アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンド、ザ・キラーズのギタリスト、デイヴィッド・キューニングによるソロ・プロジェクト、キューニングがデビュー・アルバム「プリズミズム」をリリースした。
全米、全英でアルバム・チャート1位を記録したザ・キラーズ「ワンダフル・ワンダフル」のツアーに参加しないという選択をした。ツアーには代わりのギタリストが参加したが、デイヴィッド・キューニングはザ・キラーズを脱退したというわけではなく、引き続きメンバーである。家族との時間もじゅうぶんに取れるようになった日々の中で、自宅スタジオで制作されたのがこのアルバムだという。当初は自分自身でヴォーカルをとるつもりはなかったようなのだが、試しに歌ってみたところ、これでいこうということになったようだ。
ザ・キラーズといえば2004年にリリースしたデビュー・アルバム「ホット・ファス」が最もポピュラーだという印象があるが、アルバム・チャートでの最高位だけを見ると、2017年にリリースされた最新アルバム「ワンダフル・ワンダフル」だ先ほども言及したように、全米、全英で1位と、最も成功している。イギリスではこれまでにリリースしたオリジナル・アルバムのすべてが1位を記録していて、本国であるアメリカ以上の人気だともいえる。
ザ・キラーズの音楽にはデビュー当時から1980年代のニュー・ウェイヴからの影響が指摘され、アメリカのバンドだがイギリスっぽいなどとよく言われていた。ここでいうニュー・ウェイヴというのは、ポスト・パンク的な意味合いではなく、よりコマーシャルな感じで、アメリカで第2次ブリティシュ・インヴェイジョンあたりを指していうようなニュアンスである。ニュー・ウェイヴという言葉の意味も、随分広い範囲をカバーしてしまう性格上、使う人によってニュアンスがかなり異なってしまうのだが、1980年代の時点においてはいまでいうところのクラシック・ロックや、ハード・ロック/ヘヴィー・メタル以外のロックはすべてニュー・ウェイヴと呼ばれていたような印象がある。
そして、今回リリースされたキューニングのアルバムだが、やはりとてもニュー・ウェイヴっぽい。もちろんポスト・パンク的なそれではなく、よりコマーシャルな感じのである。ザ・キラーズのレパートリーであってもなんら不思議のない曲もわりと多いのだが、デイヴィット・キューニングのヴォーカルがより匿名的であるがゆえに、曲の良さがきわだっているようにも思える。ポップでキャッチーな楽曲と、シンセサイザーの使い方もひじょうにニュー・ウェイヴ的であり、カーズなどを思わせるところもある。
特に強烈な個性があるわけでもないのだが、それでいて曲のクオリティーは総じて高い。なんだか知らぬ間に引き込まれていて、聴けば聴くほど好きになっている。こういうのもなかなか良いものである。
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