個人的な好みで選んだ平成の100曲(1) | …

i am so disapointed.

平成も残すところあと数ヶ月間ということで、この期間にリリースされ、聴いたことがある日本のポップ・ミュージックの中から個人的に好きな100曲を選び、ほぼ発売日順に並べるという企画をやってみたい。1回に10曲、計10回分の記事を気が向いた時に書いては上げていきたいと思う。

 
今回はその第1回目ということで、平成元年からである。単純に平均で割るならば1回分につき3年分ぐらいをカバーすることになるのだが、おそらくそう平均的にはならされないし、早くもそうなっていない。
 
キ・ツ・イ/玉置浩二
 
安全地帯のヴォーカリスト、玉置浩二にとって2枚目となるソロ・シングルで、平成がはじまってから3週目の1989年1月25日にリリースされている。本人も出演していたテレビドラマ「キツイ奴ら」の主題歌で、作詞は松井五郎で作曲は玉置浩二、オリコン週間シングルランキングでは最高7位を記録した。「ミュージック・マガジン」の中村とうようが「何がセイフティ・ゾーンなものか。これは危険地帯ですよ」と評した玉置浩二のヴォーカルは、安全地帯とは異なったファンキーなサウンドにのることによって、また新たな魅力を発しているようである。個人的な好みで選んだ平成の100曲の1曲目が玉置浩二となったわけだが、私と同じ旭川市の出身だからという忖度は一切ない。
 

 

 

Fade Out/小泉今日子

 

「花の82年組」のアイドル歌手、小泉今日子がデビュー8年目の1989年5月10日にリリースしたシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。近田春夫がプロデュースしたアルバム「KOIZUMI IN THE HOUSE」からの先行シングルで、タイトルが示すように、当時、流行の最先端であったハウス・ミュージックを取り入れているのだが、サビのメロディーなどはひじょうに歌謡曲的なのがまたたまらない。

 

 

 

さよならベイビー/サザンオールスターズ

 

サザンオールスターズにとって26枚目のシングルで、1989年6月27日にリリースされた。原田知世と織田裕二が主演した映画「彼女が水着に着がえたら」のテーマソングでもある。「いとしのエリー」も「チャコの海岸物語」もオリコン週間シングルランキングでは最高2位止まりであり、実はこの曲で初めての1位を記録した。夏の失恋を描いた、初期のサザンオールスターズらしさも残す切ないバラードである。

 

 

噂だけの世紀末/いとうせいこう

 

編集者、コメディアン、ラッパー、小説家など、マルチな活動を行っていたいとうせいこうが1989年7月にリリースしたアルバムが、ヤン冨田との共同プロデュースによる「MESS/AGE」であった。言葉と音楽にこんなにも可能性があるのだと、ガツンと衝撃を受けた1枚であった。この曲は約10年後に迫った世紀末、1999年に世界が終わるかもしれないなどともいわれていた時代、その噂の本質について看破し、「絶対の孤独を」「Let's Dance!」と宣言する、ものすごくカッコいい曲である。一般家庭にインターネットが引かれる遥か以前に、SNS時代を予見していたかのようなところもある。

 

 

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デイ・ドリーム・ビリーバー/THE TIMERS

 

RCサクセションの忌野清志郎によく似たZERRYというアーティストが率いる正体不明のバンド、THE TIMERSによるモンキーズのカバーで、エースコックスーパーカップのCMにも使われ、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。「もう今は 彼女はどこにもいない」からはじまるZERRYによる日本語詞は、死別した彼の母のことを歌っていたのだと知ったのは、それからかなり後のことであった。ある世代以降の人たちにとっては、セブンイレブンの曲としても定着しているようである。

 

 

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虹の都へ/高野寛

 

高野寛にとって4枚目のシングルで、リリースは1990年2月7日、オリコン週間シングルランキングでは、最高2位を記録している。「イカ天」こと「三宅裕司のいかすバンド天国」によって加熱したバンドブームの最中、ポップスを追求する高野寛の存在はユニークであり、清涼剤のようでもあった。プロデュースをトッド・ラングレンが手がけている。

 

 

 

乳母車と棺桶/ニューエスト・モデル

 

パンク・ロックをルーツとしながらも、ファンクやワールド・ミュージックなど、様々な音楽のメルティング・ポット化した傑作アルバム「クロスブリード・パーク」からの先行シングルである。中川敬のシニカルでありながら希望をたたえたメッセージ性の強い歌詞は、30年近く経った今日の社会をも照射する。「哀れお山の大将 山の上から降りなよ 一切合切 捨てろよ 一から出直しできるよ 今のうちなら間にあうよ」という歌詞は、まさに現在の日本にこそ必要なメッセージなのかもしれない。後にソウル・フラワー・ユニオンへと発展して、現在も精力的に活動中である。

 

 

 

恋とマシンガン/フリッパーズ・ギター

 

1989年にデビューしたフリッパーズ・ギターが日本語の歌詞で初めてリリースしたのがこのシングルで、テレビドラマ「予備校ブギ」の主題歌にも使われた。オリコン週間シングルランキングでの最高位は17位だが、その後の日本のポップ・ミュージックにあたえた影響は、それを大きく上回るものである。1980年代のイギリスで流行したネオ・アコースティックという、確かに素晴らしいのだが、ひじょうにマニアックでニッチな音楽と地続きでありながら、それまで聴いたことがなかったような文学的で繊細な日本語の歌詞、そして、その世界観を表現するのに最も相応しいナイーヴでありながらある意味、芯の強さを感じさせるヴォーカル、衝撃であったし、やはりあれは革命だったのだろう。それにしても、29年後にもまだこの曲の魅力について語っているとは思っていなかった。

 

 

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働く男/ユニコーン

 

バンドブームの中でも特に人気が高かったのが奥田民生が率いるユニコーンだったが、他のビート・パンク的なバンドたちとは一線を画し、その多彩な音楽性は、大人のポップ・ミュージック・ファンをも唸らせるにじゅうぶんであった。この曲は万華鏡的なポップス絵巻ともいえるアルバム「ケダモノの嵐」からの先行シングルで、景気の良いバブル時代、「24時間働けますか」的な当時のビジネス環境を想起させたりもする。1990年7月21日リリースで、オリコン週間シングルランキングでは最高3位を記録した。

 

 

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I LIKE YOU/RCサクセション

 

RCサクセションにとって最後のアルバムとなった「Baby a Go Go」からの先行シングルで、1990年9月5日にリリースされ、オリコン週間シングルランキングでは最高13位を記録した。この時点のバンド編成は忌野清志郎、仲井戸麗市、小林和生の3人となっていた。アナログ録音による、原点回帰的なシンプルな作品となっている。この頃にはまだ生まれていない女優、のんによって、後にカバーされることになる。

 

 

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