ハプニング連鎖ツアー 4 | 添乗員のゆく地球の旅!

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メキシコ滞在とひとり旅とツアー添乗中に起こった体験話&
 首のくびれた保護犬・黒豆柴まるちゃんとの愉快な日常

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そういえばまだ登場していませんでしたが、この40名前後の団体の中には後二人の一人参加者が居たと最初に書きました。

但し、そのお二人は男性でしたので、残念なことにそれほどひとみおばあちゃんと馴染んではいませんでした。それでも他のお客さんと比べれば彼女のことを「同志」のように気に掛けてくれたはいたように思います。だから寺院での再集合の際に私が人数をカウントして一人足りないと分かったとき、即座にひとみおばあちゃんの不在を予感したのはこの二人の内の一人でした。

「ローランさん、あのばあさんじゃないの、居ないのは?」

ちょっと口が悪いけれどちゃめっ気たっぷりにいつも冗談ばかり言っているのが二ノ宮のおじいちゃんです。年の頃は70代前半だったでしょうか。

「『ばあさん』は失礼だね、二ノ宮さん」

そう注意を入れたのは男性一人参加者の片割れ、三平おじいちゃんでした。年齢は70代半ばで二ノ宮おじいちゃんと比べるとかなりおとなしく、毎日相部屋に宿泊となるこの二人が仲良く出来るだろうかと最初は心配したものですが、意外にも夜が明ける度に少しずつ絆が強くなっていくのを傍目に見ていても感じられましたので、この二人に関しては安心していました。

「だってさあ、いっつも遅刻するからさあ」

私も同じ気持ちで、やはり最初からひとみおばあちゃんの不在を疑っていたのです。そしてそれは現実となり、私は他のお客さんを集合場所で立ったまま待たせて、広い寺院の敷地内を走り回ってひとみおばあちゃんを探しまわることとなりました。

この後はその日の宿泊地まで2時間ほどバスで移動するだけでしたので、たとえここで時間が押したところで、飛行機や列車に乗り遅れるなどという深刻な事情がなかったことだけが救いでした。

そのように後から回想するほどに長時間ひとみおばあちゃんを見付けることができず、捜索を始めてから30分が徒労に過ぎて行ったのです。

寺院の敷地内や近くの土産屋などを走り回って探したもののひとみおばあちゃんを見付けられず、とりあえずはお客さんと現地ガイドの待っている集合場所へ一旦戻ってみたのですが、やはり彼女はまだ戻っていません。走り回ったせいで汗びっしょりの私を絶望感が襲って来ました。

その時

「ローランさん、何かさ、俺、体の調子が変なんだよね。何だか体がよろけるんだよ」

二ノ宮おじいちゃんが唐突に、ひとみおばあちゃんのこととは別に、体調不良を訴えてきました。


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