29)苅谷剛彦『知的複眼思考法』講談社＋α文庫、1996

本書では、常識的な考え方にとらわれない自分の頭で考える力を身につける方法が紹介されている。著者は、その方法を「知的複眼思考法」と名付けている。知的複眼思考法を身につける上での最初のプロセスは、考える力をつけるために書き手の言い分を鵜呑みにしない読書、つまり批判的な読書をすることを著者は薦めている。次は、批判的に文章を書くことである。それは、問題になっている文章などを異なる立場に立って反論し、その内容を文章にしていくことだ。最後は、目の前の問題に疑問を見つけたら、それを「なぜ○○か」という形の「問い」に変えていくことである。そして、次々と問いを見つけるために最初の大きな問いを次々と細かい問いにしていく「問いのブレイクダウン」が紹介されている。これらを、目の前の問題に適応していくことで考える力を養って欲しいという著者の願いが込められた本である。(あかね）

28)茂木俊彦『自閉症の子どもたち』大月書店､1998年

自閉症とはどのような障害かが書かれている。
また､自閉症児･者とどのようにかかわっていったらよいのかがイラストを使って詳しく書かれていた。
自閉症児･者の進路や就職についても書いてあった。
自閉症は中枢神経の障害であるという説が有力らしい。
中枢神経の障害によって感覚神経から入ってきた情報を整理して、まとまった意味のあるものにする(認知する)ことが苦手である。
こだわり行動はその人の癖として認め、無理にやめさせたりしないことが必要。
変化を苦手とするので何かを変えるときは前もって伝えること。

モンテッソーリが感覚教育を重視しておこなっていた。これは精神遅滞児の中枢神経の中の送信や脳の認知の障害を改善？する効果があったのではないかと思った。
(なつき)

27)苅谷剛彦『知的複眼思考法』講談社、1996年

知的複眼思考法とは、常識にとらわれずに物事を考えていく方法であり、ステレオタイプから抜け出して、相対化する視点をもつことである。
知的複眼思考法を身につけるということは、自分の頭で考える力を身につけるということである。
兎に角、すべてのことを鵜呑みにせず少し立ち止まって疑問をもったり、問題を見つけたり離れた立場から物事をみることが大切だ。

多面的に物事を見つめることは大切だと思った。また、知的複眼思考法はレポートを書くときや卒論を書くときに役立ちそうだと思った。しかし、どこまで多面的にみていけばいいのか？疑いすぎてもいけないのではないかと思う。この本に書いてある内容までも疑ってしまう。
(なつき)

26）笹生陽子『サンネンイチゴ』角川文庫、2009

読書好きで小心者の森下ナオミは、中学二年生。学校では目立たず、当たり障りなく生活しているが、正義感も意志も人一倍強いのが本来の彼女。クラスメートの柴咲アサミは学校一のトラブルメーカー。校則違反のド金髪。隣のクラスのヅカちんは男っぽさを嫌う心優しい男の子。

そんな不思議な組み合わせの三人が事件を通して友情を育む、後味さわやかな青春物語。（いでしょう）

25) 司馬遼太郎 『竜馬がゆく』 文春文庫 1974

幕末、他人とは異なる方法で国を改革しようと考える坂本竜馬。
彼は現状を変えることだけではなく、それが未来にどのようにつながっていくのかを常に思考していた。

それは尊王攘夷、佐幕ときっぱり二分され、その方法も画一的だったとすら言える当時に置いては異質とすら言えるものだったが、彼はそれを貫き通し、後世に絶大な影響を残した。

周囲から様々なものを吸収しつつ、自ら道を切り開いていく人間の姿が、めまぐるしく移り変わる時代背景とともに鮮やかに描かれる。（てつろう）

24) ｲﾊﾚｱｶﾗ･ﾋｭｰﾚﾝ，ＫＲ『ウニヒピリ ホ･オポノポノで出会った｢ほんとうの自分｣』

サンマーク出版、2010年
ウニヒピリとは自分のなかに存在するもう一人の自分(潜在意識)。
ハワイアンの伝統的な問題解決方法として伝えられてきた｢ホ･オポノポノ｣ではこのウニヒピリと自分が交流をもつことで過去の記憶を手放し真の自由が手に入れられる。
つまり自分に起こるすべてのことは自分の記憶から起こることであり、それを気づかせてくれるのがウニヒピリなのである。
記憶と向き合いクリーニング(手放すと解釈)することでインスピレーションが生まれ新たな自分に出会えるのである。(はるな)

23) 外山滋比古 『思考の整理学』 ちくま文庫 1986

現代人（1980年代）は受け身的である。既存の事柄にかけては思考が働くが、未知の問題に対してはアイデアが浮かばない。元ある考えに自分の主観を交えた独自の創造物をつくる本当の人間を教育すること、そのための方法が必要である。（ミネカワ）

22)広田照幸『日本人のしつけは衰退したか「教育する家族」のゆくえ』 講談社現代新書、1999年

「家庭のしつけは衰退している」というイメージはもはや常識化した。本書では悪いしつけが原因と一般に言われている事件や家族問題がどのように形成されていったのかを検証している。その結果しつけとの関連性は薄いことが分かった。また歴史的観点から見ていくと、しつけは昔より熱心になされるようになったとも言えるのだ。誇張と短絡が入り混ざったイメージは、間違っていると主張した本であった。(しゅん)

21）西澤哲『子どものトラウマ』講談社現代新書、1997年

　虐待を受けて育った子どもは、虐待を受ける環境から抜け出したとしても、“トラウマ”という形になって虐待の影響を受けている。また、虐待を受けた子どもだけでなく虐待をする親にも何らかのトラウマが存在しているのである。そのため、虐待を受けた子どもだけではなく、虐待環境の中にいる親子両方への支援の必要性が述べられている。そこでトラウマを癒す方法として、３つのＲ『再体験・解放・再統合』が紹介されている。そしてトラウマを癒すためには、それら３つのＲを使いトラウマ体験をした本人がその体験を受け入れていかなければいけないのだ。（あかね）

20)吉本ばなな『うたかた ｻﾝｸﾁｭｱﾘ』新潮文庫 2002年

複雑な恋愛物語。

複雑な家庭環境の中、これまで出会わずに育った｢兄妹｣が恋をする物語とお互いに恋人を失った男女が出会い、寄り添っていく物語の二編で書かれている。

普通の恋愛でないため登場人物が恋をし始めてもどこかせつなさやかなしさがあった。
(なつき)