「山田邦子 クニチャンネル」について。 | …

i am so disapointed.

先日、YouTubeで何かの動画を適当に視聴していると、おすすめ的なやつで「山田邦子 クニチャンンネル」の動画が表示された。山田邦子がYouTubeのチャンネルを持っているなんて、それまで知らなかった。YouTubeはわりと良く観ている方だと思うのだが、どうしてこれまで表示されなかったのか疑問なのと同時に、なぜこのタイミングで初めて表示されたかも不思議であった。

山田邦子といえば、私にとってのイメージは「オレたちひょうきん族」である。初めて観たのはおそらく「笑ってる場合ですよ!」の「お笑い君こそスターだ!」だったと思うのだが、九十九一の「パックインミュージック」でネタを聴いたのがしれよりも前だったのか後だったのかは、よく覚えていない。1981年にリリースされた「邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド篇)」はポップ・ミュージックとして純粋にカッコよく、いまでもわりとよく聴くのだが、ネタがほぼそのまま入っているのもまたお得である。

旭川で中学生や高校生だった頃に山田邦子をよくテレビで観ていたのだが、東京で一人暮らしをはじめて、大学生になってからはテレビそのものをそれほど観なくなった。それで、おそらく山田邦子の人気が最も高かった時期に放送されていた「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」などは観たことがない。大塚製薬ファイブミニのテレビCMに出演して「飲む繊維」などと言っていたのはなんとなく覚えている。原宿の竹下通りでタレントショップがブームだった頃にクーニーズというのを出店していことも、とりあえず知ってはいた。

ものすごく人気があったのだが、1990年代の半ばあたりからなぜかバッシングされるようになり、冠番組もなくなっていった、というような経緯についてはなんとなくの噂レベルで知っていた程度で、特に強い思い入れはなかった。近年は女芸人の日本一を決めるお笑いコンテスト番組「THE W」への出場をめぐってどうやら揉めたらしいということや、長年在籍していた太田プロダクションを退社したらしいという、どちらかというとネガティヴめな話題でなんとなく知っていた。

私の山田邦子に対する思い入れというのはこの程度でしかなかったため、YouTubeのおすすめに「山田邦子 クニチャンネル」の動画が表示されはしたものの、それほど観たいと強く思ったわけではなかった。それでもなんとなく1本観終わった時点で、Good!をタップしたしチャンネル登録した。他の動画も次々と観て、全てが面白く止まらない状態である。

私の山田邦子のリアルな記憶というのは、「オレたちひょうきん族」の頃、つまり30年以上前でストップしているのだが、まるで同窓会のようにめちゃくちゃ楽しめる。たとえば、数年前にFacebookによって高校時代の友人と数十年ぶりに再会するということがあったのだが、長い間お互い全く関わらずに生きてきたにもかかわらず、いざ会って話してみるとブランクを全く感じさせないほど大いに盛り上がった。まさにその感じなのである。

山田邦子は芸能界において頂点をきわめた人だけあって、トークがひじょうに上手く、聴きやすい。私の記憶の中ではややエキセントリックな部分もあり、そこがまた魅力でもあったのだが、面白さはそのままに成熟が感じられ、あれから自分と同じだけ歳を取ったのだなという、当たり前ではあるのだが軽い感動が感じられる。

特に「オレたちひょうきん族」の話がやはりとても面白く、視聴者からの要望も多いようだ。あの頃のビートたけしや明石家さんま、島田紳介、コント赤信号、ヒップアップ、サブロー・シローなどの話が当時のリアルな記憶に基づいた生き生きとした言葉で語られる。

また、実はこれについては知らなかったのだが、日本のロック史における重要バンドである、BOØWYとも親密だったらしく、それについて語られた回も面白い。渡辺徹と一緒にやっていた「いきなり!フライデーナイト」という番組にはメンバー全員が私服でカジュアルに出演していたと聞き、動画を探してみたらあっさり見つかった。

あと、とある性技の呼称を発明したのは山田邦子であるということは都市伝説的に聞いてはいたのだが、それについても本人の言葉で語られている。もちろんシモネタなのだが、程よい品も感じられて、不愉快なところが全く無い。

このところ新型コロナウイルス絡みなどで公私共にバタバタしていて、ブログもろくに書けていなかったのだが、久しぶりに書いたのがサンダーキャットでも岡村靖幸でもなく山田邦子についてだというのも不思議なものだが、それぐらい楽しく聴いているし、日本のポップ・カルチャー史における貴重な証言の宝庫だとも思えるのである。

このチャンネルがスタートしたのは、今年の2月らしい。ここ最近、メディアを通してなんとなく知っているつもりだった山田邦子に関する情報といえばどことなくネガティブめではあったのだが、このチャンネルでの山田邦子は明るく生き生きしていて、好感が持てるしとても面白い。そして、毎回、必ず動画の最後にものまねやギャグなどのネタを入れているのもとても良い。