「ほあた★★★★」
魔法のステッキを持った佐久間は、軽快なステップで不動に近付き、ステッキを振った。
ボムッと音を立て、辺りはピンクの煙りに包まれる。
「げほ、ごほ。」
煙が引いた先にいたのは、何とも可愛らしい耳と尻尾の付いた『あきにゃん』だった。
「言うべきことはそれだけか………。」
佐久間の胸ぐらを掴み、不動は勢い良く揺さぶる。
すると俯いていた佐久間は顔を上げ、やけにキリッとした顔でこう宣った。
「期待してたのと違った。」
だからもう一度やらせろ…と。
「誰がやらせるかぁ!!!」
ぶんっと佐久間からステッキを奪い、不動は怒りに任せてへし折ろうとした。
しかし、その手は何者かによって、やんわりと止められる。
「折ったりして戻れなくなったらどうするの?」
「グラン………。」
「これ、佐久間君がこれ以上イタズラしないように持っておくよ。」
きゅっとヒロトはステッキを持ち、返事も待たずに出ていった。
♪
「さ~て、あとはバーンを見つけるだけだね。」
「何してるの?」
浮かれて鼻唄を歌うという若干気味の悪い行動をとっているヒロトに、臆すことなく話し掛けたのは、吹雪士郎だった。
「やぁ!今バーンに素敵な魔法をかけてあげようと思って捜していたところなんだよ。」
「へぇぇっ、そうなんだ~。」
流石の士郎も引きぎみである。
「あ、信じてないね…。まぁ、見てるといいよ。丁度前から獲物が接近してきてることだし。」
運が良いのか悪いのか、ガゼルと共に向かってくるバーンに、ヒロトはステッキを向けた。
「ほあたあああっ!!」
「何だか凄い掛け声だね!!」
ぼわんと辺りは黄色い煙がに包まれる。
「こほこほ…」
「げほっ、ごほぉっ!!」
だんだんと引いてきた煙の奥には、何ら変わりないガゼルがいた。
「変わらないよ?」
「そりゃ、ガゼルにはね。でも、バーンには大成功だよ。」
ガゼルに続いて現れたのは、小学生低学年位のバーンだった。
「はるや~~~~~!」
ヒロトはステッキを放り投げると、小さなバーンを抱え上げ、頬っぺたと頬をすり合わせ、ぐりぐりとした。
ヒロトの投げたステッキは、そのまま士郎の手に渡る。
「…………。」
士郎は半眼でステッキを見つめ、アツヤが待っている家へと持って帰ることにした。
「て、訳なんだよ。」
事のあらましをアツヤに説明すると、アツヤはステッキに向かって合掌した。
「何してるの?」
「二人を元に戻して下さいって祈ってる。」
「アツヤが戻してあげればいいのに…。」
「俺が『ほあたっ♪』って?」
アツヤは、げんなりとした顔を士郎に向けた。
「うん。」
無駄にキリリとした顔で言う士郎に少し苛立ったアツヤは、ステッキを持ち上げると、士郎に向けて「ほあたっ!」と呪文を唱えた。
辺りに水色の煙が広がる。
「げほっ、いきなり何するのさって、うわああっ!!」
士郎は自分の格好に気が付くと、顔を真っ青にした。
「マジョッコシロー、あきにゃんとはるやたんを助けに行くの巻。その魔法は二人を助けるまで解けない使用になってるから、宜しくなっ!」
どこぞの『俺だよ★』よろしくのウィンクをアツヤはぶちかますと、そそくさと部屋を出ていった。
このステッキで二人を戻すのは良しとしよう。
さて、僕が戻った後、アツヤにはナニしてもらおうかな……。
フフフと怪しげな笑みを浮かべながら、士郎はマジョッコスタイルという実に変態的な格好で、目標に向けて歩き始めた。
オチが行方不明になった結果。
変態トリオの鬼道さんには、今回お休みしていただいた。
しかし、あきにゃんの元には変態鬼道がいるから大丈夫。
毎度のことだが、意味はない!!