【恋に落ちた海賊王】激情⑥(リュウガ) | 恋に落ちた☆妄想女子

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読んでも何の得も無し。

その日。

店は、もの凄く混んでいた。


フロアで酒を飲んでいる男達の話しを聞くと、会話の中に。

『海賊王』とか、


『リュウガ』とか、あちこちから聞こえて来た。


『…なんだい、この、人。』


表向きはパブのこの店の、小さなフロアは、人でごった返し。


『…ねぇ、今日は何か祭でもあったのかい?』


アタシは、カウンターで飲んでいる、男に聞いた。


『何だリディア、知らねーのか?

今日、この街に、シリウス海賊団が来てんだぜ?』



『…シリウス海賊団?』



『ああ!

…あの海賊王の、リュウガの船がな!』


『…ああ…名前は知ってるけど…。

そりゃまた、見物客が来るワケだねぇ…。』


『…ホラ、この街の港は、自由貿易区だろ?

正規の手続きさえ取れば、海賊船でも自由に停泊出来る。』


『ああ…そうだね。』


『海賊船が港にいるだけでも壮観なのに…海賊王の船だぜ。

…こりゃ見ないテはねーだろ!』


『…まぁ、話しのタネぐらいにはなるだろうね。』




…アタシは、興味が無いけど…。



胸の中で呟く。



『リディアッ!


リディアはいるかっ!』



突然、店の奥から、馬鹿の声がした。



…カイル。



久々に来たと思ったら、営業妨害かい。




『…何の用だい?』


アタシは、アタシの部屋でベロンベロンに酔っ払った


カイルに向かって、冷たく言った。


『…お前最近、若い男に骨抜きにされてんだってなぁ!

…この、淫売が…。』


…酔っ払いが、また…。


『だったらどうしたってのさ?

あの方はね、ちゃんとお代を払ってくれてんだ。


…立派な…お客様だよ。』


自分の言葉に、自分で傷つく。


『…はっ!

あの方、だと?

ずいぶん上品な言葉を覚えたモンだな!

その男に教わったのか?』


『…もっと、イイ事も教えてもらってるよ…?』



アタシがそう言ったのと、カイルがアタシの頬を殴ったのは、


同時だった。


『…ナメた口、ききやがって…っ!』


ぶるぶると震えて、床に倒れたアタシを見下ろす、


カイルの目は、狂気に満ちていた。


『…どいつもこいつも…っ!』


…これはヤバイ。

逃げないと…っ!


床を這うようにして、逃げようとドアに向かい、足首を掴まれる!

そのまま、引っ張り戻され、馬乗りになったカイルが、


またアタシを殴りつけた。

…かなり強く殴られ、頭の芯からクラクラとした。


そのまま、ガッと、カイルの両手がアタシの首を締め上げた。


…殺されるかも、知れない…。


ぼんやりと、そんな事を考える。


ああ…。


殺されるぐらいなら、先に殺しちまえば良かったよ…。


せめて最後に。



一目だけでいいから。



…あの男に、逢いたかったねぇ…。






『ぐあっ!!』




バターンッ!!


突然、ドアが蹴破られるような音がして。

カイルが、カエルみたいな声で叫んだと思ったら。



『…大丈夫かっ!

しっかりしろ、リディアっ!』



…あの男の、声がして。


逞しい腕に、上体を起こされる。


『~~ごほっ!

ゲホッ!ゲホッ!』

気管に急激に空気が入り、むせ返った。


『……アンタ…。』


ぼんやりと、目を開ける。


『…なんだい、その格好…。

…子供のお遊戯会みたいだね…。

海賊船の、船長みたいだよ…。』


『…着慣れねぇからな、こんな服…。』


『…カイルは…?』


『…さぁな。

死んだかもな…。


どっちにしろ、コイツは、もう許さねぇ。


…す巻きにして、海に投げてやる。』



…海??



『…アンタ、もしかして…。』



アタシは、混乱する頭で、パズルを組み立てた。




『…これからするハナシは、寝言だと思え。



いいな?』



アタシをベッドに横たえて、冷えたタオルを、


殴られた頬に当ててくれながら。


男が、話し出した。





それは、どこぞの国のお姫様と。






…海賊王の。






悲しい、恋の物語。






…だった。




『…その海賊王には、姿カタチばっかは生き写しの、


ロクでもねぇ兄がいてよ。』


…ああ、それが。


…アンタなんだね…。


『…息を、引き取る間際。

その兄に、全てを託したんだ。



…断れねぇだろ。



…死んでいく弟の、最後の願いだ。』



『……………。』



『だから。

…俺は、弟の、遺志を、継ぐ。』



…海賊王、リュウガ。



…それが、今の俺の名だ。』




…ああ。


アタシが何を言った所で。



…もう、アンタの耳には届かないんだね…。




『…リディア。』



男が…いや、リュウガが。



懐かしい、あの笑顔で、笑った。


『…一つ。

…不思議な事がある。』


『…なんだい?』



『弟が…リュウガが心底惚れた、お姫様がな。』


『…うん。』


『その国では、こう呼ばれていた。


…朱の王女。


燃えるような、朱い髪と。

…海より深い、ダークブルーの、瞳をした。



…お前に、よく似た、綺麗な女だったよ。』



『……………。』



『…双子ってヤツは、やっぱりどっか、似てんだろーな。



同じ様な時期に、似た女に…。』



『……………っ!』



『…もう、行かなきゃなんねぇんだ、リディア。



…一つ、頼みがある。』


『…なんだい?』


『…あの、部屋の隅にある、椅子。



…あれを、俺に譲ってくれ。』


『…あの、赤いベロアの椅子かい?』


『……ああ。』


『…あんなモンが欲しいなら、いくらでも持ってお行きよ。』



『…ありがてぇ。』



リュウガが、そう言うと、アタシの顔をじっと見つめた。


『…ねぇ、・・・リュウガ?』


『…なんだ。』


『アタシも一つ、聞いてもいいかい?』


『…ああ。』




『…アンタの、本当の、名前を…。


…教えては、くれないかい?』




アタシがそう言うと、リュウガは、困ったような顔をして、また笑う。



『…絶対に、口にするなよ?』



そう言うと。


まだベッドに横たわったままの、アタシの、耳元に。





…そっと、囁いた。




『…ありがとう。』





泣きたくなる。



キレイなその名前を、もう誰も。





…呼んでくれる人は、いないんだね。







『…リディア。』



『…なんだい…?』



『お前の、その名前。』


『うん?』


『…俺の、故郷の国の名前と、同じなんだよ。


…俺の生まれた国の名前は、リディア・・という。

…俺の国では、



“幻”。


・・・って、いう意味だ。』



『…まぼろし…。』



『砂嵐の向こうに、いつも幻みてぇに見える国だから…

その名がついたと、言われている。


…初めてお前に逢った日から。


お前の、髪と。


お前の、瞳と。


…その、名前が。




…離れなかったぜ。』


『…不思議な事も、あるもんだ…。』


『…リディア。』


『……ん?』


『…キスしても?』


…毎度、あれだけ抱いておいて。



…キスする許可なんて、いらないだろ。



アタシは、目を閉じた。




…こんなに、哀しいキスは、もうしたくない。



辛くて…!




胸が…張り裂けそうだ。



『…早く…っ、行きなよ…っ!!

仲間が待ってんだろ…っ!』



『…ああ。

まだ、たった1人しかいねーけどな。



・・・キレイな顔した、おっかねぇ船医なんだ。』




『…リディア。』



もう一度、アタシの名前を呼んで。



リュウガは、まだノビたままのカイルと、赤い、椅子を抱える。



『…じゃあな。』




『…ああ。 …元気でね。』



パタン、と、ドアが閉じて。




アタシは、外に、漏れないように。



ベッドに、うずくまった。




声を殺して。






思いっきり…泣いた。




追いかけても、泣き叫んでも、あの男は、戻らない。


それが、解るから。



リュウガと名乗った男が、私の耳元に囁いた、本当の名前。



…アタシが惚れたのは、その男さ。




海賊王なんかじゃない。




頭が痛くなるほど泣いて。


涙も枯れたら、また店に出よう。






…アタシが生きて行く場所は。





ここしか無いんだから。






【激情⑦へつづく】





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妄想し過ぎて、


すみません。


あくまでも、『ぽちょ的イメージ』ですので・・・


お気を悪くされたら、すみません・・・。