新潟を拠点とするアイドルグループ、Negiccoがつい先日、4枚目のアルバム「MY COLOR」をリリースし、これが実に素晴らしいポップ・アルバムなのだが、今週の土曜日には新潟の朱鷺メッセにて、結成15周年の集大成ともいえるライブ「love my 15years at 朱鷺メッセ」が開催される。これには全国から多くのファンが参加すると見られているが、私も当初は仕事のスケジュール的に行くのを完全にあきらめていたのだが、様々な要因が重なり、これはやはり行っておかなければいけないのではないかと全力で調整を行ったところ、なんとか行けるようになった。そのかわり、その前後のスケジュールがわりとえげつなく、現在もその真っ只中なのだが、仕事柄、夏といえどもまとまった休みが取れない私にとっては、これが今年の夏休みのようなものである。
「夏休みまで あと何日 待ち遠し過ぎる」というのは「サンシャイン日本海」の歌詞だが、今回はこの時期にあえて2014年7月22日にリリースされたこのNegiccoのシングル曲について、(すでに何度目かになるが)取り上げてみたい。
まず、この曲がリリースされた4年前の夏の時点で、私はまだNegiccoのことをよく知らない。この前の年にリリースされた「アイドルばかり聴かないで」のことはインターネットで少し話題になっていたのを知っていたが、実際に聴いてみるまでには至らなかった。その年の秋、「ときめきのヘッドライナー」のリリースイベントを新宿のタワーレコードで行った時には、偶然、見かけてもいたのだが、それで特に興味を持つというわけでもなかった。この時期といえば、この年の秋ツアーをもってモーニング娘。’14(当時)から卒業してしまう道重さゆみのことで頭がいっぱいだったのではないかと思う。
「サンシャイン日本海」のシングルにはカップリング曲として「フェスティバルで会いましょう」が収録されていて、作詞・作曲は初期からNegiccoに楽曲を提供し続けているconnieさんである。当時のインタビューで、リーダーのNao☆ちゃんはこの曲について「大きい舞台にNegiccoを立たせたいって願望がすごく出ている」と語っているようだが、歌詞には「道を濡らした 涙の後に」「重い雲が 高く晴れたら」「さぁ 出掛けようよ」「ゆく先はあの場所(まるで理想郷でしょ フィールド・オブ・イイキョク)」「みんなの声が聞こえる」と、頭の文字を縦読みすると「道重さゆみ」となる箇所がある。
「サンシャイン日本海」の作詞・作曲・編曲はORIGINAL LOVEの田島貴男さんで、女性アイドルに楽曲提供するのは、これが初めてだったという。ORIGINAL LOVEといえば、田島貴男さん自身は頑なに拒否しているということだが、ピチカート・ファイヴやフリッパーズ・ギターと並んで、いわゆる「渋谷系」の代表的なアーティストとして見なされることがある。Negiccoのファンをグッと増やしたのは、元ピチカート・ファイヴである小西康陽が書いた「アイドルばかり聴かないで」だといわれていて、ファンには現在でもいわゆる「渋谷系」的な音楽を好む人達が多いような印象がある。
ORIGINAL LOVEでタイトルに「サンシャイン」が入る曲といえば、1993年5月7日リリースの「サンシャイン ロマンス」があるが、実は1990年代のある時期、一部を除いてポップ・ミュージックを含む日本のあらゆるカルチャーを拒絶して生活していた私は、この曲を聴いたことがなかった。初めて聴いたのは2016年5月4日、渋谷HOMEで行われた「RELAX」というイベントで、NegiccoのDJ Meguがかけた時であった。オーディエンスの一部が合唱状態になっていたことから、かなり人気の高い曲だということがすぐに分かった。以来、私もiTunesのライブラリにこの曲を入れ、夏のプレイリストには欠かせなくなっている。
私が初めてNegiccoの音楽を聴いたのは2016年3月3日の夜で、ある本で読んで興味を持ったからであった。その時はアルバム「Melody Palette」やシングル「ねぇバーディア」をApple Musicで聴いたのだったと思う。「サンシャイン日本海」はその時点での最新アルバム「Rice&Snow」にも収録されていたが、当時はApple Musicのカタログに追加されていなかった。シングルは追加されていたのかどうか、今となっては思い出せない。いずれにせよ、程なくして私はYouTubeで「二人の遊戯」「1000%の片想い」のライブ動画やアルバムティーザー映像を観て、「Rice&Snow」をiTinesストアで購入したのであった。
それからNegiccoのライブやイベントにもたまに足を運ぶことになり、4月27日に行われた中野サンプラザのワンマンライブにも参加した。しかし、この時点ではまだ「サンシャイン日本海」をライブで体験できていなかった。
中野サンプラザでのワンマンライブが行われる前の週、私は新潟の街に初めて行った。新潟県のスキー場には行ったことがあったが、街にはそれまで行ったことがなく、行く日が訪れるとも思っていなかった。理由はNegiccoの音楽を聴いたり動画を観たりしているうちに、新潟のことが気になったからである。その日は特に新潟でNegiccoのライブやイベントがあったわけでもないのだが、純粋にNegiccoを育んだ新潟というのがどのような街なのだろうかと実感してみたくなって行ったのであった。
その時点ではNegiccoに関するいろいろな動画をすでに観ていて、その中にはもちろん「サンシャイン日本海」のMVもあった。「サンシャイン日本海」は夏をテーマにしたご当地ソングであり、ビデオも新潟で撮影されている。音楽的には初期のアズテック・カメラを思わせるようなところもあり、アイドルポップスとしてはなかなか異色な感じもするのだが、そのナチュラルな感じが個人的にはかなり好みであった。歌詞にはご当地を思わせるフレーズがいろいろ出てくるのだが、アイドルの曲なのに「信濃川ヨットハーバー ビール一杯だけ」というフレーズが出てくることに驚いた。この曲がリリースされた時点でNegiccoは最年少のKaedeですら22歳なので、もちろんお酒を飲んでもまったく問題がない年齢ではあるのだが、といかくアイドルポップスの歌詞において、お酒が特に背伸びした大人の雰囲気を演出するためではなく、ごく自然なアイテムとして使われていることに新しさを感じた。
同様に、「たくさん遊んでぐっすり眠るの 大好きなあなたと」である。これはおそらく恋人と一緒に泊っていることをあらわしているのだが、恋人同士であれば当然ではあるものの、やはりアイドルポップスにおいてこのようなことが特にセンセーションを煽るわけでもなく、幸せな日常として当たり前に表現されていることがとにかく素晴らしいと思えたのである。
そして、ビデオにおいて地元でのびのびと元気にはじけまくるNegiccoのメンバー達がとにかくすごく良い。せっかく新潟に行くのだからこれらのビデオに映っている場所にも行ってみたいと、軽い聖地巡礼的なアイデアも浮かんだのだが、Negiccoファンの方々からいろいろ教えていただき、それもかなり達成することができた。
新潟の様々な風景が小刻みに切り替わる冒頭において、犬の銅像のようなものが一瞬映るのだが、これは忠犬タマ公像のようである。忠犬タマ公は昭和のはじめに新潟の猟師によって飼われていたメスの柴犬で、飼い主を二度にわたって雪崩から救ったことで知られているという。このビデオに映っているのは白山神社にあるものだと思われるが、忠犬タマ公の像は新潟駅にも設置されていたはずである。
また、イントロの部分においては、Kaedeの背景に朱鷺メッセが映っているのだが、この時点では4年後にここでライブをやることになるとは思っていなかったのではないだろうか。信濃川や佐渡汽船などに続いて映っているレトロな建物は、みなとぴあこと新潟市歴史博物館である。店頭で笹団子を食べているのは、上古町にある野澤屋というお店のようだ。日本海での眩しいシーンに続いて、間奏で映っているのは白山神社である。ブランコはすぐ近くにある白山公園に設置されたものだ。
新潟の有名なお菓子、ポッポ焼き(「ネガティヴ・ガールズ!」の歌詞というかセリフにも登場)を食べているのは、かつて万代シティバスセンタービルにあったayame poppoの店頭だが、昨年の2月に閉店している。「ふるまちモール6」のアーケード入口に続いて映るのは、カステラが有名な古町のはり糸というお店である。新潟駅前が一瞬映った後、おそらく万代バスターミナルでイタリアンを食べている。イタリアンは新潟のB級グルメで、焼きそばの上にミートソースをかけたようなものである。新潟市ではみかづきというチェーンが有名で、「サンシャイン日本海」のビデオでNegiccoが食べているのは、おそらく万代シティバスセンタービルの2階にある万代店で買ったものではないかと思われる。みかづきのイタリアンには様々なバリエーションがあるほか、ソフトクリームやたこ焼きなども販売されていて、地元ではファストフード感覚で利用されているようである。
また、「サンシャイン日本海」のビデオには映っていないが、万代シティバスセンタービルには、バスセンターのカレーで有名な万代そばもある。私が行った時にはテーブルの所に朝日新聞に掲載されたMeguの記事が掲示されていたのだが、現在もあるかどうかは定かではない。
続いて映るのが新潟のシンボル的存在でもあったというレインボータワーであり、営業は2012年に終了しているが、この秋には取り壊されてしまうという。この夏が見納めということである。
この後、ビデオでNegiccoが乗っている電車は新潟駅から出ている白新線であり、途中で映る鉄橋は阿賀野川に架かっているもので、大形駅と新崎駅の間に通過する。
一昨年に訪れた新潟の街の印象は、懐かしさと新しさが程よくブレンドされている感じだが、このビデオがおそらくあえてレトロ調の画質で編集されているのが、またとても良いと思うのだ。
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