08年4月13日に高座渋谷の「中村屋」 が海老名の「essence」 に移転することになりました。
それに伴い、「essence」もしばらく休業とのことです。
子供がいるために再訪叶っていませんが、このブログで最初にご紹介した思い出のある店。
また行きたいと思っております。
「中村やessence」(☆☆☆)
http://www.dearest-style.com/
ラーメン界の天才児といえば中村栄利氏。
「リストランテ・ヒロ」
の山田宏巳氏とも親交がある彼は「麺処 中村屋」が東京一週間の2004年度TRY大賞に輝き、脂乗り切る2004年末に新しいラーメンの可能性を模索して海老名に麺のコース料理を提供するレストランを作られた。04年10月14日オープン。
とにかく、このお店にはサプライズがある。
大人だったら考えても実行しない「驚かせてやろう」という子供のような遊び心をすべて実行してくれているレストランです。「エル・ブジ」のテイストを盛り込み、イタリアンやフレンチと融合を果たした味わったことのないアイディア料理が味わえる。
だからこそ、このブログに最初にアップするのはこの☆☆☆(三ツ星)店です。
住所:海老名市中央2-5-41
電話:046-233-7278
定休:火曜・水曜
営業:11時~15時(売り切れ終了)/18時~23時(ディナーは予約制)
SATYの駐車場の1階スペースにお店はあります。ステンレスの外観で扉の横にエッセンスを象徴するかのような黄色いオブジェという形で小さな看板が出ています。ガラスを通して見えるのはぶら下げられた肉。
白い暖簾のかかる通楼を奥に入っていくと、3つの木のテーブル。壁は白く仕切られた上にはさりげなく酒瓶が並び、壁にはなにやらポスターが。客席とキッチンとの境は何もないオープンキッチン。
6人掛けの大きなテーブルが3卓あるのですが、初回来訪時には横に並べられており、二人並んで席に座らせてくれました。そうすると、オープンキッチンがよく見えましたね。給仕をしてくれた中村奥さんの話では寿司屋のカウンターを思わせる配置にしてみたのだとか。最初こそ落ち着きませんでしたが、うれしい心配り。後日にはお客も増えてきたことがあって、この配置でなくなっていましたが、その心配りがうれしいかぎりです。
テーブルには本日のコース料理がプリントされています。
さて、最初にテーブルについて最初のカクテルが出されたときに教えてもらえるのが、スプーンやフォークのセッティング。テーブルには一人一人に引き出しがついていて、あけるとそこには臙脂のビロードの上に輝くフォークやスプーンが並んでいます。フォーク2本、スプーン4本、魚用のスプーン1本、デザート用のスプーン、ナイフ2本、黄色いリボンのつけられたナプキンに箸。食器はヨーロッパで仕入れたもので、ナイフはブルージュの「デ カルメリート」で使っていたもののように使いやすいようひねりが入って装飾されている。人差し指があたる場所には蝉がかたちどられていて、これがまた使いやすい。
ちなみにトイレも見ものです。最新のトイレに赤い壁。女性のためのグッズも置いてある懲りよう。こちらも必見。食事の場とは別の雰囲気です。
料理の提供形式は日々変化しております。
最初は2004年11月で夜コース4800円のみでした。
2回目は2005年2月の夜コースで7800円です。
3回目はランチが始まっていましたから昼のランチ1800円を食べております。
料理は先に書いたようにアイディアあふれる料理の数々。
エッセンスと呼ばれる主にスープなどで彩られるものばかり。
店長の斉藤さん、給仕の中村奥様、高木さんともに優しい感じの良い接客。
どのような木に育つのかがまだわからない新種の大樹の新芽のような息吹を感じます。
Special essence 20th February 2005
2005年2月20日の夜コースメニュー内容です。
最初テーブルに置かれていたのはバルサミコのビン。そして謎の実験器具!? アルコールランプもあります。
塩は銀色の大きなスプーンに。
最初にメニューにはないのですが、口をさっぱりさせる目的でグレープフルーツのシャーベットから。目の前でステンレスの特殊なボウルに液体窒素が注がれ、バジルの葉を落として瞬間凍結したものを崩す。グレープフルーツジュースを入れて、空気を入れるようにかき混ぜて、スプーンに盛って出してくれます。テーブルで行われるパフォーマンスはまさに驚き。家内は感動していました。
バジルでさっぱりするグレープフルーツのシャーベットは甘くさわやかでした。
1)あんきもプディング:舞茸クリームのエッセンス
コーヒー用の白いカップで出されるあんきもの香る滑らかな茶碗蒸し。上にはバターを使った濃厚な舞茸のクリーム。
紫芋やにんじんなどを使った茹でた野菜の細切り。しゃっきりと程よいこの上にトマトのエスプーマがのる。ここにお得意の鶏の出汁のパルメザンチーズスープを注ぎ食べます。驚くほどにトマトのエスプーマの酸味とチーズのコクがあう一皿。付け合せのほうれん草の芯の部分は甘く芋のよう。それと表面を焼いて剥いたプチトマト。
3)生青海苔つけ麺:炙り烏賊のエッセンス
新鮮な生青海苔を絡めた麺。上にはそば粉でからりと揚げた桜海老がたっぷり。これを前回と同じ烏賊のつけダレでいただく。桜海老は本当に秀逸です。
4)白子の絡めそば:白子のエッセンス
メンマとクリームソースを絡めた太目の平打ち麺にこれもそば粉で揚げた白子を乗せています。透明な鶏がらベースのスープを注いでいただく。前回の半熟玉子の黄身と絡めるのも美味しかったが、白子は外側がカラリとし、中はトロリと濃厚で素晴らしい。風味と塩味をもたらすチーズのようなからすみの粉が付け合せです。
5)猛者海老のグリル:泡のエッセンス
海老のグリルに泡状のソースをかけたものと油ソースに白子を入れた熱々の器の構成。1尾半あったので、最初の半尾はそのままカラリとしていて尻尾から頭まで楽しむ。次の半尾は海老味噌ベースと思われる泡のソースとともに。最後は油に入れて食べてみました。
6)金目鯛の鱗焼き:金目鯛のエッセンス
ぱりぱりに鱗付のまま焼いた金目鯛に金目鯛のスープ。鱗ごと食べるというのは新鮮な感じ。塩味の心地よい魚の濃い出汁が感じられる。
7)高座豚の焼味噌クリスピーチャーシュー:焼味噌のエッセンス
焼いた拳骨のような豚肉の塊に特性の焼き味噌がのっています。焼き味噌にはほぐした魚などいろいろなものが。ただ、後半戦に脂身がほとんどの豚肉の塊を出されるとかなりつらい。
8)高座豚のしゃぶしゃぶ:鰹と煮干のエッセンス
ここで小型の卓上ガスレンジ登場。
チーズフォンデュの鍋に鰹と煮干のアッサリスープ。
これまた脂身の多い高座豚の薄切りをしゃぶしゃぶして食べます。
9)小さな中村屋らーめん:中村屋のエッセンス
最後に真打のらーめん。トッピングは半熟味玉、チャーシュー、メンマ、蕪の葉と別皿で。スープは先の豚をしゃぶしゃぶした汁に鶏のスープを足したもの。
10)球体ジュース:2種類のエッセンス
オレンジと柚子の球体ジュース。
ミルフィーユの材料が別々に出てくるという趣向。バニラアイスの上にサクサクの極上パイ生地とミックスベリーのソース、解体されたイチゴ、エアフロマージュ。別々でもあわせても美味しいデザート。
12)綿菓子:黒糖のパウダーエッセンス
綿菓子は今回も。
緑茶ベースのグレープフルーツのティーとバニラ風味の紅茶とともにいただきました。
最後の締めには鉄瓶で入れたプーアル茶が。鉄との反応で真っ黒になっていましたが、飲み口はマイルド。
3ヶ月ぶりのこの日は、ちょうどメニュー構成がだいぶ変更された2日目だったそうです。1テーブル1組のみの予約ですから、毎晩3~4組までと贅沢ですね。
LUNCH 6th March 2005
この日は11時半で先客なし。後客もなし。またもや貸しきり状態でした。
接客は中村奥様と見習いらしき若者、厨房は店長の斉藤さんともう一人です。もう一人の彼は給仕が慇懃という不思議なスタイル。成長途中か。
本日の給仕は中村奥様だけあって、女性らしくテーブルの上には7輪の花が飾られていました。フラスコに入れられたそれらは頭文字をとるとessenceになるとか。うーーん、面白い。
さて、今回はランチ目的。
1800円からのコースで、サラダ、かけそば、デザート3品のみの構成。
かけそばはプリフィクスで3品から選択です。
これは先日のコースのものと同じ。スープのチーズとエスプーマのトマトがこれほどまでに相性が良いというのは体験していただく他ありませんね。
【かけそば】遠州鶏エッセンス
旬のハーブと蕪の香り絡め、支那竹と舞茸のクリーム絡め(+400円)、あんきものソース絡め 地物のワケギとともに...(+700円)の3種から選択。
2)旬のハーブと蕪の香り絡め
僕が注文。とろりとした蕪のペーストで菜の花とせりを混ぜたものが具になっていました。この上に中村屋の絶品チャーシューの細切りとわずかなからすみという取り合わせ。スープは魚介ベース。これらに鶏油や香味油を自分で混ぜて食べますが、油の威力を改めて認識できることと思います。
3)白子のソース絡め 地物のワケギとともに
あんきもではなく、この日は白子。細切りメンマにとろりとした白子を絡めています。これにカラスミをたっぷり。スープは鶏ベース。
【デザート】ミックスベリーエッセンス
4)エアフロマージュ
ラズベリーのふわりととけるパウダーアイスに、軽い口当たりのチーズのクリームであるエアフロマージュにさくさくのパイ生地。ソースは蜂蜜。
最後には南部鉄の鉄瓶で入れたプーアル茶。これは先日と同じ。
ランチよりもこのお店はディナーが本領の見せ所ですね。
28th November 2004
順不同になりますが、ぼくらが最初に訪れた時のメニューです。
メニューの正式名称はあったのですが、メニューを持ち帰るつもりで忘れましたので適当になっています。
1)ポテトの冷製クリームスープ
最初の皿はカクテルグラスに注がれたヴィシソワーズ。塩味の効いた生クリームが浮いています。生クリームはやや塩がきついが、塩味の生クリームというのは初めて。麺処でヴィシソワーズというのもうれしい先付けです。
2)角種チャーシューの盛り合わせ
軽く火を通した生ハム、柔らかな高座豚を練りこんだマッシュポテトと表面を炙ったチャーシュー、揚げた細切りニンジンを載せたチャーシュー、ばら肉の薄切りチャーシューの4種が長い更に一品ずつ盛られた皿。紫芋の自家製ポテトチップが添えられ、オリーブオイルやバーベキューソースが散らされています。
3)野菜の麺、ブロッコリのエスプーマ添え、チーズのスープ掛け
数種の野菜を細切りにして麺に見立て、それぞれ適度に茹で作り上げたイミテーションの麺に、表面を焼いてホオズキのように皮を剥いたプチトマトとブロッコリのエスプーマを添え、鶏とチーズのスープをテーブルの上でかける一皿。ブロッコリのエスプーマはやはり新鮮で秀逸。また、野菜をそれぞれ茹でるのをいとわない手間隙には脱帽。
4)3種のマグロ寿司
中村屋で使っている細麺を御飯に見立て、マグロの赤身、炙ったマグロ、漬けの3種を楽しむ。漬けは味が濃く秀逸ですが、カルパッチョのような赤身は塩味に欠けるのでどうかと。醤油がほしいところ。炙ったマグロは直前にガスバーナーで炙るので香りが良いですね。
5)炙り烏賊と烏賊のつけ麺
ここで、アルコールランプとビーカーが登場。理科の実験で使った石綿トランプは最初から置いてあったのですが、使われることに。鶏のスープが入ったフラスコが一人1本。
皿には柔らかく弾力ある烏賊がメインで、烏賊ワタのソースがかけられています。この烏賊はシンプルだが非常に素晴らしいこれに烏賊を使った油ベースのつけダレと細麺。ゲソもつけられ濃厚な烏賊の味のつけダレは麺をいただいた後、鶏のスープで割って飲めます。
6)キノコのクリームパスタ
平打ち麺とキノコ、細切りメンマのクリームパスタに半熟味玉がのせられた一皿。鶏のスープと一緒に食べます。パスタに見立てた拉麺の麺ですが、食感も重視してメンマを入れたところが面白い。うちの奥さんの一押しメニューです。濃厚な黄身の半熟味玉も素晴らしい出来だったのは言うまでもありません。
大根の微塵切りを豚バラ肉で巻いたものと麺をまいたものをスープにつけて食べる。豚バラに大根の取り合わせは食感よく非常に美味しい。しかし、そろそろお腹が満腹で麺がきつくなってきました。
この葉っぱはたしかちぎって一緒に食べれたような。
8)蕪のペースト掛け拉麺
中村屋渾身の真空平打ち麺の塩ラーメン。具は蕪のペーストのみ。野菜のペーストは味わいがあり、スープとともに飲むと優しい味で美味しい。今回は2種類のフラスコで、鶏油と香味野菜で香りをつけたピーナツ油を自由にかけられます。鶏油の力は今回家内が入れすぎたみたいではっきりわかりました。これと鉢植えのバジルも自由にちぎって入れられます。爽快な感じであっさりラーメンには面白いですね。
量に関してはお腹の具合を聞かれます。今回は少なくお願いしてあります。
9)デザートとコーヒー
パウダーアイス、花梨のスライスを色々なジュースにつけて色と味をつけたもの、ミルクのアイス。驚きなのは銀色の匙に盛られたパウダーアイス。口に入れると霞のように消えてしまう。どこでも食べたことがありません。食べ出がないためでしょうか(笑)。
10)綿菓子
黒糖を混ぜた綿菓子です。そのために厨房に綿菓子のマシーンがあるという事実。ややざらつきがある綿菓子はうれしい締めくくり。
食後の飲み物は家内が紅茶を。カップが美しい。
ぼくはエスプレッソみたいですね。飲み物は記録に残していなかったのでどうかわかりませんが、クレマも厚い。よさそうな写真です。
品数は多く、量も最終的には多いが、その苦労を考えると食べる側にはうれしい品数。これがどこまで続くのかはわかりませんが、早晩減らされるかも、とこのときは思いました。
お店の規模などからすると格式は落ちるのでしょうが、その国境を越えたメニュー構成と驚かせる趣向はオンリーワンに値する独創性があるとこのときから感じられました。
【休業】中村や エッセンス (中村や essence)