モーニング娘。’19「青春Night」について。 | …

i am so disappointed.

モーニング娘。‘19の両A面シングル「人生Blues/青春Night」は、2019年6月12日にリリースされ、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。

このグループの熱心なファンとはまったくいえない私は、リリース時にしっかりチェックすることもせず、「人生Blues」の方だけは職場の有線放送で流れていたので、なんとなく認識はしていた。つんく♂っぽい曲だなとは思っていたのだが、実際につんく♂による曲なのかどうかを調べてもいなかった。

8月になってから、モーニング娘。’19やハロー!プロジェクトを意識させる個人的な出来事が、偶然にも重なって起こり、金曜日にはアンジュルムのアルバムを聴きながら、炎天下で駐車場の雑草除去などを行っていた。私がハロー!プロジェクトの楽曲をちゃんと聴くようになったのは2007年の「笑顔YESヌード」なのだが、それ以降は熱心に聴いている時期とほとんど聴いていない時期とを繰り返している。よって、まったく熱心なファンだとはもちろんいえないわけだが、よく聴いている時期というのは、わりと日常がハードコアモードに入っている時が多いような気がする。

土曜日に仕事に行くために下り電車に乗り、iPhoneでTwitterのアプリケーションを起動すると、「ROCK IN JAPAN 2019」におけるモーニング娘。’19のセットリストやレポートや感想のツイートが流れてきた。それを読みながら私はよく分からないし、分不相応な感動に襲われていた。それは、ずっと応援している熱心なファンにこそ許された特権のような気がするのだが、私が元来のお調子者ということもあり、気持ちを抑えることはできなかった。

電車に乗りながら、セットリストをプレイリスト化したのだが、持っていない曲はiTunesストアで購入した。「青春Night」もそのうちの1曲である。「笑顔YESヌード」ではじめてモーニング娘。のCDを買い、いまでもかなり気に入っている私は、やはりこういうディスコファンク的なアイドルポップスが大好きなのだ。WHY@DOLLとかTomato n’PineとかEspeciaの曲が大好きなのも、おそらくそういう傾向によるものなのだろう。

iPhoneに繋いだイヤフォンで聴いていて、「青春Night」はすぐに好きになった。それにしても、タイトルである。「人生Blues」といい「青春Night」といい、無駄を徹底的に排した、シンプルで力強いものに思える。こういうのが説教じみていて熱すぎると思うような時期もあるにはあるのだが、現在の私の個人的なモードとしては、これがとてもしっくりくる、というか、こういうのを待っていたというような気分もある。そして、その内容もまた素晴らしい。

「人生Blues」はハロー!プロジェクトの楽曲によくある、ディスコファンクを基本とした曲ではあるが、シンセサイザーの起用などに新しさが見られ、フューチャーファンク的な魅力も感じられる。これは現在のポップ・ミュージック界のトレンドともリンクしていて、昨年のトラップ歌謡「A gonna」もそうだったのだが、私のようなミーハーなポップスファンにはうれしいものである。

サウンドはとてもカッコいいのだが、言いたいことは特にないのかというと、そんなことはまったくなく、むしろそのメッセージ性こそが要点だと、現在の私には思える。その骨子は曲を再生してすぐ、スクラッチのような効果音に続き、約1秒後に歌われる。つまり、「私の人生 エンジョイ‼︎」ということである。

とはいえ、直球的にアゲアゲなパーティー・チューンというわけではない。青春期特有の実存的不安が根底にあり、それが共感をより可能にしている。青春とは輝かしいだけではなく、じつに不安なものである。自分とはいったい何者なのか、という克服されない悩みがつねに付きまとうのだが、今日において、それはより上の年代にまで広がっているようにも思え、それは雇用の流動化と関係があるような気もするのだが、話がそれてしまいそうなので、とりあえずこれは置いておく。

この青春期における実存的不安の表現に、モーニング娘。の2008年のシングル「リゾナント ブルー」を思い出したりもした。ソロパートが吐息と叫びしかなくなった道重さゆみが、「ヘルプミー!」とシャウトする曲である。「青春Night」においては、そのような現実はあるにせよ、「誰がなんと言おうが 私は私の人生 エンジョイ‼︎」と言い切ってしまうところが素晴らしく、楽曲そのものもこの強いメッセージ性に拮抗しうる強度を持ち合わせている。

誰か他人のではなく、「私の人生」であるところが重要である。上手くやっているように見える他の誰かと比べて、冴えなく劣っているように思えることがあるかもしれないが、それは「私の人生」として主体的に生きていないからなのではないか。

人生が停滞していた頃、モーニング娘。になどまったく興味がなかった私が道重さゆみを発見し、気づかされたのは、まさしく自分自身のものとしての人生を取り戻すことであった。不器用であっても、積極的に充足した生を獲得しようと頑張る、その姿が美しいと思え、私はそのようなものを目指そうと思った。道重さゆみについて書きはじめた頃、私のブログのタイトルは「卒業 - さゆみんについて」であり、説明は「モーニング娘。道重さゆみをめぐる自分探し系ブログ」というようなものだったと思う。ナイスでメロウな中年男性であった私が「道重さゆみになりたい」などと言い続けていたのも、本質的にはそういうことであった。

「青春Blues」はそのようなことをいろいろと思い出させてくれたのみならず、ポップスとして最高に好みであり、繰り返し何度も聴き続けている。2016年11月15日リリースのWHY@DOLL「菫アイオライト」以来のハマりようかもしれない。

2017年にカントリー・ガールズから移籍、兼任している森戸知沙希がセンターを務め、メインボーカルは他に譜久村聖、佐藤優樹、小田さくら、野中美希となっている。ミュージックビデオでは20歳になった佐藤優樹にこれまでにない大人の表情が見られ、生田衣梨奈の美しさが爆発していると思えるのだが、これはきわめて個人的な趣味嗜好による感想だという可能性は否めない。