20. BLUE MONDAY/NEW ORDER
ニュー・オーダーが1983年にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートで最高9位を記録した。ドラムマシンとシンセサイザーと暗いボーカルが印象的なこの曲が、イギリスのインディー・チャートで大ヒットしているらしいと話題になっていた。12インチ・シングルというフォーマットに注目を集めるきっかけにもなっていたような気がする。
19. BAD GUY/BILLIE EILISH
ビリー・アイリッシュが2019年にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで1位を記録した。ミニマルなシンセ・ポップとセンシュアルなボーカル、アクティビスト的なアティテュードと、きわめて今日的なポップ・アイコンによる最高のヒットソング。radikoプレミアムでプロ野球中継を聴いていたら、所沢の球場内でこの曲がオルガン演奏されていた。
18. BILLIE JEAN/MICHAEL JACKSON
マイケル・ジャクソンが1982年にリリースしたアルバム「スリラー」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートなどで1位を記録したスキャンダラスな内容のダンス・ポップ。1981年に開局したMTVの影響はこの頃にはヒット・チャートにも本格的に及ぶようになっていたが、この曲の前までは白人アーティストのビデオ以外はかからなかったと言われている。そういった意味でも、重要な楽曲である。
17. GOOD VIBRATIONS/THE BEACH BOYS
ビーチ・ボーイズが1966年にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートなどで1位を記録した。ブライアン・ウィルソンの狂気すれすれのポップ感覚が爆発したような作品で、ものすごく細かくてややこしいことをいろいろやっているようなのだが、たまらなくキャッチーだという素晴らしい曲である。
16. LAST NITE/THE STROKES
ザ・ストロークスが2001年にリリースしたデビュー・アルバム「イズ・ディス・イット」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高14位を記録した。当時のロックシーンに欠けていたものすべてを持ち合わせ、ロックをふたたびモテそうな音楽、つまり私のような者でも興味が持てるようにしたという点で、個人的にもひじょうに印象深い。とてもクールでセクシーなバンドによる、最高にカッコよくてモテそうな曲である。
15. SAY IT LOUD - I'M BLACK AND I'M PROUD/JAMES BROWN
ジェームス・ブラウンが1968年にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで最高10位(R&Bシングル・チャートでは6週間1位)を記録した。タイトルの通り、レイシズム(人種主義)に抗う強い意志を持った、ファンキーでとてもカッコいい曲である。
14. "HEROES"/DAVID BOWIE
デヴィッド・ボウイが1977年にリリースしたアルバム「英雄夢語り(ヒーローズ)」のタイトルトラックにして先行シングルで、全英シングル・チャートで最高24位を記録した。ブライアン・イーノと共にベルリンで制作されたいくつかの作品のうちの1つで、1987年にはベルリンの壁の近くで、東西の聴衆に聴こえるように歌われた。翌々年のベルリンの壁崩壊と共に語られることも少なくない。
13. KILLING IN THE NAME/RAGE AGAINST THE MACHINE
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが1992年にリリースしたデビュー・アルバムからの先行シングルであり、当時の全英シングル・チャートでは最高25位であった。ラウドでヘヴィーなオルタナティヴ・ロック・サウンドに乗せて、「ファック・ユー、お前の言いなりにはならない。クソ野郎が」というようなことがシャウトされるなど、最高である。2009年にイギリスでオーディション番組「Xファクター」の優勝者の曲がクリスマスに1位になるのを阻止するために、みんなでこの曲を買いまくって本当に1位にしたのは面白かった。
12. HEY YA!/OUTKAST
アウトキャストが2003年にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで1位に輝いた。正確にはアンドレ・3000のソロ曲であり、ロックやポップ、R&B、ヒップホップにニュー・ウェイヴなど、いろいろなポップ・ミュージックの魅力が一体化したような、キャッチーで素晴らしいポップ・ソングである。
11. RESPECT/ARETHA FRANKLIN
アレサ・フランクリンが1967年にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで1位を記録した。オーティス・レディングの既存曲をアレサ・フランクリンがカバーしたことによって、男性は女性に対してもっと敬意を払うべき、という至極当然な内容を力強いボーカルとご機嫌な演奏で表現したフェミニストアンセムとなった。
10. GOD ONLY KNOWS/THE BEACH BOYS
ビーチ・ボーイズが1966年にリリースしたシングル「素敵じゃないか」のB面に収録されていた曲で、邦題は「神のみぞ知る」である。愛する人がもしもいなくなってしまったとしたならば、自分が一体どうなってしまうかなんていうことは神のみぞ知る、というような内容なのだが、これがとても美しいサウンドとボーカルで表現されていて、ポップ・ミュージックのある方向性における到達点なのではないかとも思える。
9. BE MY BABY/THE RONETTES
ザ・ロネッツが1963年にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで最高2位を記録した。プロデューサー、フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドと呼ばれる、音で壁をつくったようなサウンドの代表曲でもある。好きな人に自分の恋人になってほしい、といういつの世も変わらぬテーマも含め、エバーグリーン・ポップとはまさにこれのことではないかと思う。
8. STRANGE FRUIT/BILLIE HOLIDAY
ニューヨークに住むユダヤ人教師、エイベル・ミーアポルによって書かれた曲で、有名なビリー・ホリデイのバージョンは1939年にリリースされた。邦題は「奇妙な果実」だが、それはレイシズム(人種主義)によって虐殺された死体が木に吊るされている情景をあらわしたものである。
7. GOD SAVE THE QUEEN/SEX PISTOLS
セックス・ピストルズが1977年にリリースしたシングルで、タイトルはイギリス国家と同じだが、もちろんまったく別の曲である。労働者階級や庶民の生活とは関係がなく、エリザベス2世の即位25周年になんとなく湧いているかのようなムードに、この国には未来はない、ノー・フューチャーというリアリティーを歌ったもの。実際には全英シングル・チャートで1位になるぐらい売れていたが、何らかの忖度によって2位にされたのではないかということもずっと言われている。
6. SMELLS LIKE TEEN SPIRIT/NIRVANA
ニルヴァーナが1991年にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで最高6位を記録した。もちろんひじょうに売れそうな音づくりにはなっているのだが、それまでこのタイプのラウドでヘヴィーでオルタナティヴなロックというのは、そんなに売れるものではなかった。様々なタイミング的なものもいろいろあったのだろうが、この曲を収録したアルバム「ネヴァーマインド」が全米アルバム・チャートをどんどん駆け上がり、ついにはマイケル・ジャクソンやガンズ・アンド・ローゼズやU2などの最新作を抜いて1位にまでなったのは、とても痛快であった。「ハロー、ハロー、ハロー、ハウ・ロウ?」というようなダークなエネルギーの爆発は、思いがけないほど広い支持を得て、ポップ・ミュージックの様相を永遠に変えてしまった。エルヴィス・プレスリーやビートルズやセックス・ピストルズがそうだったようにである。
5. WHEN DOVES CRY/PRINCE
プリンスが1984年にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで1位に輝いた。評論家などからは高い評価を受けているイメージがあったが、一般的にそうでもなかった要因としては、ロックなのかソウルなのかよく分からない音楽性や一般的な常識からは本質的に外れているような印象もあるビジュアルのイメージなどもあったのだろうか。それが少しずつ受け入れられているような印象はあったが、この曲やこれを収録したアルバム「パープル・レイン」と本人が主演した同タイトルの映画の大ヒットには驚かされた。明らかにいわゆる普通とは違うものが、そのまま魅力となり、世間一般の人たちを熱中させる。それがポップ・カルチャーの1つの醍醐味であり、ある者にとっては救いでもあるのだろう。「ビートに抱かれて」という邦題を持つこの曲もベースが存在しないなど、ひじょうに普通ではないポップソングである。しかし、これが当時、みんなを踊らせ、いまでも聴くと興奮を覚える。
4. GET UR FREAK ON/MISSY "MISDEMEANOR" ELLIOTT
ミッシー・エリオットが2001年にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで最高7位を記録した。音楽プロデューサー、ティンバランドによってプロデュースされたこの曲は、インドとパキスタンをまたいだバンジャブ地方で収穫を祝うための舞踊音楽、バングラのビートを取り入れたユニークなものである。冒頭には「これからみんなでメチャクチャ踊って、騒ごう騒ごう」という日本語のセリフが入っている。ポップ・ミュージックは様々な文化のハイブリッドによってますます面白くなり、その傾向は今後も強まっていけば良いと思う。
3. PAPER PLANES/M.I.A.
M.I.A.が2007年にリリースしたアルバム「カラ」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高4位を記録した。音楽的にはヒップホップのビートにザ・クラッシュ「ストレート・トゥ・ヘル」の一部やレジスターの音などがサンプリングされていたり、歌詞はM.I.A.がアメリカの就労ビザを取得しようとした時に経験した困難がベースになっていたりと、越境的でもある最新型のポップ・ミュージックとしてのユニークな魅力に溢れている。
2. FIGHT THE POWER/PUBLIC ENEMY
パブリック・エナミーが1989年の夏にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートで最高29位を記録した。スパイク・リー監督のレイシズム(人種主義)をテーマにした映画「ドゥ・ザ・ライト・シング」のテーマソングであり、劇中では登場人物、ラジオ・ラヒームのラジカセからも何度も流れてくる。ポップ・ミュージックは大衆のものであり、権力の不正や横暴に異議申し立てをする機能も持ち合わせている。意図しているかいないかや、その内容がそう捉えやすいかそうではないかにかかわらず、すべてのポップ・ミュージックはある意味合いにおいて、政治的であることから逃れることができないのではないか。そこで、一体、(意識的にせよ無意識的にせよ)何に加担しているのか、ということが重要になる。
1. ALRIGHT/KENDRICK LAMAR
ケンドリック・ラマーが2015年にリリースしたアルバム「トゥ・ピンプ・ア・バタフライ」に収録され、シングル・カットもされた曲である。全米シングル・チャートでの最高位は81位だが、それを大きく超えるインパクトと重要性を今日のポップ・カルチャーにおいて、有しているといえる。自分たちは大丈夫だというアフリカン・アメリカンにとってのセルフ・エンパワーメント的な楽曲ではあったのだが、白人警官によるアフリカン・アメリカン殺害に端を発したBLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動において、参加者たちがチャントしたことによって、レイシズム(人種主義)に対するプロテスト・ソングとして機能するようになった。これこそが、大衆音楽という意味でのポップ・ミュージックであろう。