1996年8月4日付の「TOKIO HOT 100」で好きな曲ベスト10。 | …

i am so disappointed.

個人的な体感でいうと、日本の社会が暗くなりはじめたのは1997年からという印象が強いのだが、今回、取り上げるのはその前の年なので、個人的な体感では日本の社会が比較的まだ明るい方だった最後の夏ということになる。

 

「TOKIO HOT 100」は東京のFM放送局、J-WAVEで1988年からずっと続いている長寿番組なのだが、私が聴いていたのはおそらく1990年前後ぐらいまでである。タイトルから想像できるようにカウントダウン番組なのだが、ランキングは都内の輸入盤も扱っているようなCDショップでの売り上げや、J-WAVEでのオンエア回数などによって決められていたと思う。よって、たとえばオリコンのランキングなどとはかなり異なっていて、その上、当時の東京の音楽ファンの趣味や嗜好を反映しているようなところもある。

 

それの1996年8月4日付のランキングに入っている100曲の中から、個人的に好きな10曲を選んで、カウントダウンしていくことによって当時の気分を思い出してみようという、きわめて安易な回である。

 

10. IRONIC/ALANIS MORISSETTE

 

アラニス・モリセットのアルバム「ジャグド・リトル・ピル」はすごく売れていて、大人気だった。私は「ユー・オウタ・ノウ」のシングルCDは買っていたのだが、アルバムは当時、付き合っていた人が持っていたので買わなかった。歌詞のタイトルと内容が合っていないのではないかとか、そのような難癖もいろいろ付いたようだが、細かいことをいつまでもネチネチ言い続ける人たちというのは、周囲を不幸にするだけのケースがひじょうに多いため、できるだけ距離を置くことが得策である。

 

 

9. IF I RULE THE WORLD (IMAGINE THAT)/NAS

 

ナズの2作目のアルバム「イット・ワズ・リトゥン」から、シングル・カットされた曲で、ローリン・ヒルがゲスト参加している。当時、ブリットポップのようなものをメインでは好んで聴いていたのだが、ヒップホップでもこのナズなどは好きでよく聴いていた。当時、付き合っていたアメリカでの生活経験がある女性が、ナズのラップはとてもリアリティーがあると言っていたので、実際にそうなのかもしれない。この曲が収録されたアルバムは全米1位になっているのだが、「TOKIO HOT 100」にランクインしていたというのは、なんだかちょっと意外なような気もする。

 

 

8. KILLING ME SOFTLY/FUGEES

 

フージーズの大ヒットアルバム「ザ・スコア」からシングル・カットされ、やはり大ヒットした、ロバータ・フラック「やさしく歌って」のカバーである。オリジナルは私たちの世代であれば、なんとなく幼少期にリアルタイムで耳にした記憶が無きにしもあらずである。この曲は「BEAT UK」でも1位になっていた記憶があるが、新宿ルミネにあった頃のタワーレコード(現在は無印良品になっている)などでCDを見ている若いカップルたちの雰囲気にもマッチしていたような印象がある。ちなみに、その頃、同じ建物のアパマンで働いていた営業の男は、私の妻から5万円を借りたまま、行方をくらませた。

 

 

7. Swallowtail Butterfly~あいのうた~/YEN TOWN BAND

 

岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」の劇中で、主演のCHARAなどが組んでいた架空のバンドによる楽曲で、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。これをきっかけに、ネクストブレイク的な状態が続いていたCHARAも、一気に知名度を上げた。1992年に六本木WAVEで働いていた時に、客として来店していたCHARAを見たことがあったが、小柄ながらものすごいオーラを感じたことを覚えている。

 

 

6. アジアの純真/PUFFY

 

小室哲哉がプロデュースした安室奈美恵などが大ブレイクしたこともあってか、アーティストによるプロデュース業というのが流行りのような印象もあった。奥田民生がプロデュースしたことで話題になったPUFFYは大貫亜美と吉村由美の2人組で、これはそのデビュー・シングルである。井上陽水による歌詞は意味があるのか無いのかよく分からず、メンバーのゆるめなボーカルともマッチしていた。

 

 

5. DEVIL'S HAIRCUT/BECK

 

ベックのアルバム「オディレイ」の1曲目に収録され、シングル・カットもされた曲である。フォークやカントリーとヒップホップとのハイブリッドというのが当時のベック作品の魅力の1つではあったのだが、ダスト・ブラザーズと組むことにより、それがよりキャッチーな方向性に行き、大成功した印象がある。

 

 

4. 情熱/UA

 

「渋谷系」と関係が深い日本のクラブ・ミュージック的な文化にはスノビッシュでいけ好かない雰囲気が漂い、個人的にはまったく興味や関心が無かったのだが、この曲はコンビニエンスストアや居酒屋で耳にしたり、小泉今日子が何かの番組で口ずさんでいたりしたので、すんなり好きになることができた。

 

 

3. FASTLOVE/GEORGE MICHAEL

 

ジョージ・マイケルのソロといえば「FAITH」は大好きだったのだが、その次のアルバム以降、何だかシリアスになり過ぎのように思え、ほとんどちゃんと聴いていなかった。しかし、「BEAT UK」でビデオを視聴したこの曲には、絶妙な下世話さが感じられ、すぐに好きになった。デジパックのシングルCDを持っていた記憶がある。

 

 

2. JUST A GIRL/NO DOUBT

 

実はノー・ダウトは当時、よく分からなくて、ほとんどちゃんと聴いていなかったし、CDもまったく買ったことがない。「ドント・スピーク」という大ヒットしたバラードは、まあ良い曲だなと思っていた程度である。それからしばらくして、フェミニスト・ポップについての研究をしている時に、この曲にあたって、ちゃんと聴いてみたところすごく良いのではないか、と思った次第である。

 

 

1. Little Jの嘆き/GREAT3

 

さて、この週の「TOKIO HOT 100」において、この曲は100位なのだが、ランクインした全100曲の中で、個人的に一番好きな曲なので、堂々と1位にしてしまうのである。アルバム「METAL LUNCHBOX」に収録され、シングル・カットもされた。片寄明人の狂気すれすれの悲しみの果てが、極上のポップ・ミュージックとして昇華された、素晴らしい作品である。ハイライトは取り壊されて門だけが取り残された家のインターホンを、誰も応えてくれるはずがないのに、何度も繰り返し押しているうちに涙がこぼれて落ちた、という辺りだろうか。ミュージック・ビデオではものすごく暗い歌詞の件を居酒屋などにいる人たちがノリノリでやっているなどして、これもまた良いものである。