今年の2月28日、水曜日の真夜中近くのことであった。あらかじめどうせ朝まで終わらない仕事の合間、私は近くのまんが喫茶に行き、ノートパソコンをWi-Fiでインターネットに接続し、「WHY@DOLL~ほわどるに恋なのさー~」の視聴を試みた。結果的にはあまりにも通信環境が悪すぎて、途中で断念を余儀なくされたのだが、ところどころは観ることができた。
生配信中、もぐもぐタイムといっておやつを食べることを許される時間があった。冬季オリンピックでのカーリング女子にちなんでの趣向であろう。それぞれ好きなおやつを選んで買ってもらったということであり、はーちゃんこと浦谷はるなさんはロッテのパイの実、リーダーのちはるんこと青木千春さんはベビースターラーメン、グミ、ひなあられを買ってもらっていた。はーちゃんはパイの実を半分に割って、はじめにチョコを味わってからパイのみの部分を食べるというこだわりの食べ方について説明していた。この日は話されていなかったが、2つ年上の兄がブルボンルマンドのことを極度に嫌っていて、その名前を出すだけでブチ切れるというエピソードがなぜか好きだ。
ちはるんが真っ先に手に取ったのがベビースターラーメンであり、カメラに向かって「めっちゃ好きなんですよ」と言っていた。最もスタンダードなチキン味が好きだが、形状では「じゃがりこみたいな箱にいっぱい入ってる丸くなってるやつ」、つまり1999年から販売が開始されたラーメン丸が好きだということである。
子供の頃、留萌にあった祖父母の家に行くと、お菓子をたくさん買ってもらえて、好きなだけ食べることができた。私はキャラメルやチョコレートといった甘いお菓子よりも、柿の種やベビーラーメン、あるいはほっけの燻製やかんかい(タラ科の魚を干した乾物)といった珍味を好んで食べていたため、将来は酒飲みになるといわれていたらしい。当時は留萌にも映画館があり、東映まんがまつりなどを観に連れて行ってもらったのだが、その時にもポップコーンなどではなく、ほっけの燻製を食べていた記憶がある。
それはそうとして、ベビーラーメンはラーメンの形をした小さなお菓子で、10円で買えるのが魅力であった。気がつくとベビースターラーメンという名前になっていて、価格も値上がりしていた。
現在、おやつカンパニーとして知られている会社は、1948年に松田産業有限会社として設立された。おやつカンパニーに社名を変更したのは、1993年のことである。
インスタントラーメンの元祖は1958年に日清食品から発売されたチキンラーメンだが、じつは松田産業有限会社ではこれに先がけ、1955年に味付中華めんという即席ラーメンを販売していたらしい。しかし、これは今日のインスタントラーメンのような瞬間湯熱乾燥法などではなく、天日干しで製造されていたということなので、インスタントラーメンの元祖がチキンラーメンであるという説には間違いはないようである。
松田産業有限会社の味付中華めんはチキンラーメンよりも先に発売されていたのだが、商業的には失敗に終わったらしい。製造過程でこぼれ落ちた麺のかけらをもったいないと思った創業者が、それに味をつけて従業員に配ったところ、それがおいしいと評判になり、近所の人たちまでもが欲しがるようになったのだという。そんなに人気があるのならば商品化してしまおうということで生まれたのがベビーラーメンであり、発売はチキンラーメンの1年後、1959年のことであった。
当時のパッケージはオレンジ色で、中国人のような子供がラーメンが入った丼を持っているようなイラストが描かれていた。丼の中身の部分は透明になっていて、袋の中に入っているべビーラーメンが見えるようになっていた。おやつカンパニーの公式ウェブサイトで当時のパッケージ画像を確認すると、「チキン入菓子」「お子様のおやつに」などと書かれている。
ベビーラーメンの名称にスターが入り、ベビースターラーメンになったのは、1973年のことだという。スナック菓子の星にというような、願いをこめてだったのだという。
この年のオリコン年間ランキングを見ると、宮史郎とぴんからトリオが「女のみち」「女のねがい」で1位、2位を独占、他にはフォークソングのガロ「学生街の喫茶店」、かぐや姫「神田川」、チューリップ「心の旅」、アイドルポップスの天地真理「恋する夏の日」「若葉のささやき」、浅田美代子「赤い風船」などがトップ10に入っている。
これもまた公式ウェブサイトで当時のパッケージ画像を確認すると、「そのまま食べて下さいね」と書かれている。私の記憶の中にあるパッケージにも、確かこの文言が入っていたような気がする。間違えてお湯をかけて食べてしまう人が多かったのだろうか。
ベビースターラーメンはラーメンのような味や形をしたお菓子ではあったが、実際のラーメンの味とはやはり異なっていたし、大好きなベビースターラーメンのような本物のラーメンがあったらどんなにいいだろうと、当時、小学生だった私は思っていたのであった。
そして、オリコン年間ランキングのトップ3をピンク・レディーが「UFO」「サウスポー」「モンスター」で独占し、6位にも「透明人間」がランクイン、5位にはこの年で解散したキャンディーズ「微笑がえし」、他には堀内孝雄「君のひとみは10000ボルト」、中島みゆき「わかれうた」といったニューミュージックがトップ10入りした1978年(サザンオールスターズが「勝手にシンドバッド」でデビューしたのもこの年)、お湯を入れてつくるべビースターカップラーメンが発売された。当時、愛川欽也が出演するテレビCMも放送されていたということだが、これを観た記憶があまりない。
また、たこ八郎と漫才ブームで人気のあった春やすこ・けいこが出演した、1980年代のCMも確認できたのだが、やはりこれも観た記憶がないのである。
また、ビックリマンチョコのようなシールの付いた、ベビースタービックリカップラーメンなるもののCMも確認できたのだが、これなどは商品の記憶そのものがない。
ところで、インスタントラーメンの元祖である日清食品のチキンラーメンだが、私は高校を卒業するまで食べたことが一度もなかった。北海道の実家でインスタントラーメンを食べることはもちろんあったのだが、サッポロ一番やハウスのたまごめん、明星ミニラーメンちびろくなどである。また、北海道だけで発売されていたしたっけラーメンというのが好きすぎて、高校を卒業して上京してからも実家から送ってもらっていた。
高校を卒業し、東京で一人暮らしをはじめると、テレビでチキンラーメンのCMをやたらと見かけるようになった。イラストレーターの南伸坊が出演していて、「すぐおいしい、すごくおいしい」というCMソングがとても印象的であった。この2年後に私が「スタジオ・ロマンチスト」というアルバムを気に入ることになる、鈴木さえ子による作品だったようだ。
南伸坊は当時、糸井重里、嵐山光三郎、篠原勝之らと同様に、メディアにもよく出ている文化人、クリエイターという印象であった。おにぎりのような三角形の顔が印象的であった。日曜日の昼などにダラダラとテレビを観ていて、なんとなくお腹もすいてきたのだが、冷蔵庫に食料もない時などにこのCMが流れると、やはりチキンラーメンが食べたくなるのである。土曜日の夜は明け方近くまで「オールナイトフジ」を観ているので、起きるとだいたいもう「笑っていいとも!増刊号」の時間になっていたのだ。
おそらく巣鴨の西友あたりではじめて買ってきてみて、驚いた。まずはその調理法にである。鍋でお湯を沸かしてラーメンを煮る必要がないのだ。丼にラーメンを入れて熱湯を注ぎ、蓋をして待つだけでもうできている。この簡単さが衝撃的であった。パッケージの裏側につくり方が書かれているのだが、当たり前のように蓋などと書かれているものの、ラーメン丼の蓋などという概念がまず無かったので、取り敢えず実家から送ってもらった程よい大きさの皿を利用した。テレビのCMでは生卵をのせていて、それがとてもおいしそうだったので、もちろんそれもそのままやる。さらにパッケージにはネギものせるようなことが推奨されていたため、わざわざこのためにネギを買って包丁で切り、入れたりもしていた。お湯をかけて待つ間に、麺にしみ込んだ調味料がそのままスープになるという事実にも感動を覚えた。これはもう1つのアートフォームではないか。
そして、味がまた最高なのだが、これこそが子供の頃、ベビースターラーメンのような味の本物のラーメンがあれば、と夢見たものに近いような気がした。ベビースターのカップラーメンはサイズが小さく、あくまでおやつ用という感じだったのだ。
それからベビースターラーメンのパッケージは1988年にリニューアルされ、新しいキャラクターのベイちゃんが登場した。その2年後、1990年からチキンラーメンの袋にはひよこちゃんというキャラクターが描かれるようになった。
ベビースターラーメンのベイちゃんは相方のビーちゃんと共に2016年いっぱいで引退し、現在のキャラクターはホシオくんである。先日、ホシオくん誕生1周年を記念して、ベビースターラーメンBIGチキン味というカップラーメンがセブンイレブン限定で発売された。
チキンラーメンは1991年からカップラーメンでも発売され、これまでにいろいろな種類のものが出ている。
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