モータウンの曲ベスト100を「ローリング・ストーン」が発表したことなどについて。 | …

i am so disappointed.

音楽や映画や政治を扱っているアメリカの雑誌「ローリング・ストーン」のウェブサイトで先日、「The 100 Greatest Motown Songs」という記事が公開された。タイトル通り、アメリカのレコード・レーベル、モータウンから過去にリリースされた楽曲の中から特に優れた100曲を選び、ランク付けした内容となっている。

 

「ローリング・ストーン」といえば昨年、歴代で優れたアルバムベスト500を発表し、こういったタイプの企画と想定されるこの雑誌の読者層からするとわりと攻めた内容のようにも感じられたのだが、個人的にはひじょうに妥当だと思えるもので痛快でもあった。つまり、ジョニ・ミッチェルやローリン・ヒルの順位の高さであったり、実に適正なロック比率といったところである。様々なメディアが発表するこういったタイプのリストというのは、けしてディフィニティヴにはなかなかならないものであり、あくまで他人がつくっているものなので、自分自身の感覚と近いところや違っているところ、新しい発見なども時にはあるところなどがひじょうに楽しい。

 

それで、今回のモータウンのリストだが、記事そのものはこう見えても意外と忙しいのでまだ読んではいなくて、週末にちゃんと読もうと考えている。しかし、100曲のリストには目を通し、Apple Musicでプレイリスト化もした。わりと妥当でバランスも取れているように思える。

 

 

モータウンからは特に60年代には数々のヒット曲が生まれ、特に全米ヒット・チャートを賑わせていたようだ。70年代には社会的なメッセージ性が強かったり、実験的なヒット曲もわりとい多く、80年代や90年代に入ってもいくつかの大ヒットを記録している。たとえばビートルズやローリング・ストーンズ、ビーチ・ボーイズ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ボブ・ディラン、フィル・スペクターのプロデュース作品などと同様に、歴史上ひじょうに重要とされているし、今日のポップ・ミュージックにあたえた影響もひじょうに大きい。あまりも曲が多すぎるため、どこから聴きはじめていいのかよく分からないというような場合には、なかなか役に立つリストなのではないかと思える。

 

それで、ここからはいつも通りの通常営業というか、きわめて個人的なモータウンの思い出などについて適当に書きつつ終わらせていきたい。

 

テレビに海外のポップ・ソング、つまり洋楽をカバーするバンドがたまに出ているようなことがあり、テンプテーションズの「マイ・ガール」を初めて聴いたのはそれでだったのではないかと思う。あの印象的なイントロを、まるで憧れの女の子が近づいてくる気分をあらわしているようだ、と評した海外のレヴューを読んだことがあり、納得すると同時にこの曲を聴く楽しみがより深まったようにも思えた。

 

1981年の秋にNHK-FMの「夕べのひととき」で佐野元春の新曲「ダウンタウン・ボーイ」がかかったので、カセットテープに録音し、後からそれを聴きながら歌詞を解釈していった。「Marvin Gayeの悲しげなソウルにリズム合わせてゆけば」という歌詞があり、このマーヴィン・ゲイというのが何のことなのかよく分からなかったのだが、都会的で切なげな気分というのはなんとなく伝わった。マーヴィン・ゲイは1983年の初めあたりに「セクシャル・ヒーリング」をヒットさせるが、打ち込みのリズムが当時としてはなかなか画期的でカッコよかったのみならず、ただただセックスのことを歌っていたので、とても信用できるのではないかと感じた。その後、実の父親に射殺されて亡くなるのだが、その時点ではまだこの曲だけしか聴いたことがなかった。

 

1983年にはモータウンの特に60年代の作品に特徴的なリズムを取り入れた楽曲が多かったような印象がある。前の年の秋にリリースされたダリル・ホール&ジョン・オーツ「マンイーター」がまずそうだったのだが、フィル・コリンズがダイアナ・ロス&シュープリームスの「恋はあせらず」、ホリーズが「ストップ!イン・ザ・ネーム・オブ・ラヴ」をカバーしてヒットさせたりもしていた。ビリー・ジョエルの「あの娘にアタック」や、これは前の年だがザ・ジャム「悪意という名の街」などもそうだろうか。日本ではサザンオールスターズの原由子がソロ・アーティストとしてヒットさせた「恋は、ご多忙申し上げます」などもあった。

 

スモーキー・ロビンソンはミラクルズとの楽曲を知る前に、1981年にリアルタイムのヒット曲として「ビーイング・ウィズ・ユー」を聴き、その甘いボーカルにうっとりしたものである。また、この曲と同じ1981年にはダイアナ・ロス&ライオネル・リッチーの「エンドレス・ラヴ」が大ヒットしたりもしていた。他にこの時代のモータウンでは、ダズ・バンドやロックウェルやリック・ジェームスの曲もリアルタイムのヒット曲として楽しんでいた。よく洋楽のレコードを聴かせ合っていた友人がスティーヴィー・ワンダーの大ファンだったので、「ホッター・ザン・ジュライ」とベスト・アルバム「ミュージックエイリアム」は彼から借りて聴いた。

 

1985年に高校を卒業し、東京で一人暮らしをはじめるのだが、なんとなくウォークマンが欲しくなって池袋のビックカメラで買った。となると聴くためのカセットテープも買いたくなるもので、西武百貨店のディスクポートでモータウンのNo.1ヒットが確か25曲入ったものを買った。記憶がいまひとつ定かではないのだが、マーヴェレッツ「プリーズ・ミスター・ポストマン」ではじまり、ダイアナ・ロス&ライオネル・リッチー「エンドレス・ラヴ」で終わっていたような気がする。

 

当時、東京でまだ友達ができず、紋別の看護学校に進学した元同級生の女子からの手紙が大家の家の縁側に置かれているポスト代わりの空の水槽に届くことを楽しみに生きていたりもしたので、同じく手紙を待ちわびる内容だと思われた「プリーズ・ミスター・ポストマン」はかなり心に沁みたのであった。マーヴィン・ゲイの「悲しいうわさ」や「愛のゆくえ」もこのカセットで初めて聴いたが、個人的にはダイアナ・ロス&シュープリームズ「ベイビー・ラヴ」やフォー・トップス「リーチ・アウト、アイル・ビー・ゼア」などが気に入っていた。

 

ちなみにダイアナ・ロス&シュープリームスというのが当時は当たり前だったのだが、いつの頃からかシュープリームスではなくスプリームスと表記するようになり、それからまたしばらく経った頃には両方の記述が混合していたりもして、どれが本当に正しいのか分からずにいるし、それを解明するためにパッションを注ぎ込もうというような気も(限りなくまったくに近い)ほとんど無い。

 

ダリル・ホール&ジョン・オーツがテンプテーションズのメンバーと共演し、アポロ・シアターでのライブ・アルバムもリリースしていた。

 

この年の秋にデヴィッド・ボウイとミック・ジャガーがデュエットでマーサ&ザ・ヴァンデラス「ダンシング・イン・ザ・ストリート」をカバーし、しかも全英シングル・チャートで1位の大ヒットを記録したりもする。この曲については、その前のヴァン・ヘイレンのカバーで初めて聴いていた可能性が高い。

 

それから、1986年に個人的に初めてのCDプレイヤーを本厚木の丸井で購入すると、CDソフトを買い集めることにも凝りはじめて、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ、ダイアナ・ロス&シュープリームズ、テンプテーションズ、フォー・トップスなどのベスト・アルバムを買うようになった。この年、RCサクセションがリリースした日比谷野音でのライブ・アルバムのタイトルはスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ「涙のクラウン」から取られているのか、と思ったりもした。

 

この頃、同じソウル・ミュージックでも、オーティス・レディングやアレサ・フランクリンなどのアトランティックの方がモータウンよりも本格的だというような風潮があり、実際にそうでもあったのだが、個人的にはどちらもそれぞれ好きだった。

 

トッド・ラングレンの「魔法使いは真実のスター」を六本木WAVEで買うと、「ウー・ベイビー・ベイビー」のカバーが収録されていて、とても良い曲だなと思った。オリジナルはスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズだということだが、持っていたベスト・アルバムには収録されていなかった。それで、東京プリンスホテルでのアルバイトの帰りに寄ったやはり六本木WAVEで、この曲が入ったまた別のベスト・アルバムを買った。「ゴーイング・トゥ・ア・ゴーゴー」はローリング・ストーンズのライブ・アルバムでカバーされ、シングル・カットもされていたなと思ったが、EPOの「GO GO EPO」でもカバーされていた。

 

90年代の初めぐらいには可処分所得のほとんどをCDと本にあてているような生活であり、「ヒッツヴィルU.S.A.」なるモータウンの4枚組CDボックスを買ったりもしていたのだが、これぞディフィニティヴなのではないかと思える充実した内容であった。これがあれなもう大丈夫なのではないかという気がなんとなくしていたし、しばらく家にあったような気がするのだが、いま見るともう無いので、少し前の引っ越しの時に売却をしたのだと思われる。

 

その後、お笑いコンビの笑い飯が出囃子にジャクソン5「帰ってほしいの」を使っていた。この笑い飯がチャンピオンに輝いた「M-1グランプリ2010」では、初のファイナル進出を果たした銀シャリの鰻和弘がネタの中で同じくジャクソン5の「ABO」の一部を歌っていた。

 

広末涼子「MajiでKoiする5秒前」、Negicco「1000%の片想い」など、モータウンのビートを取り入れた日本のポップ・ソングにも良いものがいろいろ生まれ続けている。

 

という訳で、改めてモータウンのすごさを思い知らされる訳である。