初めて見た時、何て幼いんだろうと思った。
見た目もそうなのだが、何より心がおさなかった。
自分はこのころにはすでに人の殺し方を知っていたし、主に仕える心構えをもっていた。
なのに、当の主ときたら…忍びがなんたるかを分かっていないようだ。
友達とでも思っているのか!と憤りを感じたこともある。
けれど、それはある日無くなった。
幼い瞳に紅を見た日から。
主は強くなる!そう思った。
「さすけ!」
「弁丸様、どうかいたしましたか?」
「様などいらぬと申すのに!」
「でもね、弁丸様は佐助の主様だからね。」
「いらぬと言ったらいらぬのだ。某はさすけに弁丸様などとは呼ばれたくない。」
「どうして様は嫌なの?」
「さすけが遠く感じるのだ。それはならん。さすけは弁丸の隣にあらねばならぬのだ。」
「そりゃ、我が儘だよ。忍びってのは隣にいるもんじゃぁない。」
しばしの睨み合い。
佐助は弁丸の視線がチリチリと焼け付くようだと思った。
そして、それにゾクゾクとした。
「じゃぁ、旦那。旦那はどう?」
「うーむ、さすけはどうしても弁丸とは呼んでくれぬのよな?」
「はい。」
「そうか、なら、旦那でよい。何やらその響きはふわふわとして心地好いからな。」
「んじゃ、旦那ね。」
「うむ。それでは稽古を始めるか。」
「はーい。早く強くなってよね、旦那。」
「任せておれ!」