僕のtwitterのタイムラインで「LiPoバッテリーのストレージ(保管)」モードについての質問を受けたので、簡単に説明したいと思います。

 

なお、この話は、バッテリーや充電器よって仕様の違いがあるので、あくまでも一般的な話として捉えてください。それから、この記載内容に従って何か事故が起こっても僕は責任取れません。その点を留意の上で読んでください。

それから、もっとLiPoバッテリーの特性に関して詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ見て下さい。

 

 

  1. 「ストレージ」モードとは?

 

LiPoバッテリの「ストレージ」モードとは、

バッテリを保管する時に理想的と言われている“容量:(約)30%”の状態にすること。

です。なので、

  • バッテリーの容量が30%より少ない時には、充電する 
  • バッテリーの容量が30%より多い時には、 放電する

という制御を自動的にやってくれます。

 

リチウムイオン電池の特性として、電流を流していない時の電圧(これを「OCV: Zero Current Voltage」と言います)によって電池容量が決まるので、ほとんどの充電器はバッテリの電圧で制御していると思います。

 

僕の持っているHitecの充電器の場合には、

  1. バッテリー電圧: 7.6V (単セル当たり: 3.8V)
  2. 容量: 35%

にしてくれる仕様でした。

 

  2. なぜストレージモードが必要なのか?

 

目的は以下の2つです。

  1. 万が一の短絡事故が起こった時に、バッテリーの電気エネルギー量が少ないので二次被害を軽減する
  2. バッテリーの寿命を伸ばす

あまり知られていませんが、バッテリーは使っていなくても時間が経つと劣化していきます。「劣化」と書きましたが、具体的には、容量が減り/内部抵抗が増える形で性能が劣化します。

 

しかも、リチウムイオン電池の場合には、容量:100%の状態が一番劣化が進みやすく、容量:0%の状態が一番劣化が進みにくい、という特性を持っています。その為、容量:0%付近で保管するのが理想的ですが、一方で「自己放電(使っていなくても自然と放電すること)」の問題あるため、「過放電(容量:0%以下まで放電してバッテリーにダメージを与える状態)」を避ける為に、間をとって容量:30%に設定される訳です。

 

  3. 理想的な保管環境は ?

 

リチウムイオンバッテリー理想的な保管環境は、以下の2つの条件です。

  1. 保管温度は低いほど、劣化が少ない

  2. 保管中のバッテリー容量は少ないほど、劣化が少ない

温度に関しては、できればメーカーが推奨する温度範囲の一番低い(寒い)方で保管する事をお勧めします。

もし、神経質になるのであれば、保管中はジップロックに入れて冷蔵庫に入れておくという裏技もあります(冷蔵庫は湿気が多いのでジップロックに入れないと他の故障を誘発する)。これは嘘みたいなホントの話です。電池メーカーで単セルを長期保管する時は、彼らも10℃以下の冷蔵庫で保管しています。

 

ただ、電池の劣化が著しくなるのは30℃以上の温度なので、室温で保管すれば十分だと思います。

 

もう一方の容量に関しては、満充電付近(容量:80〜100%)で一気に劣化が著しくなります。従って、ストレージモードで容量:30%まで減らして保管する訳です。ただ、80%以下まで放電するだけでも十分に効果あります。

(最近のMacに、80%までしか充電しないモードがあるのはこれが理由です。)

 

なので、僕は普段はストレージモード使っていません。容量:50%程度まで走らせてそれで終わりです。

 

  
3.  長期保管注意点は ?

 

長期保管時は、自己放電による過放電を防ぐ為に、定期的(3ヶ月に一回程度)ストレージモードで補充電をかければ十分だと思います。

 

ただ、そもそもの使い方として、リチウムイオンバッテリーは使っていなくても劣化するので「買い置き」は推奨されません。例を挙げると、僕の会社の契約では、製造後1年経った電池の性能は補償しないとメーカーの仕様書に描かれいました。電池メーカーの人は「電池は生物だよ」とよく言います。

(なので、僕はLiPo電池を3本しか買っていません。)

 

それから、ここまで書いた保管方法は、「この方法に従わないと壊れる」というものではなく「こういう使い方をするとより長持ちする」という話です。あまり神経質になる必要も無い一方で、日々の心掛けが1年2年後に効いてくるので無駄ではない知識です。

 

参考になれば幸いです。

それ以外にも何か疑問があればわかる範囲で答えますので、コメント欄に書いていただければ幸いです。