100 Greatest Songs of 1980s (100-91) | …

i am so disapointed.

新学期もはじまったので、そろそろ80年代のベスト100を更新していきたい。とはいえ過去にやったのかというと定かではないが、やりかけて途中でやめたことは確実にある。という訳で、現時点でのものなのだが、個人的な趣味嗜好やいま現在の気分が大きく影響しているため、ほとんど客観的なもでではない上に、別の機会にやったとすればかなり変わっている可能性はひじょうに高い。あとは毎回10曲ずつちまちまやっていくので、全部終わるのに10回もかかる。こういったタイプのリストを様々なメディアや個人が発表をしていて、みんな違ってみんな良い(とは限らないかもしれない)のだが、それぞれの好みや聴き方によってバランスが絶妙、あるいは極度に違っていたりもする訳だが、わりとらしさは出せたような気がする。このアーティストならばこの曲ではないのではないか、これよりもこっちの順位の方が高いのはどう考えてもおかしいだろう、どうしてこれが入っていてあれが入っていないのだ、などというような意見、感想が人それぞれあるように思えるが、それこそがこういったリストものの醍醐味ではないかと思っているところもあり、これにもそういった要素は多めになっているような気がする。あと、選曲やランク付けの基準は個人的に「好き」ではなく「優れていると思う」なのだが、「好き」の要素も必然的に入ってしまってはいる。では、やっていきたい。

 

100. Levi Stubbs' Tears/Billy Bragg (1986)

 

タイトルに入っているリーヴァイ・スタッブスとはフォー・トップスのリード・ボーカリストで、家庭内暴力などに苦しむ主人公がその歌を聴くことで慰められるという内容の曲になっている。ビリー・ブラッグはメッセージ性や政治的主張やユーモアやリアリティーのあるフォーク的な曲を歌って人気のアーティストで、80年代にはポール・ウェラーらと政治的な活動も積極的に行っていた。この曲を収録した「トーキング・ウィズ・ザ・タックスマン・アバウト・ポエトリー」は、このアーティストの最も優れたアルバムとして紹介される場合もある。

 

 

99. Birthday/The Sugarcubes (1987)

 

ビョークがかつて所属していたアイスランド出身のインディー・ロックバンド、シュガーキューブズの代表曲。インディー・ロックがそれほど盛り上がっていなかった(ような気がする)時代に期待のバンドとしてメディアによく取り上げられていた印象がある。ビョークのボーカルにはこの頃からもうすでに、聴けばすぐに分かるような記名性があった。

 

 

98. Digging Your Scene/The Blow Monkeys (1986)

 

サウンド的にはけしてアコースティックではないのだが、スピリットにネオ・アコースティック的なものを感じるバンドやアーティストというのが特にイギリスには結構いて、どのようなジャンルに分類するのが妥当なのかよく分からずにいたのだが、ソフィスティ・ポップというサブジャンルがあることを知り、ほとんどがそれに当てはまることが分かった。ブロウ・モンキーズなどはその典型ではないだろうか。海外メディアの歴代ベスト的なリストにはほぼ選ばれていないが、日本のあるタイプの音楽ファンにはとても人気がある。というような話を先日、Twitterでしていたら、中心メンバーのドクター・ロバート本人からすかさずいいねがついて、軽く感激したのであった。

 

 

97. I.G.Y./Donald Fagen (1982)

 

スティーリー・ダンがこの頃、すでに活動を休止していたのかどうかはよく覚えていない、というか知らなかったのだが、この曲を収録したアルバム「ナイトフライ」は当時、普通にリアルタイムでのヒット作として買った記憶がある。ジャケットのアートワークから想像できるように、深夜のラジオDJがイメージされているようだ。AORの名盤として評価が確立しているが、当時は音がとても良いということで話題になっていたような気がする。そして、たとえば中高生あたりがAORやシティ・ポップを好んで聴く場合、そこには大人になることや未来への憧れもあったような気がする。

 

 

96. I Keep Forgettin' (Every Time You're Near)/Michael McDonald (1982)

 

元ドゥービー・ブラザーズのマイケル・マクドナルドによるソロ・アルバム「思慕(ワン・ウェイ・ハート)」からの先行シングル。AOR的なサウンドと相性が良いこのボーカルを、「ミュージック・マガジン」の中村とうようがやたらと嫌っていたような印象がある。「オリコン・ウィークリー」に掲載されていた日本の輸入盤チャートでは1位になっていたような気がする。90年代にはウォレン・Gのギャングスタ・ラップにサンプリングされ、10年代にはヨット・ロックのブームによって、まさかのトレンドド真ん中になったりもした。

 

 

95. Undercover Of The Night/The Rolling Stones (1983)

 

ベテラン・ロック・バンド、ローリング・ストーンズが当時、流行していたヒップホップの要素などを取り入れた実験作で、私は個人的に好きだったのだが、正統的なローリング・ストーンズのファンからはすこぶる評判が悪い。それでも、昨今はポップ・ソングとしてのユニークさを評価する声が聞かれることがあるような気もする。

 

 

94. Juicy Fruit/Mtume (1983)

 

ジューシィ・フルーツは近田春夫がプロデュースしたニュー・ウェイヴ・バンドの名前であり、小沢健二とスチャダラパーの「今夜はブギーバック」(1993)の歌詞にも出てくるように、セクシーな暗喩でもあるように思えるが、アメリカではチューインガムの銘柄だったりもする。それはそうとして、この頃にはまだフレッシュであった打ち込みのリズムが印象的なR&Bトラックであり、2020年の個人的な年間ベスト・ソング、加納エミリ「朝になれ」にも通じているような気がする。

 

 

93. Wood Beez (Pray Like Aretha Franklin)/Scritti Politti (1984)

 

この頃のスクリッティ・ポリッティについては、坂本龍一が絶賛していたり、「ミュージック・マガジン」の年間ベストにも多くの選者が挙げていた印象がある。一方、中心メンバー、グリーン・ガートサイドのルックスが良かったことなどから、日本のニュー・ウェイヴ少女にも大人気。とんねるずが主演していた深夜のテレビドラマ「トライアングル・ブルー」でカフェバーのシーンで流れるなど、業界くん的な受け方もしていたような気がする。ソウル・ミュージックのエッセンスをシンセ・ポップやニュー・ウェイヴの手法でやっているようなところが新しく感じられ、イギリスのみならずアメリカでもヒットした(このシングルではないけれど)。

 

 

92. You Can Call Me Al/Paul Simon (1986)

 

ポール・サイモンとアート・ガーファンクルのデュオは、70年代の日本でもかなり人気があったようである。ポール・サイモンのアルバム「グレイスランド」はアフリカン・ポップの要素を取り入れたところが新しく、ひじょうに評価が高かったような気がするのだが、一方で文化的搾取だなどといって批判されてもいたと思う。イントロが小沢健二のある曲の一部に影響をあたえたと思われたりもして、「渋谷系」の人達にもよく知られているような気もするのだが、個人的に「渋谷系」とはあまり関係がないのでよくは知らない。

 

 

91. Streets Of Your Town/The Go-Betweens (1988)

 

ゴー・ビトウィーンズはオーストラリア出身のバンドだが、一時期、イギリスを拠点に活動していた時期もあり、この曲を収録した「16ラヴァーズ・レーン」がその最後の頃にリリースされたアルバムである。ネオ・アコースティックのバンドとして日本では語られることも多いが、最近、元エヴリシング・バット・ザ・ガールのトレイシー・ソーンがこのバンドの女性メンバー、リンジー・モリソンとの交友をテーマにした本を出版したはずである。キラキラしたサウンドと極上のメロディー、ユニークな詩情などが際立つ素晴らしい作品で、当時はそれほどヒットしなかったのだが、現在では名盤としての評価を確立しているように思える。