スザライ | ゴミ箱

ゴミ箱

ここはネタをどんどん載せる場所です。
昔の多いよ!
ジャンル?
沢山!!
目当ての物は検索して下さい。

今までずっと僕の周りは変化し続けてきて、これからもそれは変わらない。
けど、この感情だけは変わって欲しくない。
そう思うんだ。

生徒会室で仕事をしていたライは、ふと顔をあげ、すっかり暗くなってしまった窓の外を見た。
先程まではミレイさんがいたが、彼女もほどほどにしておきなさいよ。と言い残して去っていった。
時々無性に消えたくなることがある。
記憶が戻ってからは、特に。
そう思っているときに皆が声を掛けてくれて、どうにか足を踏ん張っているけれど・・・。
居るべき場所に戻るべきなんじゃないか、等と考えてしまう。
今を大切に・・・それを忘れたわけじゃない、それでも・・・。

「ライ・・・大丈夫ですか?・・・・・・ライ?」
会議はとっくに終わったというのに、控えていた場所からなかなか動かない僕を見て不思議に思ったのだろう、皇女殿下がわざわざ僕の肩を揺さ振りに来ていた。
あまりの激しさに吐き気がしてくるほどだ。
「だ・・・大丈夫ですから、あ・・・あまりゆさぶらない・・・で、下さ・・・い。」
その言葉に安心したのか、皇女殿下はほっとした顔を見せて微笑んだ。
「ライがぼんやりするなんて珍しいですね、心配事ですか?」
「いえ、たいしたことでは。」
安心させるように笑顔を作る。
「そうですか、何かあれば遠慮せずに言って下さいね。いつも私ばかり助けて頂いて、もっとライの役に立ちたいのです。」
「いえ、とんでも御座いません。救っていただいているのは私の方です。・・・・そろそろスザクも帰ってくる頃ですね、迎えに行かれますか?」
「え、えぇ。勿論。」
皇女殿下は少し寂しそうな顔をした後、歩き始めた。

自室のドアを開けると、ベッドの上にここ数ヶ月で見慣れた黄緑の色をした髪が散らばっているのが眼に飛び込んできた。
ついでにピザの匂いまで充満している。
「また君か、いつも言うけど、ベッドに転がるのは構わないが、ピザをベッドの上で食べるのは止めてくれないか。」
「そうけち臭いことを言うな、お前も食べてみれば分かる。ベッドの上で食べるピザは格別だぞ。」
何処で食べても同じだろうと思いながらも、それ以上は何も言わず、C.C.が寝そべっているところの近くにイスを引き寄せ、腰掛けた。
「今日はどうしたんだ?」
「ふるーふはひんはい・・・していたぞ。」
ピザを口に入れながら喋ったため、最後しか聞き取れなかった。
「物を口に入れたまま喋られても何が言いたかったのか分からないんだが・・・。」
「だから、ルルーシュが心配していたぞ。と言ったんだ。」
「ルルーシュが?」
C.C.は指先を舐めながら頷く。
「ユーフェミア皇女殿下にも何か言われなかったか?今日の会議中お前は始終上の空だったからな。」
「そんなに酷かったのか・・・。」
眉間にしわを寄せながらそう言えば、C.C.は少し呆れた顔をしながら言った。
「あれが酷くなければ何を酷いと言うのだろうな。」
僕は溜息をつくことでそれに応える。
「まぁ、考えていること等予想がつくが・・・あまり余計なことを考えるなよ・・・ボウヤ。」
それだけ言うと、C.C.は立ち去っていった。

今日は特派でシュミレーターに乗ることになっている。
何でも新機能のテストだとか。
ロイドさんが楽しそうに話しているのを、ぼんやりと聞いていた。
「そういえばライ君、最近ちゃんとスザク君とは話できてるの?」
ロイドさんのことを完全に無視してセシルさんが訊いてくる。
「えぇ、この前もユーフェミア様と一緒にスザクを迎えに行きましたけど?」
「そう意味じゃぁ無いんだよねぇ。」
ロイドさんは説明を止めて、会話に入ってきた。
「二人でちゃんとじっくり話したり、スキンシップとったりしてないんじゃなぁい?」
「スキンシップですか?」
「最近仕事ばかりで、二人が一緒に楽しそうにしている所を見かけてない気がして・・・。とにかく気分転換とかが必要なんじゃないかと思うの。だからね、しばらくお休みしてもらおうかと思うの。」
「休み・・・ですか?」
「最近治安も大分落ち着いてきたし、少しなら大丈夫なはずよ。もし緊急事態があった時に困るから、あまり遠くには行って欲しくはないんだけどね。」
「お~めでと~!ライ君は明日からしばらくお休みだ。休んで数値が元に戻るなら一向に構わないからねぇ。」
苦い顔をするライにロイドは笑いながら、とりあえず今日の仕事の為に僕をシュミレーターへと促した。
「いやぁ、さすがに二人そろってこれだけ数値が落ちるなんてねぇ・・・セシル君はどう思う?」
「数値事態はロイドさんが言うほど落ちてないじゃありませんか。けど、二人は二人でここまで来ましたからね、まだ今の状況に慣れないのかもしれませんよ。」

軍の仕事が無いのならば、学校に行くしかないと思い、ライは共に休みを貰ったスザクと学校に来ていた。
そんなに久々というわけでもないのに、スザクを懐かしく感じる。
正直、何を言ったらいいのか分からない。
だから、逃げるように僕は屋上に来ていた。
ここに来ると落ち着く、荒れていた心が凪ぐ。
「ここにいたのか。」
さぁっと風が髪を撫で、声を運ぶ。
「ルルーシュか。」
「ユフィに聞いたぞ、しばらく休みになったらしいな。」
僕は苦笑しながら肯定する。
「数値が良くない!って怒られてしまったんだ。どうしてスザクまで休みなのかはよく分からないんだけど。」
「はぁ・・・知らないのか?」
溜息をつきながら呆れた顔をルルーシュにされて焦る。
何を僕が知らないって言うんだ。
「・・・・・・スザクの奴も様子がおかしいんだよ。」
「スザクも?」
ルルーシュはスザクが校庭を全力で走ってこちらの方へ来るのを見つけ、薄く笑みを浮かべた。
「そうだ、スザクもだ。きっとお前の言う『数値』だって悪いんじゃないか?」
スザクに限ってそんなことは・・・と思いながらも、ルルーシュの言葉を否定できないでいた。
C.C.に余り余計なことを考えるなと言われてから、できるだけ考えないようにしていたこと、それがじんわりと心の奥底からにじみ出る。
僕のせいで悪いんだろうか。
「そのことには僕のことも関係あると思うか?」
「それは俺にはわからないが・・・無いことも無いんじゃないかと思うぞ、少なくとも俺は。」
ルルーシュがそう言うのと、勢いよく扉が開いたのはほぼ同時だった。

しんと静まり返る屋上。
最初に口を開いたのは、駆け込んできた者でなく、意外なことに近くに居たルルーシュだった。
「そんなに急いでどうしたんだ、スザク。」
「ライがルルーシュと居るのが見えたから。」
ルルーシュはくつくつと笑うと、スザクに言った。
「そんなに急がなくても、別にとって食ったりなんてしないぞ?」
とってくう?とそこでスザクが来て初めて僕は言葉を口にした。
「ルルーシュ!!」
スザクは焦ったようにルルーシュの名前を呼ぶと、こちらへ足早に近付いてきた。
ぐいっと引き寄せられる体。
周りの景色がスローモーションのように流れる。
「え?」
ぽすっと僕はスザクの腕の中に納まる。
「え?」
「ライと何してたの。」
いつもより大分不機嫌そうな声が近くから聞こえる。
「何も、ただお前だけじゃなくてスザクの様子もおかしいのを知らないのかと聞いただけだ。」
「本当に?」
これは僕へ向けられた言葉だ。
こくりと頷くと、腕の力が緩んだ。
「あぁ、あと、スザクの調子が悪いのにライも関係あるんじゃないかと、少なくとも俺は思う・・・・・・とも言ったな。本当のところはどうなんだ?ライに言ってやってもいいんじゃないか?」
僕がようやくスザクの腕の中から抜け出して、ルルーシュを探すと、ちょうど屋上から出て行こうとしている所だった。
「る・・・・・・」
急いでルルーシュに声をかけようとすると、スザクの手で口元を覆われた。
その様子を見てルルーシュは軽く笑うと、手を振って消えてしまった。

「ライ・・・聞いて欲しいことがあるんだ。」
優しく口元を覆っていた手を離され、ライは体勢を整えると、スザクを正面から見た。
「聞いて欲しいこと?」
「うん。」
「聞く。」
スザクが僕と話したいと言ってくれている。
その事実が何より嬉しかった。
枯れていた心に、あたたかなものが一気に広がって、心を満たす。
「僕はいつでもライの声を聞いていたい、側に居て欲しい、君を感じられないのは寂しくて切ないんだ。」
ぎゅっと手を握られて、スザクの温もりが伝わってくる。
「それが不調の原因?」
こくりと頷くのを見て、僕は口を開いた。
「僕が悪いとか、居ない方がいいとか、そういうのじゃなくて?」
そう言えば、スザクは眼に力を込めて僕を見た。
「そんなこと思うわけ無いだろ。」
あまりにも力強い言葉で、僕は次に言うべき言葉を捜せなかった。
「ちょっとライとすれ違って、会えなくて、話をまともにできなかっただけでこんなになっちゃうのに、そんなこと・・・思うわけ無いだろ。もし、ライが居なくなったりしたら・・・なんて考えたくも無い。」
じんわりと手のひらに汗をかいてきた。
「消えたりなんてしたら困る・・・のか?」
「困る・・・なんて所じゃないよ。」
再び手をひかれ、スザクの腕の中に納まる。
そろそろと手をスザクの背中へとまわすと、ぎゅっと抱きしめる力を強くされた。
それに応えるように僕の腕の力も強まる。
「本当・・・なんだよな?」
「本当。嘘なんて言わない。」
「そっか・・・スザクは温かいな。」
「ライだって。」
「幸せ・・・ってこういうことを言うんだろうな。」
「うん、幸せすぎて泣きそうかも。」
そんなことをスザクが涙声で言うものだから、こちらまで視界が霞んできた。
「僕のいるべき場所はスザクの隣だって思ってもいいか?」
「それがいい、そうじゃないと嫌だ。」
「うん、うん、ありがとう、スザク。」
さっきよりもっと強くスザクに抱きついた。

「あら?ライ、元気になったのですね。」
にこにこと笑いながら皇女殿下にそう指摘されて、僕は思わず真っ赤になってしまった。
ここへ来る前日に特派でシュミレーターに乗って、セシルさんに「元気になったみたいね。」と同じように微笑まれながら言われたばかりで、そんなに表情に出ているのかと恥ずかしくなった。
「スザクも元気になったみたいで、よかったです。これからは無理せず、学校にも行って下さい。私にはお姉さまも、ゼロも、皆もいますから。少し位気を抜いても大丈夫ですよ。あと、スザクとの時間も大切にして下さい。今まで二人で一緒に成長してきたのを私は見ていますから、二人の関係を大切にして欲しいのです。」
本当にそう思っているのだろう、優しい顔でそう言われ、素直に頷いてしまった。
「はい、スザクは大切な親友であり、戦友ですから。」
「えぇ!」


「まだ親友のままなんですね・・・。」
というユフィのスザクを労わる声はライの耳には届かなかった。