虚に向ふスカルの眼窩冬入日
1月11日読売新聞「よみうり寸評」に、シベリアの永久凍土から「生態から考えて発見されないだろう」と思われていたサーベルタイガー(剣歯虎)の子供の遺骸が出たことが書かれている。※剣歯虎(Machairodontinae)の「odon」は歯の意味で、例えばイグアノドンは「イグアナの歯」を意味する。シベリアの雪解過去の虎を産むこの小文の最後は地球温暖化の話にならざるを得ないが、話題は2020年にロシアのサハ共和国北東部バジャリハ川後期更新世の永久凍土から、ミイラとなったHomotherium latidensが発見されたことが主である。化石は出ている。(レプリカ)虚に向ふスカルの眼窩冬入日インターネットで幼体の実物画像を見て、あまりの生々しさにびっくりした。凍土のサーベルタイガー幼くてサーベルタイガーの巨大な犬歯はマンモスや象を捕食対象とするために進化したと考えられている。捕食者の記憶はありや炬燵猫この大きな犬歯が口腔内に格納されたかどうかはっきりしないが、たぶん露出していただろう。そして、この歯ならマンモスの皮を破り、引き裂くことも可能だったにちがいない。顎も大きく開き、長い犬歯の機能を支えている。牙を剥く虎の化石や冬日影その代わり、小さな獲物を捕らえることはできないので、生き延びるために移動を続けたが、マンモスや象の絶滅と共に絶えた。剣歯虎(けんしこSaber-toothed cat)はネコ科の動物で、犬が雑食に向かったのに対して、純粋な肉食へ進んだ。奥歯は鋏のように嚙み合うので、経験的に噛まれた時は猫の方が痛い。絵の中の寒犬おほきく口を開くサーベルタイガーはアメリカのコールタールに相当数が埋まったらしく、手に入りやすい。スミロドン(Smilodon, 'ナイフの歯'の意)は、サーベルタイガーの中でも最後期に現れて、アメリカ大陸間大交差によって北アメリカから南アメリカへも渡った。落命のコールタールや冬深し現生する猫はネコ(ネコ亜科)に分類されるが、ウンピョウは、体の大きさの割に上顎犬歯が長いことで有名である。寒鯉や野生の猫の豹模様その長さは、3倍ほど体重のあるヒョウと同じくらいあり、同じく体重3倍ほどのチーターやピューマよりも長い。犬歯や頭骨の形態に関して、ウンピョウとサーベルタイガーとの類似性が議論されている。(見やすいように緑色の直線を書き加えたが)明らかに、体重と犬歯の長さの相関性を逸脱している。相関を逸るるは個性ほほかぶり前述のホモテリウムは絶滅した剣歯虎で、スミロドンよりも小型で、ハイエナに似たネコである。冬温し更新世の虎目覚め「剣歯」を持つ最古の動物は単弓類として知られているが、2億6千万年前の化石である。想像図の体型からは、捕食者というより腐肉食者(スカベンジャー)が想定されているのかもしれない。殺さねば生きられぬさが雪安吾寸評を書いた方も「現代人の責任はいよいよ重くなっている。」などと結論を書いてはいるが、生々しいサーベルタイガーの子供に興味津々なのだと思う、私も。