ブリットポップが大いに盛り上がっていた印象が強い1995年のイギリスだが、そんな年の最後の週の全英シングル・チャートにランクインしていた曲の中から、個人的にいまの気分で好きな10曲を選んでカウントダウンしていくだけの安易な回である。
10. Free As A Bird/The Beatles
ジョン・レノンが1977年にレコーディングしていたというデモ音源に存命だった元ビートルズの3人が歌や演奏を足して完成させた曲で、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。ジョージ・ハリスンのソロ作品をプロデュースしたり、トラヴェリング・ウィルベリーズのメンバーとして一緒に活動したりしていたジェフ・リンが共同プロデューサーとして参加している。ビートルズの未発表音源を集めたコンピレーションCD「ザ・ビートルズ・アンソロジー」シリーズや、同タイトルのドキュメンタリー映像(日本では大晦日にテレビ朝日系で放送された)のプロモーション的な役割も果たした。ブリットポップ旋風によってビートルズ的な音楽が見直されている時期だったのも、タイムリーであった。この年末、ボスニア戦災孤児救援のためのチャリティー・アルバム「ヘルプ」というのがリリースされ、ブリットポップ系のアーティストも多数参加していたのだが、ポール・マッカートニー、ポール・ウェラー、ノエル・ギャラガーがザ・スモーキン・モジョ・フィルターズ名義でレコーディングしたビートルズ「カム・トゥゲザー」のカバーがシングル・カットされたりもしていた。
9. Miss Sarajevo (feat. Luciano Pavarotti)/The Passengers
U2とブライアン・イーノによるプロジェクト、パッセンジャーズのアルバム「オリジナル・サウンドトラックス 1」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高7位を記録した。とても有名なオペラ歌手、ルチアーノ・パヴァロッティの参加がこの曲については最も大きな話題であろう。サラエボ包囲戦によって苦境にある人々に捧げる内容となっている。
8. Higher State Of Consciousness/Josh Wink
アメリカのDJ、ジョシュ・ウィンクによるアシッド・トラックで、全英ダンス・チャートで1位、総合のシングル・チャートでも最高8位のヒットを記録した。ユニークな電子音がうねりまくっていて、最高に気持ち良い曲である。
7. Missing/Everything But The Girl
トレイシー・ソーンとベン・ワットによるデュオで、ネオ・アコースティックな音楽性が特徴だったが、次第にダンス・ミュージックにも接近し、この曲のトッド・テリーによるリミックス・バージョンは全英シングル・チャートで最高3位、全米シングル・チャートでも最高2位の大ヒットを記録した。
6. It’s Oh So Quiet/Bjork
ビョークのアルバム「ポスト」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高4位を記録した。どこかミュージカル風でもあるこの曲は、1951年に女優のベティ・ハットンがリリースした曲のカバーである。スパイク・ジョーンズが監督したミュージックビデオも話題になり、様々な賞にノミネートされたり受賞したりした。翌年の初めぐらいに、日本武道館で行われたライブを観に行ったはずである。
5. Kelly’s Heroes/Black Grape
元ハッピー・マンデーズのショーン・ライダーやベズなどが中心となって結成されたブラック・グレープのデビュー・アルバムから3枚目のシングルとしてカットされ、全英シングル・チャートで最高17位を記録した。インディー・ロックとファンクやラップなどの要素を融合された音楽性が高く評価され、翌年に新宿リキッドルームで行われた来日公演も大いに盛り上がっていた記憶がある。
4. Gangsta’s Paradise (featuring L.V.)/Coolio
映画「デンジャラス・マインド」で使用され、アメリカでもイギリスでも1位になった。翌年にはグラミー賞も受賞している。フジテレビの「BEAT UK」でも1位になっていた週の印象がひじょうに強い。スティーヴィー・ワンダーのアルバム「キー・オブ・ライフ」に収録された「楽園の彼方へ(Pastime Paradise)」がサンプリングされている。
3. Disco 2000/Pulp
パルプの全英NO.1アルバム「コモン・ピープル(Different Class)」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高7位を記録した。1970年代から活動し、カルト・バンド的な存在であったパルプはこの年に「コモン・ピープル」「ミス・シェイプス」などをヒットさせ、一気に人気バンドとして認知されるようになった。この曲はジャーヴィス・コッカーが幼い頃に憧れていた実在の女性をモチーフとして、書かれたようである。ローラ・ブラニガン「グロリア」を思い起こさせもする、という指摘もあったような気がする。
2. The Universal/Blur
ブラーのアルバム「グレイト・エスケイプ」からシングル・カットされたバラードである。ミュージックビデオには映画「時計じかけのオレンジ」を思わせもする、シニカルなテイストが感じられる。全英シングル・チャートでは、最高5位を記録した。
1. Wonderwall/Oasis
オアシスのアルバム「モーニング・グローリー」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。この年の最後のシングル・チャートでは、この曲をイージー・リスニング調にカバーしたマイク・フラワーズ・ポップスのカバーも2位を記録している。この年のイギリスでブリットポップがどれぐらい話題になっていたかというと、オアシスとブラーが同じ日にニュー・シングルを発売することが「バトル・オブ・ブリットポップ」としてテレビのニュース番組で大きく取り上げられるほどであった。いろいろなからくりのようなものはあったものの、このバトルを制止たのはブラーであった。しかし、アルバム「モーニング・グローリー」、そして、この「ワンダーウォール」がシングル・カットされる頃には形勢が逆転していたような記憶がある。このタイプのバンドはなかなかアメリカではヒットしにくい印象もあるのだが、この曲は後に全米シングル・チャートでも最高8位のヒットを記録している。