「WHY@DOLL クリスマス LIVE ~ほわどるからの贈り物~」に行った。 | …

i am so disappointed.

渋谷CYCLONというライブハウスには一度も行ったことがなかったので、渋谷駅からiPhoneのGoogleマップがナビゲートする通りに歩いて行った。途中までは渋谷Gladに行く道と同じだったのだが、途中からは一体そこがどこなのかもよく分からないながら、とりあえず歩いた。目的地にはすでに着いているらしいのだが、周囲にそれらしき建物が見当たらない。朝から仕事をしていたこともあり、着いた時にはもうすでに開場時刻を過ぎていて、このまま見つからなかったらどうしようかと焦りもしたのだが、単にロゴがカッコよすぎてCYCLONと読めていないだけであった。

 

 地下に向かって、入場者が列をつくっている。オンラインチケットの番号はわりと先の方だったので、もしかすると入場はすでに終わっているのではないかと思い、前の方に行こうとしたのだが、そうでもないような気がしたので、やはり最後尾に並び直した。すると、オンラインチケットの方を呼ぶ声がしたので、iPhoneの画面に表示したそれを見せ、ドリンク代の600円を支払って入場した。

 

 

 すでにかなり大勢の人たちで、会場は埋まっていた。後の方では物販も行っている。今回、WHY@DOLLは新グッズとして2種類のトートバッグとパーカーを発売したのだが、いずれもデザインがカッコよく、アーティストグッズではあるのだが、普段使いにも十分対応できるクオリティーである。ライブ会場でこれらを買うと特典券がもらえて、それでチェキを撮ったりいろいろできるのだが、この日はライブ終了後にプライベートな用事があったので、グッと我慢をしたのであった。

 

 


普段、定期公演などでは見かけないような方々も来られているようで、女性の姿もわりと目にした。最近、宇野惟正さんが書かれた「1998年の宇多田ヒカル」という著書をいまさら読んでいるのだが、アイドルやアーティストが大ブレイクするにはやはり同性の支持がどれだけ得られるかだというようなことも書かれていて、この辺りはわりと重要なのではないかという気がしている。

 

 

 

サンタクロースの帽子を被ったファンの方の姿も見られ、場内にはJ-POPのクリスマスソングが流れている。いかにもクリスマスライブらしい気分が盛り上がってきた。

アイドルのクリスマスライブといえばサンタクロースのコスチュームというイメージがあるのだが、今回のWHY@DOLLの衣装は大人っぽいドレスのようなものだと、WHY@DOLLファンの知性でありデータバンクであり、アイオライトというよりはダイヤモンドのような輝きを持つ文章でお馴染みの有名ファンの方のツイートで知っていたため、それもひじょうに楽しみであった。さらに、メンバーのはーちゃんこと浦谷はるなさんが前日に、その衣装とは妖精のようなものだと自らハードルを上げるようなツイートをしていたのであった。

開場に「Gemini」が流れ、続いてステージにWHY@DOLLの2人、ちはるんこと青木千春とはーちゃんこと浦谷はるなが登場した。都会のクリスマスの夜に相応しい大人っぽいドレスだが、WHY@DOLLの本質であるオーガニックなピュアネスがしっかりと感じられるような完璧な衣装である。この時点でつかみはオッケーであり、イントロは「ラブ・ストーリーは週末に」だ。1980年代のシティ・ポップかAORを思わせるサックスのソロ、欧米ではギルティー・プレジャーとかヨット・ロックとかいって俳諧的に楽しまれがちなこの種類の音楽を、日本のある一定数の音楽ファンはひじょうに愛好する傾向があるのだが、これらのサウンドがヒット・チャートを席巻していた頃にはまだ生れてすらいないWHY@DOLLの2人が歌詞を書き、パフォーマンスすることによって、リアルでヴィヴィッドな陶酔感を具現化することに成功している。しかも、このシチュエーション、衣装、パフォーマンス、「恋の魔法 かけられたみたい 君に惹かれていく どんな仕草も言葉も全部 I'm falling for you」という歌詞そのままの感情が確実に実感できる。

そして、MCである。アイドルになってから7回目のクリスマスだが、毎年ファンと過ごせている、というような内容である。ステージ上のクリスマスっぽい装飾は、WHY@DOLL自身が行ったようである。真っ直ぐに切ることができなくて、一部ギザギザになっているものもあるが、それもつららのようでクリスマスっぽいのではないかという話の流れで、北海道に住んでいた子供の頃には、よくつららを食べていたというトークになった。これに場内のファンの方々はかなり引いていたようだが、同じく北海道出身の私としては、あー最近の子供もつららを食べるのか、と心が和んだものである。大きなつららを取った子はヒーローとか、先生に怒られるとか、すべてが共感できすぎる。あと、クリスマスイブには大阪でライブをやっていて、夜は車での移動だったが、マネージャーがケーキを買ってくれることになったらしい。デパ地下閉店20分前というような状況で、はーちゃんがサンタクロースが載っているやつじゃなきゃ嫌だ、でも、生クリームは食べられないとかわがままを言って、なかなか決まらなかったらしい。このエピソードを受けて、「面倒くさい女でしょ?」と言うはーちゃん。だが、そこが良い。

車内でケーキのローソクの火を消す動画は、ツイッターでも公開されていた。これ以外では、回鍋肉弁当を半分に分けて食べたりしていたようである。

このMCがこの時に話されたものだったかどうかはいまとなってはすでにもう定かではないのだが、いずれにしてもライブ中のどこかでは話されていたはずである。

   

そして、アルバム「Gemini」から「Tactics」「ベクトル」「Ringing Bells」、シングル「菫アイオライト」カップリング曲の「あなただけ今晩は」、そして、最新アルバム「WHY@DOLL」から「Dreamin' Night」と、大人っぽくてカッコいい曲が続く。シティ・ポップやダンス・コンテンポラリーの影響を受け、その上でアイドルポップスとして成立もしているこの路線は、WHY@DOLLの音楽における一つの真骨頂ともいえる。とにかくこれまでいろいろなジャンルの音楽を好きで聴いてきて、アイドルの曲も好きだっったりそうでもなかったりした時期を経て、ここにたどり着いたのだなと感無量である。

 
この日はアコースティックセットによるライブもあるということで、それがまた楽しみでもあった。WHY@DOLLは度々、フルバンドやアコースティックでのライブも行っているということだが、今年の8月から現場に行きはじめた私は、まだそのいずれをも体験していなかったのである。

MCではそのことにも言及されたのだが、その前に元気な曲を何曲化やるということで、まずはアルバム「Gemini」から「GAME」である。WHY@DOLLが現在のように聴かせる曲を主流とする以前、お決まりのコールなどがあった頃の名残りを感じさせる、自己紹介的な曲である。曲の最後にちはるんとはーちゃんがそれぞれ、大きなラブレターを一人のファンにプレゼントする。

そして、「君の瞳に恋してる」である。1980年代前半にボーイズ・タウン・ギャングが大ヒットさせた曲のカバーであり、私は日本のアイドルグループ、少女隊のバージョンもわりと好きであった。当時、ディスコでこの曲がかかると、ほぼすべての女の子たちがフロアに飛び出して踊り出すほどの人気曲であった。この曲がヒットした頃、私はまだ旭川の実家で暮らしていたので、あのひんやりとした冬の朝、ラジカセから流れるこの曲を聴きながら学校に行く準備をしていたことを思い出す。いま、やはりあの寒い冬の朝を経験していたであろう北海道出身のオーガニックアイドルユニット、WHY@DOLLの歌でこの曲を聴いていることが、なんだか軽く感動的である。私がWHY@DOLLバージョンのこの曲を聴くのは、この日がはじめてであった。

続いて、WHY@DOLLのディスコアンセムこと「Magic Motion No.5」である。じつはこの日、フロアのわりと後ろの方で観ていたため、それほど熱心に振りコピなどをしていたわけではないのだが、この曲となれば体も動き出すというものである。キュートなWHY@DOLLがやるからこそすごく可愛いあの振り付けを、大人の男性ファンたちが嬉しそうに踊る。当初、このノリについて行けなさを感じてもいたのだが、いまやすっかりノリノリで踊っている。これは普段、社会で否応なしに演じることを余儀なくされている窮屈な男性性から解放されるための、自由へのダンスなのである。
 

 
続いて、いよいよアコースティックライブである。今回は5人編成ということで、メンバーの方々がステージに登場する。以前からWHY@DOLLのバンドライブに出演していたメンバーもいれば、今回、新たに加わったメンバーもいるようだ。キーボードのきよきよこと小林清美さんは、イベントで一緒になった時にオファーしたところ、快諾していただけたとのことである。

1曲目は、スタンダードなクリスマス曲、「Let It Snow!」である。やはり生バンドは良い。そして、WHY@DOLLによる英語詞でのパフォーマンスだ。ディーン・マーティンのバージョンなど聴き慣れているはずなのだが、これはこれでしっかりほわどるのレパートリーとして世界観を成立させているのが、またたまらなく良い。ところで、キーボードの小林先生こときよきよこと小林清美さんがまた本当に楽しそうにキーボードを弾いていて、ここでしばらく忘れていたピアノのお姉さんコンプレックスが突然発動し、どういうわけか気になって見たりもしていた。

そして、WHY@DOLLのクリスマスソング、「パウダースノウ」を今回はアコースティックセットで聴くことができた。小粋なジャズの影響も感じられるこの曲はアイドルポップス版いわゆる「渋谷系」リスペクトともいえる素晴らしい楽曲で、しかもアイドルポップスなのにテーマが独り身のクリスマスというのが、またたまらなく良い。それでもいわゆる自虐的な感じは一切なく、来年に向けての希望を歌っているというのがまた最高である。

MCに続いて、ワム!「ラスト・クリスマス」のカバーである。私がまだWHY@DOLLのことを知らなかった一昨年のクリスマスライブでは日本語バージョンを、昨年は英語バージョンを歌ったようだが、今回はこれをさらにバンドでやってしまうわけである。個人的な記憶としては、地元の北海道で過ごした最後のクリスマスにヒットしていた曲で、旭川の友人の家で真夜中にプロモーションビデオ(現在でいうところのMVのことを、当時はこう呼ぶのがポピュラーであった)を観ていたことを思い出す。

それをいまWHY@DOLLが歌っていだけでも感動ものなのだが、サビにおけるハーモニーが素晴らしい。この曲こそもう何度も何度も聴きまくっているはずなのだが、完全にWHY@DOLLのものにしている。
 

 

 

アコースティックライブの最後は、槇原敬之「冬がはじまるよ」のカバーである。私はこの大ヒット曲のそれほど熱心なリスナーではないのだが、もちろん知ってはいる。日本のポップスとしてひじょうに優れたキャッチーなメロディーと、どこか牧歌的な雰囲気も漂うところが、WHY@DOLLにかなり合っているのではないかと思った。

ここでアコースティックライブは終わり、いよいよクリスマスライブもラストスパートである。このようにライブハウスで行うライブはこの日が今年最後ということもあり、しっかりと楽しもうと思った。

曲はアルバム「WHY@DOLL」から「恋はシュビドゥビドゥバ!」「キミはSteady」「恋なのかな?」である。

アルバムの中でも分かりやすく、ファンからの人気も高い曲ばかりである。もちろん、ひじょうに盛り上がる。このようにラストに選ばれたことからも、2017年のWHY@DOLLを代表する曲といえば、やはり「恋なのかな?」なのであろうか。サビの振りコピや指ハートもひじょうに分かりやすく、盛り上がりやすい。十分に堪能した。
 

 

それからアンコールがあり、そこで来年の1月23日にリリースされる新曲「Show Me Your Smile」が披露された。中塚武さんの作詞・作曲・編曲、往年のジャズの影響が色濃く感じられる楽曲である。ミュージカルやディスニーといった、世界的にも王道のエンターテインメントにも通じる音楽性でありながら、その歌詞はアイドルとファンとの関係性について歌われたものだという解釈も可能である。


ある日の握手会において、はーちゃんは「Show Me Your Smile」について、ファンの人たちのことを歌っているようだと話しかけたことがあるのだが、時間切れになったのでそれ以上のことは知らない。
 
とにかく、これまたWHY@DOLLにとっては新境地ということで、これまでに発表したどの曲とも似てはいない(「パウダースノウ」に似ているという意見もあるようだが、少なくとも私の見解においては、あれはいわゆる「渋谷系」なようなものを愛好する好事家的な層に響いたと思われる一方、「Show Me Your Smile」によっては、それはずばり日本列島全体、さらには海外マーケットをも視野に入れたプロモート戦略前提としているのではないかと思ってしまうぐらい、素晴らしいものであった。。



素晴らしいライブであった。終演後、物販の列に並ぶファンの人たちの熱さが、それを物語っていたように思える。
 
この時点で、私には次の予定があったのでその場を立ち去ったのだが、おそらくものすごく幸福な状況が繰り広げられていたのではないかと、容易に想像ができる。

今年は8月にやっとこさWHY@DOLLのライブでの素晴らしさに気がついた元年であり、それ以降はライブやイベントには可能な限り、なるべく行くようにしている。今回のクリスマスライブは、その集大成といっても良いような内容であった。
 







 
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