ドイツでは、生徒の学習到達度調査(PISA)によって、学力低下が社会問題として出てきたため、幼児教育に目を向けた新たな教育改革が導き出された。中等教育を受けている子どもの学力低下にもかかわらず、就学前教育が重要視されているが、その背景には、親の社会階層と親の出身国が生徒の学力に関係しているため、ドイツでは幼児教育政策として、就学前段階における知的教育を進めているのである。現在では、KITAと呼ばれる幼児教育施設があるほどだ。 (あかね)
フィンランドの幼児教育改革は、子どもの視点から教育部門と福祉部門のそれぞれの役割と相互関係を問い直す作業である。フィンランドでは、地方分権が進んでおり主に市町村自治体の責任のもとで、未来を担う子どもたちの教育の機会平等を保障することが重視されている。
幼児教育の課題として、就学前教育について保育所と基礎学校・前期とのあいだの連携の改善と強化、家庭保育サービスの充実の必要性が指摘されている。これらを考えるために、①就学前教育の現状分布を中心に課題と改革の方向性を把握し、②幼児教育と保育サービスとの関係、及び③学校教育の関係について論じている。
なつき
12章に分かれれており、1つの章につき1つのキーワードについての筆者の述べられていまし。私がとくに触発された章は2章「励ます」と11章「出会う」12章「愛する」でした。
「励ます」では頑張れと言うことについての疑問については共感し、励ますとは対治と同治があるということについては自分にあてはめて考えました。
それから12章では愛することは自分の勝手でありどうこたえてくれるかは関係ないことに共感しました。また布施行は布施をするほうが得をすると考えられているから布しをもらったほうは礼をいう必要はないことになるということは知らない考え方でした。
読んでいるというよりも、話を聞いている、語りかけられているような感じをうける読みやすい本でした。
また共感する部分もあれば疑問に感じる部分もあり様々な感情になる本でした。(はるな)

『多元化する「能力」と日本社会―ハイパー・メリトクラシー化のなかで』序章より

一昔前の「近代社会」とは「業績主義」であり、その社会を「メリトクラシー」と呼ぶ。現代の日本社会は「ポスト近代社会」と言われる時代である。その社会は「ハイパー・メリトクラシー」と呼ばれ、メリトクラシーの時代よりも求められる能力が増えてきている。今後ハイパー・メリトクラシーという風潮の中で生きていくことになる私たちは、ハイパー・メリトクラシーの実態をしっかりと見極めることが必要だ。(まりん)

純文学では異例のベストセラーとなり、谷崎潤一郎賞を受賞した川上弘美の代表作である。主人公のツキコは高校時代のセンセイと三十年ぶりに居酒屋で会った。ぽつりぽつりと交わす世間話から始まったセンセイとの日々は、ツキコの中で次第に大きなものとなってくる。年齢の離れた男女の、飄々として、やがて切々と慈しみあう恋心がとても魅力的に描かれている。居酒屋の中で流れる甘く、ゆったりとした会話に吸い込まれてしまいそうである。(しゅん)

常識にどっぷり浸かったものの見方、考え方や、ものごとの一面だけに目を向ける「単眼思考」の危険性を危惧し、ありきたりの常識や考え方にとらわれずに、ものごとを考えていく方法―「知的複眼思考法」の大切さを主張している。複数の視点で、自分なりにものごとを多面的に捉えなおすことが重要なポイントである。本書ではステップを追いながら、「知的複眼思考法」を取得するための道しるべが記されている。(しゅん)

同棲していた恋人にすべてを持ち去られ声もなくした倫子は、山あいのふるさとに戻って小さな食堂をはじめる。それは一日一組限りのお客様を、その人だけのためのメニューでもてなす食堂だ。いつも支えてくれる熊さん、わかり合えない母、祖母の形見のぬか床、出会う人々、食する命・・・いろいろな絆や繋がりが、やわらかく描かれている。(個人的には、突然現実的な内容が出てきてびっくりする場面もありました。)(いでしょう)

運動生理学者ベルンシュタインは、運動する身体を説明するためのまったく新しいアイディアを構想した。それは全身の器官が互いに調整し合い、運動と感覚を同時に行い続ける「協応」という単位である。またそれと同時に、新たなレベルの環境をも発見したのである。(いでしょう)

本書では、依存症に陥ってしまった女性たちの具体例がいくつか紹介されている。携帯や恋愛、お酒や食べ物、買い物など依存するものはさまざまである。そんな女性たちが依存症に陥るわけを見出だし、依存しないで生きるための方法が書かれている。特に女性必見の本である。(あかね)

変わり者で有名なアルゼンチンババア(ユリさん)。主人公みつこは父がその人の所へいることを知り、訪ねる。
母を亡くしてしばらくたってからのことであり、最初は違和感を覚えるみつこであるが父の気持ち、ユリさんの生き方に共感していく。
幸せとは…と考えさせられる1冊。(はるな)