンが持っていたクーポン集を見せる。

「この店、載ってたよね?」

イッタンがペロペロとクーポン集をめくる・・・が、なかなか見つからない。

「このクーポンに書いてある、おすすめ泡盛を人数分お願いします」

ロビンはうろ覚えのクーポン内容を伝えると。

「わかりました」

との店員の返事。クーポン利用で、人数分の泡盛が無料になるなんて 太っ腹な店だ。


沖縄民謡の中で最も有名な曲のうち「花」が始まった。

「みなさんサビを一緒に歌いましょう!」

「泣きな~さぁい~~」

超爆音で歌う僕ら。



泡盛やオリオンビールを飲みながら 沖縄の雰囲気たっぷりのお店の中で cojacoの唄に酔いしれる。

「そこの貴方!ステージに上がってください!」

Cojacoが数名を指名して、ステージに上げる。

「ロビンも行きたかったでしょー」

と、ロビンの気持ちを読んだエッチャンが言う。

その気持ちがにじみ出ていたのか、

「そこの貴方達も!ステージに上がって!」

ロビンらが指名されると「恥ずかしいよー」などと言いながら、うれしそうにステージに上がるロビンと太一。

Cojacoの唄に合わせて、ステージ上でカチャーシが始まる。

泡盛も回り、テンション最高潮のロビンと太一は 他の客に負けないように激しく踊る。

ろびんの旅行記

「お兄さんうまいねー。」

太鼓を叩く男性がロビンに言う。



「みなさんありがとうございましたー!」

ライブ開始から30分少々。

CojaCoが最後の曲を歌い終わると店内は割れんばかりの拍手に包まれる。

「一緒に写真撮ってもらおうぜ。ブログに載せるからさ。」

CDを手売りしているCojacoをつかまえて 一緒に撮影する。

「はい。シーサー!」
パチャリ


ろびんの旅行記




3月7日 20:10

一行が入ったのは紅豚料理の"なぁびやぁ"

ろびんの旅行記

真っ赤に彩られた店内は、沖縄というより中華の雰囲気があった。

まずはオリオン生を5つ頼む。

隣の席の人たちは、豚しゃぶを大量に食っている。どうやら食べ放題のメニューがあるようだ。

しかし、僕らは数十分後には"とぅばらーま"に行って 島人ライブを見たいので 食い放題などをしている場合ではない。

店員を呼び、食べたいものを注文する。

「てびち鍋と、ラフテー」

「はい」

去り際の店員にロビンがこっそり何かを言う。

「・・・・ボソボソボソ」


ろびんの旅行記

ダイビングでの疲れなんて なんのその。一気にビールを流し込み、早速のおかわり。

てびち鍋やラフテー、カレーライスが出てくる。

「カレーライス!?」

「だって食べたかったんだもん」

ロビンがかわいく言う。


てびち鍋をエッチャンが取り分けてくれる。

しかし、1人前しか注文していないので、てびちが少なく、取り皿5つに対して、てびちが4本しか無い。

ロビンが取った皿には大きめのてびちが入っていた。

太一の取った皿には残念ながら それが入っていなかった。

ろびんの旅行記

「太一。オレが少しかじったやつだけど食べる?」

と、ロビンが太一に聞くと

「おぅ」

と言って、迷うことなくコラーゲンたっぷりのテビチに食らいついていた。

もっちりトローリしていて美味しかったぁ。


時計を見ると、あと20:40。

あと20分ほどでライブが開始される。

ジョッキの中のビール残量を考えると、非常に微妙だ。

しかし、迷うことなく3杯目のビールを注文し、そして飲み、そして退店した。


3月7日 20:55

一行はホロ酔いで 目的のお店の前に到着する。

この旅行最大の宴が始まる。





エッカホテルに戻った ロビン・イッタン・太一・トモオは早足で部屋に戻る。

エッチャンが不機嫌じゃなければいいなーと思いながら部屋の扉を開ける。

ロビン「ただいまー。コンタクト買えたよ!」

エッチャン「おー。よかったねー」

エッチャンは寝起きっぽい顔で答える。

さては寝てたな。

ロビン「もう、すぐに出かけよう! 時間がもったいない」

この旅行の2回目の夜にして、最後の夜だ。精一杯楽しまなければ。


ホテルの前でタクシーを呼び止める。

トモオ「5人なんだけど いいですか?」

助手席にロビン。それ以外の4人は後部座席に座る。

この旅行で2度目のタクシー5人乗り。そして最後の5人乗りになる。

「どちらまでですか?」

運転手に聞かれると

「とりあえず、国際通りのマキシ辺りにお願いします。
あ。さっき、イッタンが行ってみたいって言った店あったじゃん?」


と、ロビンはイッタンに聞く

トモオの運転でホテルに戻ってくる最中に、イッタンが携帯で探した店である。

イッタンは再度携帯をいじって、再びその店の情報を画面に表示させる。

イッタン「はい。ここ。」

イッタンは そう言って携帯をロビンに渡した。

「運転手さん"とぅばらーま"って店知ってますか?」

「"とぅばらーま"って何ですか?」

何ですか?って、あんた。沖縄の超有名な民謡でしょ?

「えっと。分かりました。私が案内します。」

タクシーは走り出す。


「どうしたのエッチャン。小さくなっちゃって」

トモオが小さくかがんでいるエッチャンに聞く。

「6人も乗っちゃってるのを(警察に)見つからないようにしてるの」

とエッチャンは答える。


ロビンの案内でタクシーは出発から10分程度で目的付近に到着した。

助手席のロビンが支払いを済ませる。


エッチャン「この店来たことあるよね?」

エッチャンが通り沿いにある店を指差し、ロビンに聞く。

「あ。本当だ。前に沖縄来たときに 入ったね。この店」

店の名前をみると"とぅばらーま"と書いてある。
って、ここが目的地じゃん!!

ろびんの旅行記

店の前に立っている店員さんに

「今日って島唄ライブやりますか?」

「もうすぐ始まりますが、ただいま満席なんですよ」

「そっかぁ。残念。」

「9時からのライブならば席が空くと思いますが」

時計を見ると、20時ちょうど。あと1時間か。

「わかった。じゃぁ、9時くらいにまた来ます。」

ロビンはそう言うと、1時間くらい別の店で過ごそうと思い 国際通りを歩き出す。


やや魅力的な店が何軒かある。どこに入るか決めきれずに もう少し歩く。

「あんまり歩くと危険なんじゃね?」

何が危険かというと、昨夜の "食 い 逃 げ" の可能性がある店に近づいているからだ。

「よし!ここに入ろう!」

ろびんが決めたのは"アグー豚"をウリにしているお店だ。

沖縄と言えば豚! 食ったるで!!

ってか、早く飲みたい。
ショッピングセンター サンエーはかなり巨大で、どこから店に入ればよいか分からない。
小走りで入り口らしきところから入ってみる。

店舗内にある案内板を見ると、1階に「東江メガネ コンタクト」という店がある!

「コンタクト売ってくれー」

と、言いながら ロビンと太一は競歩のような走り方で1階に向かう。
* 店内を走ってはいけません。しかし、急いでいます。という感じ。

1階のフロアを、他の店には目もくれずにコンタクト屋を目指す。
あ!あった!!東江コンタクトって書いてある・・・けど、小さい店だな。

隣のメガネ売り場は広いのに、コンタクトコーナーは非常に地味。

受付に、俺らと同年代くらいの男性が立っている。

「沖縄に旅行に来たんですが コンタクトもメガネも忘れてしまいサゲサゲなんです」

と、不要な前置きをして。

「コンタクトってすぐに売ってもらえるものですか?」

「普段使っているものはなんですか?度数とベースカーブが合えば大丈夫ですよ」

え?初めて来る店でもそれでOKなの?

「えっと、ワンデーアキュビューの度数は左が・・・」

ロビンは自分のコンタクトの銘柄と度数、ベースカーブを伝える。

「ありましたよ。ちょっと高いと思いますがいいですか?」
「金ならあります!」

普段は1か月分5,000円弱で買っているコンタクトを、7,000円で購入した。

地元の友人オッソにそっくりな顔をした 東江コンタクトの比嘉さん!ありがと!!

すぐさまイッタンに電話をして、車の位置を確認する。ツタヤの前らしい。

どこの出口から出ればいいか分からないが、とりあえず競歩っぽい走り方(歩き方?)で店の出口を目指す。

サンエーを出て左を見ると、ツタヤとその前に停まっている赤いエクストレイルが目に入った。

赤い車めがけてダッシュして、車の後部座席に滑り込む。

トモオ「買えたの?」

ロビン「買えるもんだねぇ~」(←もう中学生風)

「ってか、ずっと走って疲れただけだった。行かなきゃよかったよ」

と太一がハァハァ息をしながら言う。たしかに あんたは何で車を降りたの?



トモオの運転で車はホテルを目指す。


途中、サンエーに向かう途中にあった"南風"と書かれた沖縄料理屋が見えた。
店の前には沖縄の民族衣装(?)を着たお姉さんが立っている。

「こんにちは~」

ロビンが窓を開けてお姉さんに話しかける。

お姉さんはニコニコしてコチラを見る。

「お姉さん どこから来たの?」

ロビンが再び声をかけると、車は勢い良く発進する。

太一「どこから来たの?って、普通 向こうが聞く質問だろ!」



「イッタン!ファミリーマートあるよ!」

ロビンが指差すと

「おもろまち四丁目店!!」

ファミリーマートがあると、イッタンに報告し イッタンが店名を言うという、昨日から続く遊び。

急にトモオがハンドルを切り、ファミリーマートに駐車する。

ろびんの旅行記

トモオが車を降りてファミマの中へ行く。タバコでも買うのかな?

ロビンはその隙に、購入したてのコンタクトを開封して、車の中でコンタクトを装着!!

うぉー!見えるぅぅぅううう!!


トモオが戻ってきた。

「ほらよ」

と言って、オリオンビール(500ml)が手渡される。

「お前ら飲まなきゃ おもしろく無いんだから飲めばいいじゃねーかよ!」

「はーい」
「はーい」
「はーい」

ホテルまでの帰路の車中で、最後の夜の宴が始まった。

ホテルに待たせているエッチャンは・・・怒ってるかな??

3月7日 17:30

エッチャンを除く4人は1階ロビーまで行く。

「この辺りでコンタクト屋さんってありますか?」

ロビンはフロントで確認する。

フロントの方は、近隣マップを手に説明をしてくれる。

「コンタクトを扱っているか分かりませんが、ここに1軒メガネ屋があります。それと、ここにサンエーというショッピングセンターがございます。その中にも確か・・・」

説明を受けた地図をもらい、駐車場に行く。

「なんなら俺が運転するよ」

「いやいや。いいから。」

そう言ってトモオが運転席に座る。

フロントでもらった地図を頼りに車を走らせる。


しばらく車を走らせると「あれ!メガネ屋じゃない?」

トモオが指差す先にメガネ屋がある。

「寄るぅ!!」

ロビンが言うと、トモオはハンドルを切りメガネ屋の駐車場に入る。


「いらっしゃいませ」

沖縄らしい顔つきのお姉さんがいる

「旅行で沖縄来たんですけど、コンタクトを忘れてしまって 全然沖縄を楽しめないんですよ」

と、意味無く前置きを話す。

「コンタクトを売って欲しいんですけど」

「普段お使いの銘柄と、度数、ベースカーブが分かれば 在庫次第で、すぐにお渡しできます」

「本当ですか?ワンデーアキュビューの・・・」ロビンはお姉さんに銘柄・度数・ベースカーブを伝える

「残念ながら在庫がありません。明日(月曜日)発注すれば、明後日(火曜日)には届くと思います」

「明日沖縄から帰っちゃうんですよ。明後日には自宅にあるコンタクトが使えるので、それじゃちょっと・・・」

「申し訳ございません」

「じゃぁ、メガネってすぐに作ってもらえますか?」

「レンズの在庫があれば作ることができます。○○さん、メガネ作るならどれくらいの時間でできますか?」

お姉さんは、奥にいるオッサンにメガネが出来るまでの時間を確認する。

「まずは視力の検査してからだな」

「もう度数は分かっているので、レンズの在庫があるか分かりますか?」

「視力検査しなきゃ在庫があるかどうか分からないね」

「いや。もう度数が分かっているので・・・」

「いや。すみません。結構です。他のメガネ屋をあたります」

客のことを見向きもしないで、理解をしようとしないオッサンのところでメガネを作る気にもならない。

「他に在庫がありそうなメガネ屋ってどこにありますか?」

メガネ屋で聞くにはあまりにもヒドイ質問だが、嫌味たっぷりに奥のオッサンに聞いた。

「サンエーというショッピングセンターにメガネ屋とコンタクト屋が入っています」

お姉さんは丁寧に教えてくれた。


再び車に乗り込み、トモオの運転で車は走り出す。

大通りに出る手前に"南風"という、いかにも沖縄料理という構えの店がある。
入り口には、艶やかや沖縄衣装を着た女性が立っていた。

「おー!沖縄っぽくていいじゃん。あの店」

そう言うが、車ではさすがに行けない。飲んじゃうから。



大通りに出ると車が多く、思ったように進めない。

左斜め前に、大きな建物が見える。あれがサンエーだ。思っていた以上に立派だ。これは期待できる。
ろびんの旅行記

「車が進まないから、ここで降りて ダッシュでコンタクト屋に行ってくるわ」

ロビンはそう言うと、車を降りようとする。

「ロビンだけに行かせられないわ」

太一もロビンと一緒に車を降りた。

ロビンはコンタクトが手に入るかもしれないと思うと、テンション上がる。

「急げー」

ダッシュで階段を上る。

ショッピングセンターと言うには立派過ぎる建物だ。
最初に目に入ったのは、大きな映画館だ。


おぉ。ここだけでも半日くらい遊べそうだ。
ろびんの旅行記

と、思うも何よりも先にコンタクト屋だ。
太一!急ぐぞ!!


「コンタクトって沖縄で買えないの?買えるなら今から車で行って買っちゃおうよ」と、トモオからの提案だ。

基本的には処方箋が必要なんじゃなかったかな?と思いながら、Zoffのようにその場でメガネを作ってくれる店もあるので、コンタクトが買えなかったら メガネを買えばいいやと思い、ロビンはトモオの提案をありがたく受けた。

ロビンはエッチャンより先にシャワーを浴びて、エッチャンが準備をしているうちにコンタクト屋さんに行ってしまおうという計画で、チャッチャとシャワーを済ませ、隣の太一、イッタン、トモオがいる部屋に行った。


トモオと太一はすっかり普段着でくつろいでいた。すると、イッタンが部屋に戻ってきた。手にはオリオンビールの缶が数本。

「もうみんなシャワー浴びたの?」とロビンが聞くと、3人は目を合わせる。

「オレはいつも一番最後だろ?トモオとイッタンが入らなねぇから、オレがシャワー浴びれねぇじゃねーかよ」

そんな順番決まってたの?ってか、そもそもみんなシャワー浴びるつもりはなかった?船で浴びたし。

結局、イッタン、トモオ、太一の順番でバスルームに行く。

数分後・・・全員シャワー終わり。

それにしても、3人ともシャワーが終わるのが早い。

「先に旅行料金払いたいんだけどいい?」と太一が言うと

「オレも払いたい」とイッタンが続く

ロビンは旅行代(飛行機、ホテル、レンタカー代)を全員分立て替えていた。

「だから、お前ら言っただろ!旅行の日に 払わないでくれって。」全員が旅行中に、旅行代をロビンに支払うと、ロビンはかなりの大金を持ち歩かなければならないので、事前もしくは事後に払うようにお願いしていた。

「いくら沖縄で使えるか分からなくなるから払わせろ」

「しょうがないなー。一人35,900円ね」

時期が3月上旬ということもあるが、2泊3日のホテルと往復の飛行機、レンタカー代も込みと考えれば破格だろう。

「三万五千・・・いくら?35000円でいい?」

「端数を嫌うなら、普通36,000円にするだろ!"立て替えてくれてありがと"みたいな感じで。ま、35,000円でもいいけど」

この感覚、嫌いじゃない。しかし、太一はちゃんと35900円払った。

ロビンはイッタンからも35,900円を受け取る。

「あれ?10万くらい持ってきたのにお金足りない??」

「マジでか?10万も使わないだろ」

ロビンはふと思い出した。

「イッタン。昨日の夜の2軒目の飲み代いくらだった?」

イッタンだけを置いて出てきてしまった、あの2軒目だ。

「え?払ってないよ?ロビンたちが払ったんでしょ?」

はっきり言って記憶が無い・・・。具体的に言うと、ホテルに帰ってきてからの記憶はあるが、店を出た記憶やらタクシーに乗った記憶は断片的である。

「まさかの・・・」
「食 い 逃 げ ?」
「食 い 逃 げ ?」

きゃー!沖縄に来てそんなことするなんてーーーー!!
ってか、そんなことは無いだろう。

「と、とにかく イッタンが何にお金を使ったかを計算すれば分かるんじゃない?」

「Suicaに2万円チャージして、ダイビング代で1万くらいでしょ、それから旅行代で3万6千円、昨日の夜 太一と二人で出かけて9000円使って・・・」

「細かいこと言えば、朝の空港でビール飲んで、闘牛見るので1500円、そのときに買った缶ビール、夜飲みに言ったので3000円、置いていかれた後にラーメン食べたって言ったじゃん、それとタクシー乗って帰って来たんでしょ、それとサンダル買って・・・」と記憶の糸を辿る

それらを合計すると、85,000円程度。
イッタンの財布には1万ちょっとだけ残っている。

「あれ?合ってる。沖縄高けぇ!」

いやいや。Suicaに2万円もチャージしている時点でおかしいんじゃないか?
今の計算で分かったのは、イッタンの財布に残っている金額は間違っていないことと、イッタンは昨夜の2軒目の会計をしていないと言うこと。

「じゃ。1万円は、あとで払って」

と言って、イッタンから預かったお金の中から、1万円をイッタンに返す。
そうすればイッタンの財布には2万少々。普通に遊ぶなら十分な金額だろう。

今朝からロビンは自分の財布の中をみて、何か寂しいと感じていた。
きっと2軒目の会計をしたんだろう。
今までそんなことはなかったし、金はちゃんと稼いでいるし、100円ビールなので金額もたいしたことなかったし。うん!ロビンが払ったんだ!

「すげーな。普段じゃ有り得ないことが重なると、無銭飲食が成り立つんだね。
 ・全員が相当な酔っ払い
 ・隣の席のヤツらと仲良くなってみんながバラバラに座る
 ・イッタンだけを置いて帰る
 ・お互いがお金を払ったと思い込む」


たしかに普段有り得ないことが重なった。しかし、ロビンが支払ってるわ。きっと。


「お前ら何やってるんだよ。早く行くぞ」

太一は、イッタンが買ってきたオリオンビールを飲みながらエラそうに言う。


おいおい。お前は運転席に乗らないつもりだな!!


沖縄でコンタクトが手に入るのか??
船が港に近づく。大きなエンジン音を立ててゆっくりと接岸する。

「エッチャン。着いたよ」
「うん・・・。」

激しく揺れる帰りの船に耐え切ったエッチャンはゆっくりと体を起こす。
真っ青な顔色。

各自荷物を持って船から陸に戻る。一日中船の上にいたせいか、地面が揺れている感覚になる。

機材はすべてスタッフの人が下ろしてくれたので、僕らはほぼ手ぶらでダイビングショップまで歩いていく。

船の上にいたときには雨が降っていると思っていたが、那覇港は雨は降っていなかった。しっかり曇りだが。

ろびんの旅行記

ダイビングショップに着くとトモオはタバコを吸いに、太一はトイレに行った。
ロビンは会計を済ませるためにスタッフさんに声をかける。

とりあえず5人分の金額をまとめて払う。体験ダイビングは、クーポンを利用させてもらったので 一人当たり8800円+弁当600円だ。慶良間まで行けて、スノーケルできて、ダイビングできて、機材レンタルも全て入っていて、メシも食えて この値段は破格ではないだろうか。

レシートを見ると、「小物 1点 1500円」 と記載がある。なんだっけこれ?と思いながらも、みんなからお金を徴収する。

イッタンが1万円札をロビンに渡して。「お釣りはいいよ。」と言ってくれた。

でも、ロビンの財布にはちょうど600円あったので、「ちょうどあったから」と言ってイッタンにお釣りを返す。

トイレから戻ってきた太一に「9400円ね」と言った瞬間に思い出した。そういえば、朝のダイビングショップで太一がこっそりサンダルを購入していた。その金額が「小物 1500円」だ!

「違う。太一は10900円ね」と金額を言い直す。

「なんで俺だけ1万円超えるんだよ!ボッタクリかよ!」と太一が言うが、説明するのも面倒なので「そうそう。ボッタクリなの」とだけ言い、10900円を受け取る。

イッタンの態度とはエライ違いだ。

三浦さんが「ロビンさん達は、ログ付けどうしますか?」と聞いてきた。

体験ダイビング組を待たせるのはやだからなー。と思い、ショップでのログ付けは断ってしまった。

エッチャンとロビンは二人で、レンタルした機材を洗い、所定の場所に置いた。

「もうホテルまで帰りますか?」とスタッフの方に声をかけてもらい、「帰るの!?帰らないの!?どっちーー??」「帰るー!」「帰るー!」と勢いよく返事をした。

全員でダイビングショップの車に乗り込みエッカホテルまで送ってもらう。

車中にて「こんな天候の日にダイビングなんかするんじゃないわ」とリアルな感想を口にしてしまった。きっと運転をしてくれていたスタッフさんにも聞こえていただろう。

しばらくして、車はホテルの前に到着する。

全員がダイビングの機材をフルレンタルだったので、身軽な状態で車を降りる。

運転してくれたスタッフさんにお礼を言い、ホテルに入っていった。




3月7日 16:30

ダイビングを終えた一行はホテルの各部屋に着いた。

「全員シャワー浴びたら 夜の始まりだーー!」

と・・・夜の始まりの前に・・・、この視力0.1無いロビンが裸眼で沖縄の夜を楽しめるのか!?っていう疑問を解決しませんか??

慶良間諸島を出発した船はさらに速度を上げる。外洋からの波を直接受ける。

船酔いをしないロビンでも、この揺れの中を1時間も過ごすのは厳しい・・・。

寝てしまおうと壁に寄りかかり目を閉じて意識を飛ばす努力をする。

向かい側に座っている太一とトモオも同様に目を閉じて強い揺れをやりすごそうとしている。


ろびんの旅行記

唯一イッタンは、つかまる所も寄りかかるところも無く ひたすら揺れに耐えている。

キャビンの中で一人ロデオ状態だ。


バーンっ!!船が波に跳ねて激しい縦揺れが起きる。

ウトウトしていた意識から覚醒する。周りを見渡すとロデオイッタンと目が合う。

また目を閉じる。

バーンっ!!と、船が波に跳ねるたびにイッタンと目が合う。

イッタンだけ寝られずに辛い時間を過ごす。


ウトウトウト

無意識と現実を行ったり来たりする。


バンっ!!信じられないほど大きな音がした。

さすがのエッチャンも目を覚ます。

音がした方を見る。


スタッフの上原さんが、床下の収納スペースから替えのタオルを出そうとして、手を滑らせて床下収納のフタを勢いよく閉じてしまった音だ。

ふざけんじゃねーよ。心臓止まるかと思ったぞ!


その後も船は激しい揺れのまま航行を続ける。


トモオの横に座っていた女の子が船の揺れに注意しながらエッチャンの方に近づいてくる。

「あの。これ良かったら飲んでください。すぐに効く酔い止め薬です。」
女の子の手には、ユンケルのような小瓶に入った酔い止め薬があった。

周囲の人から見ても、エッチャンの具合の重症さは分かるらしい。

エッチャンが少しだけ頭を上げて「他の薬と一緒に飲まないほうがいいので要りません」と、キッパリと断った。

しかも断る説明に情報が少なすぎて、なぜ要らないのかも分かりにくい。

女の子は少し気まずそうに、元いた場所に戻っていった。




これは後でトモオと太一から聞いた話だ。

酔い止めをくれようとした女の子は男性と二人で参加していたようで、その子も船に弱く すぐに船酔いしてしまうようだ。

そのため、いざと言うときの すぐ効く薬を持ってきていた。

その子も、激しい揺れの船で すっかりと辛い状態になっていたにも関わらず

「私がこの薬飲むより、あの子(エッチャン)にあげた方がいいよね?すごい辛そうだもんね」「いきなり渡したら困るかな?」などと、彼氏に相談していた。

結果、自分が辛い思いをしていても、自分よりも辛そうにしている人に薬を飲んでもらおうと、勇気を振り絞り見ず知らずの人に話しかけた結果、エッチャンにキッパリと断られ、かなり気まずい雰囲気になったようだ。


だから、トモオと太一はニヤニヤして寝たフリをしていたのか。



激しい揺れの中、慶良間を出発してから1時間ほど経過し、やっと那覇の港が見えた。


泳ぎながら水中を見る。うねりがあるので水中も濁りがあるのだろうが、それでもキレイな海だ。

ロビンのそばで太一が泳いでいた。

イッタンが一生懸命ロビンと太一の方に向かって泳いできている。

イッタンが"RESUCUE"の浮き輪が無くても、うねっている海を泳いでいる!感動!!


イッタンがロビンと太一のところまでくると
「ちょっと つかまらせて」
と真剣な声で言って太一の肩につかまる。太一は少し水中に沈む。

「イッタン大丈夫?」
とロビンが聞くと
「ちょっと待って」
との回答。

「(ダイビングで)潜っちゃった方がラクだわ。もう戻るね」
そう言って、再びウネリの中を船に向かって泳ぎだした。


ロビンは船の位置を確認しながら、一番近くにある島に向かって泳ぎだした。その距離300mほど。

白い砂浜が目に入ったので、上陸してやろうと考えた。

海の中を見ながら、ときには軽く潜りながら陸に近づく。

あと15mほどで陸というところで、浜に強い波が打ち寄せているのが見える。

ロビンの体も流されては戻されて、波の強さを体で感じる。

これ波に飲まれたらヤバイかも・・・。

そう思い、波に体を持っていかれながらも船に引き返すことにした。

うねりの中を泳ぎながら水中を見ていると・・・ん?海底付近にある岩が動いているように見える。

あれ!ウミガメじゃね?

と、思うものの 波やうねりが強くうまく泳げない。

島からある程度 離れると波も感じなくなり、さきほどの亀らしきものを探す。

・・・が、離れすぎてしまったのか見つからない。

きっと、あの亀は ロビンのことを竜宮城か亀仙人のもとへ連れて行ってくれようとしたのだろう。


余談だが、ドラゴンボールに出てくるウミガメの声と キン肉マンに出てくるロビンマスクの声は、同じ声優が演じている。


船が近くなり、海面を見渡すと 誰もいない。みんな船に戻ったようだ。

3本目のダイビングに行ったダイバーが浮上してきているのであろう。

海面には白い泡がいくつも上がってきた。


ダイバーが船に上がるタイミングとかち合うと面倒だと思い、ロビンは慌てて船に上がった。

船に上がると、風に当たり寒さが増す。

水中の方が寒くないといつも感じてしまう。


1階のデッキで、フィンとマスクを外しタオルで顔を拭いていると
「お帰り。結構遠くまで行ってたね」
と、すでにウェットスーツから普段着に着替えたトモオが声をかける。

太一もすでに着替えが終わっていた。


ロビンは、船の床下に隠れていたお湯が入ってる浴槽(?)に体を沈める。あったけー!!

欲しい設備が整っているなー。この船は。

体をある程度温めたら、ウェットスーツを脱ぐ。風が冷たい・・・。

水着一丁になったら今度はシャワールームに行き 頭からシャワーを浴びる。温かいっ!

その後、"ひとり一枚まで"と言われたバスタオルで全身を拭く。

ダイビングで必要なものを全部準備してくれるんだなー。本当に至れり尽くせりだ。

水着から普段着に着替え、1階のキャビンに入る。風がこなくて暖かく感じる。


トモオと太一は既にキャビンにいた。

壁際のベンチシートに二人で仲良く座り 寝ている。

ロビンはその向かい側の壁際にあるベンチシートに座る。

エッチャンが着替えを終えてロビンの横に座った

「大丈夫?」
とロビンが聞くと
「ダメ・・・」
という二文字の答え。

ロビンがベンチシートに横になるように促すと、エッチャンは素直に横になった。

着替え終わり、キャビン内に遅れてきたイッタンは座るところが無く、バスタオルが置いてある台に腰掛けた。


船のエンジン音が高くなる。船は那覇の港に向けて発進した。

相変わらず船の揺れは強い。


イッタン以外の4人は、寄りかかれる壁があるが イッタンには それが無い。

座った位置が違うイッタンだけ、那覇までの航行が辛いことになるなんて・・・