インセキュア・メン「インセキュア・メン」を聴いた。 | …

i am so disapointed.

ロンドンの破天荒バンドとして話題を呼んだファット・ホワイト・ファミリーからドラッグ依存などを原因として追い出されたのが、ギタリストのソール・アダムチェウスキーであった。その後、新たなプロジェクトで活動を開始していたことは何となく知っていたのだが、先日、アルバムがリリースされたということで、取り敢えず聴いてみることにした。

 

プロジェクトの名前はインセキュア・メン、パートナーはロンドン出身のバンド、チャイルドフッドのフロントマン、ベン・ロマンス・ホップクラフトである。二人は学生時代の友人同士だったのだという。

 

2012年に結成されたチャイルドフッドは卓越したメロディー・センスを持つインディー・ギター・バンドとして人気だったが、2017年にリリースされた2枚目のアルバム「ユニヴァーサル・ハイ」においては、1970年代のソウル・ミュージックに影響を受けたような音楽性にガラリと変貌を遂げていた。

 

アルバムタイトルはプロジェクト名と同じ「インセキュア・メン」であり、プロデュースを手がけたのはショーン・レノンだという。

 

アルバムを聴くよりもまず先に先行トラック「ティーンエイジ・トイズ」のビデオを視聴したのだが、ファット・ホワイト・ファミリーの元メンバーによるプロジェクトという情報から想像したのとはまったく異なったタイプの音楽であり、映像であった。

 

ソール・アダムチェウスキーにとっては、このアルバムの制作そのものがドラッグ中毒からのリハビリテーションというところもあったようである。

 

メロディーは美しく、サウンドにはどこか懐かしいエキゾチックなラウンジ・ミュージックのような雰囲気も漂う。

 

ホイットニー・ヒューストンの死を題材とした「ホイットニー・ヒューストン・アンド・アイ」という曲もあるように、全体的に悲しみの果てを突き抜けた末にたどり着いた、極北的なポップスと集いうような印象がある。

 

ポピュラー音楽の機能とは、平凡で退屈な日常をカラフルでポップに彩ってくれる他に、醜くて酷く最悪な気分から救ってくれるということも、その時に聴く人が置かれた状況によってはありうる。

 

「インセキュア・メン」は後者のような状況においても、じゅうぶん機能しそうな気がする作品である。

 

 

 

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