ミュージシャン、映画監督、小説家である辻仁成氏の、小学校から高校時代までの思い出を綴った短編集である。辻仁成は引っ越しにより福岡、帯広、函館で少年時代を過ごし、その頃のその土地での話が、おもしろく、そして切なく語られている。

18編の話がある中で、すべての話が友達との思い出につい描かれているのが特徴的である。

お金持ちのアリタ君、変人のゴワス、喧嘩友達のシャーマンとクニヤン、初恋のなかとみえみこ、憧れのキャサリン、硬派のちゃちゃ先輩…と、個性豊かな友人たちが登場する。その中で、リアルな少年の心理が素直に描かれ、とても読みやすく、そして懐かしさがあふれてくる1冊である。



実習Ⅱでは静中の1年生で、この本の中の『新聞少年の歌』という話を扱い、授業をやろうと思っています。

実習をあさってに控え、まだ題材観がはっきりしませんが…(><)

がんばります。。。

かおな

 現在望まれる道徳教育は、全教育活動を通じて充実させるべきものであり、授業が主要な活動である学校の現場では、それぞれの授業の中でも道徳性の育成は図られるべきである。具体的に、各教科ごとの指導内容は、ただ専門的な力を身につけさせるものではない。それを改めて把握して、実践につなげていくことが、教師には必要である。しかし、現場における道徳教育は抽象的になりやすく、理論や原点が漠然となりやすい。そのようにならないために大切なのは、道徳教育の基礎にもなり得る発達心理学であり、子どもの心の発達を多角的な視点で考えることが、子どもの心・道徳性を育てていく教育をするために大切なことである。


「主として大学生を対象とした道徳教育の入門書」と執筆者代表から掲げられており、その通りに、道徳教育の歴史と現状から、具体的な指導案や理論など幅広い分野が書かれていました。そのためか、ひとつひとつの内容は、専門的すぎるような内容はなく、本当に「基礎」という感じで、非常に読みやすかったです。図書館で借りた本なのですが、2009年10月の発行と、そこそこ新しいのも魅力です。

尚トク

著者のいう「教師しぐさ」とは「思草」と書く。そしてこの「思草」は、明確な「考え」に基づいた「行動」のことを指している。教師は、「何故そうする必要があるのか」というところまで考え、しっかりとした価値観を持つことでマニュアルにないような様々な事態に柔軟に対処できるようになる。

教室の環境づくりや学級運営、授業についてだけでなく、教師、社会人としての常識など幅広く書かれている。「昨日は夜遅くまで職員室にこもって仕事をした」と言う教師がよく頑張っていて偉いという教師文化があるが、教師は自分の時間も大切に様々な経験をすることでゆとりができ、見識も広がって生き生きと子どもと接することができる。そして、「思草」に基づいた実践を行って子どもの輝く笑顔を見ることで自信へとつながる。

現場の教師の工夫や教師という職業の心構えを知ることができた。

かおな

7人の作家の新作短編が入っている。どれも楽しくすいすい読める。
私は今回の作品の中で、読みやすいのは湊かなえ『楽園』、私が好きなのは近藤史恵『ゴールよりももっと遠く』だった。

『楽園』わたしがわたしになるために、雪絵は誰にも言わずにトンガへむかった。日本に残された祐太は雪絵を探すために1枚の絵がないことに気づく。雪絵が抱えている秘密とは?トンガで出会う人との交流も楽しく読めた。
『ゴールよりもっと遠く』プロロードレーサーの赤城はバランサーとしてチームをまとめる役割であり、チームのエースで一匹狼の石尾の唯一の理解者でもあった。そんな中、石尾が敵チームへの移籍するという噂がでてきた。そして突然のレースの中止。ロードレース界の厳しい現状を通して、アスリートたちの考えを知ることができた。

今回でシリーズ3作目。1・2から続いている話もあるのでぜひ1・2も読んでほしい!
(『ゴールよりもっと遠く』は1・2からの続編です。)

こってぃ

著者の夫である辻宏氏は、日本で初めてパイプオルガンを建造したオルガン職人である。

辻宏氏は、生涯で82台のパイプオルガンを制作しているが、そのうちの64台は、岐阜県の加茂郡白川町に移住してからの作品である。

この本の中ではその白川町の樹齢300年の樅の大木から生まれた3台のパイプオルガンについて書かれている。

辻宏氏は2005年に72歳で亡くなっているが、彼が作ったパイプオルガンは今も、そしてこの先もずっと美しい音色を響かせてくれるだろう。

かおな

特別支援教育について、理論から実践に至るまで書かれている。障害によっての特徴や指導方法が分かりやすかった。
発達障害についての本人への告知や家族との連携のところでは、教師としての理解を相手に伝えることが書かれていた。本人―教師―家族の連携は避けては通れないところであり、そこに難しさを感じた。
知的障害についてはそれぞれの障害について詳しく書かれており、障害の名前だけでは分かりにくい細かな情報を得ることができた。

特支での実習に役立てたい!
(こってぃ@和歌山(^ε^)♪)
妻・直子と小学5年の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻はなくなり、娘は命をとりとめた。
しかし、娘の体に宿っていたのは死んだはずの妻だった。
ラストは感動し、驚嘆する作品だ。
なつき

 哲学、と言われると難しい固いイメージを持つが、この本はそれを覆してくれる。身近にある些細なものから、哲学が生まれている。それが31の絵と文で解説されている。

 私のお気に入りのプチ哲学のテーマは、「不変」ということ。世の中には、環境が変わると価値が変わるものが多くある。ことわざでいう、「郷に入っては郷に従え」のように。しかし、環境が変わっても、自分の中に「不変」なものがあることはかっこいいことだし大切なこと、と書かれている。

 アメリカから帰ってきて環境の変化に惑わされ、自分が見えなくなっている今だからこそ、自分と正直に向き合い、「不変」なものを守りつつ、少しずつ前に前に進んでいきたい、そう思いました。(はっち)

 順正とあおいの恋の物語を、順正の目線で描いたこの作品。

 順正はフィレンツェで修復士の仕事をし、情熱的な女性芽実と交際をしながら、充実した日々を過ごしている。しかしその順正の心の中には常に、10年前にした、あの忘れることのできない約束があった。「あおいの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモに登ろう。」

 しかし、かつて愛した女性あおいは、ミラノで幸せな生活を送っている、と聞かされた順正は東京に逃げてしまう。そしてついにきた、あおいの30歳の誕生日の日、順正はフィレンツェのドゥオモに登ることを決心した。

 順正の、あおいに対する熱い思いに、とても胸を打たれる小説。江國香織の作品の後に読むことをおすすめします。(はっち)

 あおいと順正の恋の物語を、あおいの目線で描いたこの作品。

 あおいはミラノで恋人のマーヴと共に、静かで平凡な毎日を過ごしている。しかし、あおいの心からは、かつて愛した男、順正が離れない。10年前に順正と交わした、「あおいの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモに登ろう」という約束が常に忘れられない。そしてついにやってきた30歳の誕生日、あおいの決断は・・・。

 女性目線から描いた、冷静で、かつ情熱的な愛の物語。静かな日常の中で揺れ動くあおいの気持ちが読者を引きつけます。(はっち)