lyrical school「LAST DANCE」について。 | …

i am so disappointed.

先日、YouTubeを視聴していたところ、画面の右側の方にlyrical schoolの観たことのないビデオが表示された。「LAST DANCE」という新曲らしく、しかもlyrical schoolはいつの間にかビクターエンタテインメント/コネクトーン・レーベルに移籍していて、二度目のメジャーデビューを果たしていたということである。前回、メジャーレーベルに所属していた時は、現在のメンバーではなかったはずである。

 

lyrical schoolは日本のアイドルラップグループで、わりと長く活動しているのだが、現在のメンバー構成になったのは一昨年、2017年の4月からである。その年の夏、私は雨の代々木公園野外ステージで、WHY@DOLLをオープニングアクトに迎えて行われたNegiccoとのツーマンフリーライブで、はじめてそのライヴを体験し、すぐに気に入ったのであった。当時の最新シングルであった「夏休みのBABY」がまたゴキゲンであり、年末には個人的な年間ベスト・トラックに選んだのだった。翌年、つまり昨年にリリースされた「WORLD'S END」も素晴らしく、あくまで楽曲が好きだという部分がメインではあるのだが、CDにサインをしてもらったり浴衣を着たメンバーとチェキを撮ってもらったりといった、ミーハー的な活動も行っていた。その他には真夏に上野恩賜公園で行われたフリーライブや、CDショップで行われたリリースイベントなどにも行ったのだが、いずれも最高であった。ちゃんとしたライブにも行ってみたい気持ちでいっぱいなのだが、常に仕事のスケジュールとバッティングしているのは残念なことである。

 

昨年末から今年はじめにかけてリリースされた「パジャマパーティー/シャープペンシル feat. SUSHIBOYS」「Tokyo Burning」/Cookin' 

feat. YoungHustle」という2枚のシングルにも新機軸が感じられ、今後がとても楽しみだと思っていたのだが、それはあくまでポップ・ミュージックファンとしての興味であり、その近況をこまめに追いかけるほどの熱心なファンというわけでもなかった。それで、今回の新曲およびメジャー移籍を知るのもかなり遅くなったという次第である。

 

当然、「LAST DANCE」のミュージックビデオは視聴したのだが、これがまた最高なのである。ビデオテープの映像を思わせる画像処理と、様々な映画に対するオマージュ、たとえばサイレント映画のクラシックとされる「月世界旅行」だとか、「私をスキーに連れてって」で原田知世が指でつくったピストルのようなもので三上博史を「バーン」と言って撃つところをhimeがやっていたり、「ユージュアル・サスペクツ」のカッコいいやつなど、一時も目を離すのがもったいないほどの楽しさである。また、ダブダブのジャケットを着ながら踊るrisanoの姿や、全体的にyuuの表情、minan、hinakoもメンバーそれぞれのキャラクターが立っているし、その魅力はさらに強まっているように感じられる。

 

「LAST DANCE」は9月11日にリリースされるアルバム「BE KIND REWIND」からの、先行トラックだという。このタイトルの意味は、「巻き戻してご返却ください」だそうだ。

 

かつて、人々が自宅で映画を視聴する方法のメインが、レンタルビデオショップで借りることだった時代がある。それほど大昔のことではないが、その習慣はもうすっかり失われてしまった。しかも、DVDではなくビデオカセットである。DVDになってから、映画を所有することのハードルは低くなったような印象があるが、ビデオカセットの時代はショップがまるでまだ見ぬ広い世界への入口のように思えたこともあった。私が最も多くのビデオを借りて観たのは、幡ヶ谷にあった文華堂だったと思う。帰りに京たこでたこ焼きを買って帰ることもあった。

 

ビデオを借りて視聴し終わった後は、巻き戻して返すことが推奨されていた。ビデオレンタルショップとしてもそうしてもらえると手間が省けるのだが、やはり巻き戻されずに返却される場合もあったので、カウンター内には巻き戻し用の機会が設置されてもいた。

 

「BE KIND REWIND」はどうやらコンセプトアルバムの可能性もあり、「LAST DANCE」はそれを暗示するものでもあるようだ。

 

アイドルはCDでシングルをリリースして、特典券などを付けて何枚も売るというビジネスモデルがありがちだが、「LAST DANCE」はデジタル配信のみでのリリースである。その一方で、アパレルにひじょうに力を入れているようである。これがやはり「VIDEO YOUNG」なる架空のビデオショップをコンセプトとしているようであり、BEAMSとコラボレーションして、販促イベントも行っているようである。これがひじょうにクールでスタイリッシュなものであり、アイドルグッズではあるものの、ストリートウェアとして普通に着まわせるものとなっている。

 

アルバムのリリースに向けて、7月、8月にも新曲が発表されるということだが、これもまたとても楽しみである。

 

「LAST DANCE」のビデオのような情報量を詰め込むタイプの表現はけして効率的ではないと思われ、その過剰さが私のような者には郷愁を感じさせなくもなく、それでいてとても新しい、だからこそこれがたまらないのではないかと感じるのである。

 

昨年のアルバム「WORLD'S END」にも感じたことだが、lyrical school自体は前途多望なるナウなヤングたちによるグループであるにもかかわらず、その作品にはどこか終末感が感じられる。それが、1999年に世界が終わるとされていたノストラダムスの大予言がまったくの嘘っぱちだとは言い切れなくもなかったというか、どこかでそれが真実である可能性を期待していなくもなかった20世紀末の気分をリフレインさせてくれたりもする。アルバムではなんとなく終わりの方に収録されるような気がしなくもない「LAST DANCE」には「いつか終わる時の中で 君と出会ったこと」というフレーズがあり、その現実認識にたまらなくグッときたりもするのである。不思議だが、本当だ。

 

 

 

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