カレン・O&デンジャー・マウス「ラックス・プリマ」について。 | …

i am so disappointed.

カレン・Oとデンジャー・マウスによるコラボレーション・アルバム「ラックス・プリマ」が先日、リリースされた。

 

カレン・Oは2000年代前半、ヤー・ヤー・ヤーズの中心メンバーとしてポップ・シーンに登場し、ザ・ストロークス、ザ・ホワイト・ストライプスと共に、新しいロックのリヴァイヴァルを起こし、また、「マップス」というポップ・ミュージック史に残るクラシックをも生み出した。ソロ・アーティストとしてもスパイク・ジョーンズ監督による映画「かいじゅうたちのいるところ」のサウンドトラックをはじめ、数々の作品を発表し、高い評価を得てきた。

 

デンジャー・マウスの名前を一躍有名にしたのは、2004年の「ザ・グレイ・アルバム」であろう。これはビートルズの通称「ホワイト・アルバム」と呼ばれている「ザ・ビートルズ」とジェイ・Zの「ブラック・アルバム」からのサンプリングをマッシュアップさせる、つまりホワイトとブラックを混ぜたからグレイという冗談のようにも思えるが、高いクオリティーを持った作品である。音源の正式な使用許可を取っていないため、このアルバムは公式的には流通していないが、プロモーションのため僅かにプレスされたCD、そして、インターネット上にはデータとして出回り、多くの音楽ファンがこれをダウンロードして楽しんだ。その後、デーモン・アルバーンらによる覆面バンド、ゴリラズのプロデュースを経て、2006年にはシーロー・グリーンとのユニット、ナールズ・バークレイで「クレイジー」を世界的に大ヒットさせた。

 

ベック、U2、レッド・ホット・チリ・ペッパーズといった大物アーティストのプロデュースを手掛ける一方、シンズのジェイムズ・マーサーと結成したユニット、 ブロークン・ベルズでも活動を続けるなど、2000年代以降のポップ・ミュージック界における重要人物の1人となっている。

 

このように個性的な2人のアーティストによる初のコラボレーション・アルバムが、この「ラックス・プリマ」である。ポップ・ミュージックの歴史に対する知識と愛情、それによってクラシック・ポップが持つ魅力を最新型にアップデートしたかのようだというのが、デンジャー・マウスの作品の印象である。「ラックス・プリマ」においてもやはりそうであり、それによってヴォーカリストとしてのカレン・Oの新たな魅力を引き出すことに成功している。ヤー・ヤー・ヤーズの楽曲において顕著なシャウトは抑えられ、より官能的なヴォーカルを聴くことができる。

 

先行トラックでもあった「ウーマン」においては、60年代ポップスのようなリズムを持ちながら、フェミニズム的なメッセージを持ち、それはドナルド・トランプ政権という悲劇に対するカウンター的な側面も持ちながら、悲嘆にくれたり無気力状態に陥るのではなく、力強い怒りを根底とするポジティヴィティーが感じられる。

 

ポップスとしてのアイデアに溢れた、ひじょうに魅力的なアルバムである。

 

 

 

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