Real Life Pop Top 10 (2020年12月8日付) | …

i am so disapointed.

その時々に好きだったポップ・ソングを記録しておくという目的をメインに何時でも止められる気満々でやっているうちにとりあえず何ヶ月か経ってしまったらしい今回は、別の記事との兼ね合いでタイトルの日付よりも1日遅れての公開となったが、世界中の全事象の中でもトップクラスにどうでも良い。という訳で、今週も適当にやっていきたい。

 

10. cotton candy/Yungblud

 

ジャンルに捉われないいまどきっぽいイギリスのシンガー・ソングライター、ヤングブラッドのユニークな魅力に溢れたアルバム「ウィヤードゥ!」から先行シングルとしてすでにリリースされていた曲。

 

 

9. LUCID/Rina Sawayama

 

今年、特に注目をあつめた新しいアーティストのうちの1人が間違いなくリナ・サワヤマ。子供の頃からファンだという宇多田ヒカルからの影響も感じさせる、(現時点において)未来的でありながらキャッチーなダンス・ポップ。

 

 

8. Endeavor (feat. Emiri Kanou)/Iris Bevy

 

加納エミリ絡みであることがもちろん聴くきっかけになったとはいえ、なんだかとても中毒性の高いポップスを奏でているのがインドネシアのバンド、アイリス・ベヴィー。キラキラしているが、どことなく切なくも感じられるところがとても良い。

 

 

7. Therefore I Am/Billie Eilish

 

あまりにも話題を独占しすぎたせいで、なんとなく地味な印象も持たれているような気がしなくもないビリー・アイリッシュのこの最新シングルだが、実際のところわりと攻めているし、新境地を切り拓いているようにも思える。ここから次の一手がどうなるかもまた、楽しみすぎて仕方がないのである。無人のショッピングモールを走り回ったりいろいろなものをつまみ食いしたりするビリー・アイリッシュが存分に観られる本人がディレクションしたミュージック・ビデオもたまらなく良い。

 

 

6. 朝になれ/加納エミリ

 

自分自身で勝手に決めているランキングなのでどうとでもできるし、出来れば新陳代謝は多い方が活性化する。それでもこの曲は本当に大好きで、隙あらば何度でも聴いていたい気持ちでいっぱいである。もはやなんとなく生涯のお気に入りのうちの1曲にすらなりそうな気が、個人的にはひじょうにしている。

 

 

5. Green Eyes/Arlo Parks

 

来年のデビュー・アルバムがわりと大勢の人々からひじょうに待たれているような雰囲気も濃密にあるマルチカルチュラルなシンガー・ソングライター、アーロ・パークスの聴きやすいが刺激的でもある良い感じのポップス。先週もたぶん言及したと思うが、J-WAVEの「TOKIO HOT 100」で最高2位を記録した。

 

 

4. 34 + 35/Ariana Grande

 

34に35を足すと69であり、これはアリアナ・グランデのセクシュアルなラヴ・ソングである。アルバム「ポジションズ」はラヴ&セックスのムードに溢れた良質なポップ・アルバムであり、音楽批評的にはアリアナ・グランデにそれ以上のサムシングを求めているのかもしれないが、いま世界が求めているものはこれであろう。というような意味でも完全に正しく、実際にヒットした。アリアナ・グランデはセレブリティーだが、先進国では貧富の差が拡大しているともいわれている。そういった時代において、この方向性はじじょうに正しいのではないか、と個人的には強く思うのである(言わずもがなではあるのだが、お金なんかなくても愛とセックスがあればしあわせになれる、というような意味においてである)。

 

 

3. Life Goes On/BTS

 

いろいろな意味で特別な年である、と2020年について多くの人々は思っているだろう。不確かで不安である。しかし、それはずっと続いていて、少しでも確かなものを人は程度の差こそあれ、誰もが求めていた。BTSのファンのことをARMYと呼ぶわけだが、そのファンダムの強靭さとそこにある希望について、私は数年前の反レイシスト活動の中で知ることになった。BTSは「ダイナマイト」に続き、この曲において2曲連続して全米シングル・チャートの1位に輝いた。韓国のアーティストとしては、もちろん初めてのことである。この多くの人々が特別だと感じる年に、このグループが世界的にもブレイクしたことは必然でもあったのではないかと、どこかで感じている。特にこの曲にそれを感じる。

 

 

2. Body/Megan Thee Stallion

 

「NME」が発表した2020年を象徴する10人にも、ミーガン・ジー・スタリオンは選ばれていた。ポリティカル・コレクトネスは自由の獲得のために存在するわけであり、これに息苦しさを感じるような人々の多くは差別主義者であるのではないかと、個人的には一点の曇りもなく思うわけである。ミーガン・ジー・スタリオンの最新アルバム「グッド・ニュース」の初登場の順位はイギリスでは驚くほど低かったが、アメリカではBTSに次いで2位であった。いまはまだ存在そのものが政治的な意味合いを持ち、それがその魅力のうちの一部ではあるのだが、やがてこれが当たり前にもなるのだろう。一個人としては、それにこそ加担していきたいと強く感じるし、ポップ・ミュージックとは政治的なものである。

 

 

1. Prisoner (feat. Dua Lipa)/Miley Cyrus

 

マイリー・サイラスはポップ・スターでありながら、そのライブにおいてはいろいろとロックの名曲といわれるものをカバーしたりはしていたようだ。そして、スティーヴィー・ニックス、ジョーン・ジェット、ビリー・アイドルらをゲストに迎えた最新アルバム「プラスティック・ソウル」はロック色が濃い。ポップ・ミュージックとしての強度もさることながら、女性ポップ・アーティストがロックスターとしてパフォーマンスをすることが何らかの政治的意味合いを持ち得てしまい、その意味の濃さに感激している私のようなタイプのファンがいる限り、ポリティカル・コレクトネスはまだまだ未熟な段階にあるといえる。オリヴィア・ニュートン・ジョン「フィジカル」を想起させたりもするところ辺りも、意図的なのか無意識過剰なのか、ひじょうにハイコンテクストに刺激的でもある。