最近スザクとはすれ違ってばっかりだった。
僕には何だか特別な任務が与えられる事が多くなったし、スザクもユーフェミア様の騎士の仕事で忙しいみたいだ。
そんなこんなでスザクに会っていない。
軍人だから仕方が無いと言われればそうなのだが、納得してしまうのはどうかと思う。
今日ようやく僕は長期の任務からロイドさんと共に帰って来た。
「おかえりなさい。」
向かえてくれたのはセシルさんだけだった。どうやらスザクは留守らしい。
昨日まではいたらしいが、今日急に仕事が入ったらしい。
僕は胸が痛んだ。よく分からない痛みだった。
それから僕には黒の騎士団からの要請でしばらく特派を留守にする事になった。
またスザクが遠ざかる。
妙な違和感をかき消すように仕事に打ち込んだ。
学校で会えるかもしれない。会ったら何を話そうか。
そんな事を考えるだけで僕はやる気が起こったし、嬉しい気分にもなった。
早くスザクに会いたい!
けど、そう思っていたのは僕だけだったのかもしれない。
今…僕は何を見た?
優しい彼だから当然の行為だったと思う。
彼がしたことには僕は納得するし、賛成もする。けど、僕は見たんだ。
スザクに助けられた女の子の頬が染まっていたのを。
瞳が恋する乙女だったのを。
女の子はずるいと思う。
僕にはあんな顔できないし、可愛くも無い。
だから、あの光景を見たときに妙に納得してしまったんだ。
それがどうしようも無いくらい悔しい。ああ、スザクにはやっぱり可愛い女の子が似合ってる。
そう思った事が、嫌で嫌で仕方ない。
これ以上スザクと女の子を見たくなくて僕はその場から逃げ出した。
瞳から涙があふれてきたが、そんなの気にならなかった。
みっともない、情けない、どうしようも無い。
ああ、僕は嫉妬してるのか?
去り際に見た女の子に微笑み返したスザクに。
何て醜いんだろう。
綺麗なスザクに僕は関わっちゃいけないんじゃないのか?
グルグルグルグルまとまらない考えが頭を支配する。
スザクが好き。誰よりも好きだって思う。
だけど心に生まれた小さな違和感。納得してしまった僕。
これは…そう、あれだろう。
自分の思いを抑えろと言う事じゃないのか?
そうだ、心を殺せば醜い気持ちも生まれなくなる。
そうだ、スザクを好きだと思わなければいいんだ。
ライは校舎を突っ切って、校門へと真っ直ぐに走った。
後ろから声が聞こえた気がするがきっと気のせい。後ろから忙しく足音が追いかけてきているような気がするけど気のせい。
「ライっ!!」
後ろから勢い良く抱きつかれた。
「っ!」
背中越しに伝わるあたたかさ、香り。
すべてが僕に彼だと伝えてくる。
「ス・・・ザク。」
「久しぶりに会えたのに何で逃げるの?僕はライに会いたかった。」
ぎゅっと抱きしめられて、僕は心臓がバクバクいって言う事をきかない。
嬉しい。
会いたかったと思われていただけで。
「御免。僕も君と会いたかった。会えて嬉しい、来てくれて本当に嬉しいんだ。」
そっとスザクの手に自分の手を重ねて目を閉じた。