「byebyeblues TOKYO(バイバイブルース トウキョウ)」@東京(☆☆彡)
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 ぼくの好きな「サローネ2007」が樋口シェフの修行先でミシュランの星を持つシチリア・パレルモの銘店「byebyeblues」を日本に出店させてくれました。

 現地シチリアの味、女性シェフならではの細やかな皿をそのまま再現したリストランテで、東京駅至近の場所にあるので通いやすい。

 魚介中心の料理構成はまさに豊洲市場を持つ日本の東京にはぴったりですが、肉の皿まで肉が出てきていないことに気が付かないほどに濃密な構成は素晴らしい。

  
住所:千代田区丸の内2-7-3 東京ビルディング 1F
電話:03-6812-2131
定休:年中無休
営業:11時半〜15時/18時〜23時(日祝〜22時)
 
  東京ビルディングの線路側の路面に、白く大きな地にシンプルな店名が小さく右下に掲示された看板。ガラス張りの前面は縦のラインに斜めの線が入るデザイン。

 中も白基調の壁で、シチリアのモンデッロの海岸の景観を描いた大きく鮮やかな絵が印象に残るスペース。

 

22年12月1日の来訪。

 19時の予約で、食の盟友二人と「タイユバン・ロブション」などで活躍されたシェフと4人でいただく。

 

 テーブルの上には日本の絵柄が描かれた皿に店のロゴ。そして青いレース。
 

 最初に樋口シェフと本店のパトリツィアシェフにご挨拶いただく。サービスは藤巻イズムを引き継いたスタッフなので、安心して良い時間を過ごすことが出来ます。
 置かれている封筒には本日のメニューにドリンクのリスト。
  
スペシャリテ含む、月替わり全10品ディナーコース10品 24240円

 ランチは別メニューだそうで、パスタはカラヒグ麺とのことですが、真骨頂はやはり夜でしょう。

 

パン ゴマのグリッシーニ

 銀色のトレイに。これ、管理がすごく大変な品らしい。
 まずはゴマのグリッシーニ。硬質小麦のグリッシーニ。生地に胡麻を練り込んでいるというそれは胡麻の風味がすばらしく、後味も美味しい。正直、美味しすぎる。
 パンと一緒に。

 パンに付けるオリーブオイルはバルバーラのロレンゾNo.5。抽出が緻密で繊細なもの。オリーブの青さが良い感じに強く美味しい。
 他にもキリッとしたNo.1、まろやかなNo.3もだしていただく。オリーブオイルも食べくレベルと、こんなに違うのかと楽しくなります。このあたり、初期の「サローネ2007」でワインを並べて飲んでいた時代を思い出し、ほっこりしました。
 
スフィンチョーネ

 スフィンチョーネはシチリア島のパレルモ周辺で食べられているストリートフードで、ピザパンの一種です。
 オレガノベースに玉ねぎとアンチョビのトマトソースがたっぷり。生地はたしかに中がふわふわなピザのそれですが、パンとしていただける。実に美味しい。

小さな前菜2種

 左に湯剥きしたミニトマトにキャビアを乗せたもの。中には茄子のピューレにバジルを混ぜたものを詰め込んでいます。トマトは真空で低音調理してあるので、トマトの食感とは思えない舌触り。下にアーモンドのペースト。美味い!
 小さなアランチーニ。下にトマトソース。アランチーニは中に米粒の食感。衣もカリッと揚がっていて良い。

季節の白身魚塩漬けケッパーのマリネ

 白身魚のカルパッチョ。本日は大分県産のヒラスズキ。
 くるりと巻いて表面を炙っています。
 味付けは塩漬けケッパーでマリネしてあるそう。
 エオリア諸島の組み合わせだそうです。
 添えられている赤玉ねぎはアグロドルチェなのですが、ぼくの苦手な酸味のものではなく甘く美味しい。
 上にはトマトのチップス。下にオレンジ色のトマトソース。
 エディブルフラワーで飾り、女性シェフらしい盛り付けと色合い。
 
オマール海老のエオリアーナ

 スペイン寄りの料理だそうです。シチリア島は一時期スペイン領だったのだそうで、そのときに料理も伝えられたのだとか。
 メインとなっているのはオマール海老の身がブリッとしています。
 カタラーナという滑らかなスムージーのような青リンゴのソース。フレッシュなミント、トマト、そして赤玉ねぎとミントの葉。
 上には酸味と甘みのある青リンゴのチップスが添えられています。
 ただ、オマール海老の身は美味しいけど、濃厚な海老味が好きなぼくにはやや弱い感じもしました。
 しかし、この構成は次の皿への前章であったことに後で記録していて気がつく。

イカスミのカヴァテッリ ヤリイカと高海老 ウニのスプーマ

 蓋をして供され、目の前で開けられるパスタ!!
 開けた途端、その芳醇な香りがすごい。
 イメージされているのは火山岩の海だそう。
 イカ墨のカヴァテッリですべて手作り。
 上には雲丹そのものではなく、なめらかに混ざり合うウニのエスプーマ。
 具には高海老と細切りのヤリイカ。
 カヴァテッリのムチッとした食感は格別! スプーンで食べるパスタという点でも面白い。
 ここに海老の旨味の出汁が絡んで素晴らしく美味しい。
 流石のスペシャリテです。

スパゲティ トマトウォーターとマグロのカラスミ

 柑橘の香りのするスパゲティ。アーリオオリーオではなく、絡めているのはトマトの味わいと風味、そして旨味のある透明なトマト水。マルケのマンチーニのパスタを使っているそうです。
 そこにオレンジの香りのパン粉を振りかけています。
 上にはマグロのカラスミ。少し大きめにカットされています。癖の強いマグロのカラスミですが、とても良いアクセントになっていました。
 トマト水のスパゲティ、新しいベースの味として日本でも流行ると嬉しいですね。

本鮪タジャスカ種オリーブの包み焼きカポナータのジェラート添え

 本鮪の低温調理。周りにブラックオリーブペーストを塗ったものをブロックで出してきます。
 横にはカポナータのジェラート。なめらかなアイスなのですが、その味わいは野菜、特にトマトの煮込みのそれ。
 刻んだアーモンドを下に。
 食べ終わると結構な満足感があります。

黒毛和牛ラグサーノチーズのクロスタ ネーロダーヴォラソース

 最初に出てくるのはペルスヴァル社の9.47シリーズのナイフ。これが切れ味抜群。

 銀の蓋付きで供されます。

 シンプルに和牛ロースの低温調理。高知県産四万十麦酒(ビール)牛です。
 穀物にビール粕をブレンドした資料を与え、四万十川のほとりで養育した希少なブランド牛。
 上にはホロリと崩れる食感のラグサーノチーズで、チップス状にローストしたものを乗せています。
 横に根セロリのピューレ。
 下にはシチリアのぶどう品種ネロ・ダーヴォラの赤ワインのソース。
 シチリアの本店では海鮮のみで牛は基本地元民にしか出てこないメニューだそうですが、素晴らしい味わいでした。
 そういえば、この皿までずっとコースメニューに肉が使われていないことに気が付かされる。それでも大変満足感があって気が付かなかったのです。
 
小さいカンノーリ

 金のピンでいただく。
 左にカンノーリ。コロンサイズです。中には羊のミルクのチーズ。羊乳だけあって、ミルクの香りが独特。生地は薄くパリパリです。
 右には緑のピスタチオのジェラート、荒いピスタチオが美味しい。

羊リコッタチーズのセミフレッド オレンジソース 季節のフルーツ

 2日前に誕生日であったため、お祝いのロウソクとメッセージ付きです。
 誕生日を祝ってもらうのは、それが当日でも気恥ずかしく、お店に伝えることがないのですが、樋口シェフが気がついてくださったよう。とても嬉しい。
 デザートはイタリアのレストランガイド本「L’Espresso(エスプレッソ)」に評価され本店の名前を一躍有名にしたリコッタチーズのセミフレッド。コアントローで香り付け。セミフレッドというよりマスカルポーネのクリームのようで、表面をスポンジが多い、コアントローで香り付けしています。流石にそのクリームは香りに山羊乳を感じるもので食べたことがない味わい。
 苺にミント、そしてオレンジのソースが爽やかです。
 デザートとしてはややクラシックなものになりつつある気もしますが、本店の味そのままに出てくるのは嬉しいですね。

小菓子と食後のお飲み物
 エスプレッソ、コーヒー、紅茶、ハーブティーから。

 コーヒーを選択。ビターで酸味がない好みのコーヒーです。

 ハーブティーはカモミールとのことでしたが、不思議とスパイスを感じる味だったそう。次行くときはそれを頼もう。
 

 平シェフ渾身の手作りお茶菓子のボックスで12種類のお茶菓子。イタリアの菓子そのままの色合いが嬉しい。
 

 最後にはサローネで定番のイラストメニュー。おや?イラストではなく小さな写真に手書き文字になってますね。
 
山形県産クラフトコーラ”ヤタコーラ” 1540円

 シナモンが香るけど嫌じゃない。美味しい。良いものを探してきてますね〜。

山梨県産葡萄ジュース”甲州” 1760円

 ワインと間違うような色合いで、濃厚な飲み口。
 
 メニューは基本月替りだそうですが、パトリツィアシェフの監修が入るシチリアの味の再現がメインだそう。今後が楽しみです。
 

byebyeblues TOKYOイタリアン / 東京駅二重橋前駅有楽町駅
夜総合点★★★★ 4.5