フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド「リラックス」などの記憶。 | …

i am so disapointed.

イギリスはリヴァプール出身のバンド、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのデビュー・シングル「リラックス」がリリースされたのは1983年10月24日だったという。つい最近、発売35周年を迎えたということである。1980年代の半ば、このバンドは特にイギリスのポップ・シーンにおいて大きなセンセーションを巻き起こした。

 

この曲がヒットチャートにおいて勢いをつけたのは、発売の翌年になってからだったという。BBCの人気テレビ番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」の35位に初登場すると、翌週には6位に急上昇したという。

 

BBCラジオのDJが番組でこの曲をかけたが、途中でその内容がひじょうに過激であることに気づき、まだ曲の途中であるにもかかわらず、流すのをやめたという。数日後、この曲はBBCで放送禁止になった。そして、全英シングル・チャートの1位になり、それは5週間続いた。

 

フェティシズムを感じさせるジャケットのアートワーク、歌詞はゲイ・セックスを連想させなくもない。

 

続くシングル「トゥー・トライブス」は当時、東西の冷戦下にあった世界情勢をテーマにしたダンス・ミュージックで、ゴドレー&クレームによるビデオでは、アメリカのロナルド・レーガン大統領とソビエト連邦のコンスタンティン・チェルネンコ書記長のそっくりさんがリング上でレスリングをするという内容であった。客席では他の国の首脳たちがこの対戦に賭けをしているようである。そして、最後は地球が爆発する映像で終わる。この曲は全英シングル・チャートで9週連続1位の大ヒットを記録した。

 

デビュー・シングルの「リラックス」は一旦チャートを下降していたものの、このタイミングで再浮上し、1位と2位をフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドが独占する週もあった。1984年の夏、イギリスでは「FRANKIE SAY WAR! HIDE YOURSELF」「FRANKIE SAY RELAX DON'T DO IT!」とプリントされたTシャツが大流行したという。

 

冬にリリースされたシングル「パワー・オブ・ラヴ(愛の救世主)」はそれまでとは一転したバラードだが、これも難なく全英シングル・チャートの1位を記録した。このシングルはまるでそれが当然だとでもいうように、発売前からバンドにとっての3枚目のNo.1シングルとしてプロモーションされていた。この曲の1位は1週のみで、翌週にはボーイ・ジョージ、ジョージ・マイケル、サイモン・ル・ボン、ボノ、ポール・ウェラーといった人気アーティストたちが集結したバンド・エイドのチャリティー・シングル「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」が1位になった。

 

この時点でデビュー・シングルから3曲連続で1位を記録したアーティストは1960年代の同じくリヴァプール出身のバンド、ジェリー&ザ・ペースメイカーズ以来であった。この記録は1990年代になってから、スパイス・ガールズ(デビュー・シングルから6曲連続1位)によって破られることになる。

 

これら3枚のシングル曲をも収録したデビュー・アルバム「ウェルカム・トゥ・ザ・プレジャードーム」は1984年の10月にリリースされ、これも当然のように1位になった。ディオンヌ・ワーウィック「サン・ホセへの道」やブルース・スプリングスティーン「明日なき暴走」の意外とストレートなカバーも収録され、一体どこまでが本気でどこからが冗談なのかがよく分からなかった。

 

翌年、アルバムからタイトルトラックの「プレジャードームがシングル・カットされ、4枚目のNo.1シングルとしてリリースされたが、これは最高2位に終わった(その週の1位はフィリップ・ベイリー&フィル・コリンズの「イージー・ラヴァー」である)。

 

長めのバンド名は、フランク・シナトラが音楽界から映画界に進出することについての記事に付けられていた見出しから取ったらしい。