WHY@DOLLのミニアルバム「NAMARA!!」は、2015年2月25日にリリースされたようである。メジャーデビューシングル「Magic Motion No.5」から約5ヶ月後のことである。。この3週間後、3月18日にはシングル「曖昧MOON」も発売され、リリースイベントは「NAMARA!!」と同時に行われていたようである。
タイトルの「NAMARA!!」はWHY@DOLLの出身地である北海道の方言、「なまら」から取られている。「すごく」「ひじょうに」「Very」というようなニュアンスだが、じつは元々は新潟の方言であり、北海道では1970年代に新潟出身のラジオDJが使っていたのが広まったのだという。
「NAMARA!!」のCDに付属しているブックレットにはWHY@DOLLによるライナーノーツも載っていて、収録された8曲についてちはるんとはーちゃんが分担で解説されている。それによると、なまらのことを地元の若者は略して「なんま」と言うこともあるようである。
私が北海道で生活した数十年前、「なまら」という言葉はおもに若者によって使われていたが、この「なんま」という言い方は無かったように記憶している。
このCDのブックレットには収録曲「バニラシェイク」の舞台でもある横浜で撮影されたWHY@DOLLの写真も載っていて、持っていて楽しいものになっている。また、帯の裏面には天使になったWHY@DOLLのイラストも載っている。
帯に載っているコピーは「北海道アイドルユニット、WHY@DOLL。初のミニアルバムはFUNKもSWINGもBOSSAも昇華した、”NAMARA"ステキな全8曲」というものである。
いわゆる普通のアイドルポップスとは、かなり異なった音楽性を志向していたであろうことが想像できる。当時、私はWHY@DOLLのことをまだ知らないし、もちろんこのミニアルバムも聴いてはいない。当時、一体どのように受け止められたのだろう。
それにしても、この約13ヶ月前のリリースされたシングル「サンライズ!~君がくれた希望~」から、メジャーデビューシングルの「Magic Motion No.5」をはさんでいるわけだが、かなり大きな路線変更である。
私は昨年の秋に「菫アイオライト」ではじめてWHY@DOLLの音楽を聴き、それから「Gemini」や「NAMARA!!」を聴いていった。すぐに気に入ったというか、かなりしっくりきたのである。それは一体なぜなのだろうと考えていたのだが、ポップスが基本にありながらファンクやジャズやボサノバの要素を取り入れている、そしてオルガンやホーンがフィーチャーされがちということで、かつて私が大好きだったイギリスのポップユニット、ザ・スタイル・カウンシルを思わせるところがあるからではないかと思った。
ザ。スタイル・カウンシルの中心メンバーであるポール・ウェラーはその前は、ザ・ジャムのメンバーとしてよりパンクに近い音楽をやっていた。ザ・ジャムはブルース・フォクストン、リック・バックラーとの3ピースバンドだったが、より多様なジャンルからの影響を受けた音楽性を持つザ・スタイル・カウンシルは、ミック・タルボットとの2人組であった。ザ・ジャム時代のファンの中にはこの音楽性の変化に抵抗を覚える者も少なくはなかったが、一方でより幅広い層のファンを獲得することに成功した。
アメリカにおいては、シングル「マイ・エヴァ・チェンンジング・ムーズ」がザ・ジャム時代には一度も成し得なかった全米トップ40入りを果たし、日本では当時流行していたカフェバーなどで聴かれるおしゃれな音楽として、シャーデーなどと同じような消費のされ方もしていたような気がする。
「カメラ・トーク」あたりまでのフリッパーズ・ギターには、その音楽性やイメージ戦略において、当時のザ・スタイル・カウンシルからの強い影響が感じられる。
当時、Negiccoは元ピチカート・ファイヴの小西康陽やORIGINAL LOVEの田島貴男が楽曲を提供していたこともあり、いわゆる渋谷系の影響を受けたアイドルグループというような見られ方をすることもあったようである。
「曖昧MOON」リリース当時のWHY@DOLLのインタビューを読むと、Negiccoをお手本にしようというようなことが語られていたりする。この翌年にT-Palette Recordsに移籍し、WHY@DOLLはNegiccoのレーベルメイトとなったわけである。
「NAMARA!!」は8曲入りのミニアルバムだが、1曲目の「NAMARA!!」と最後の「NAMARA!!(Reprise)」はインスト曲であり、WHY@DOLLのボーカルが入った曲は全6曲ということになる。しかし、インスト曲の「NAMARA!!」は、このミニアルバムの世界観をつくる上で、大きな役割を果たしているといえるだろう。
ザ・スタイル・カウンシルの1枚目のアルバム「カフェ・ブリュ」には、ファンクやジャズ、ボサノバなどに影響を受けた様々なタイプの曲が収録されているが、1曲目の「ミックス・ブレッシング」、最後の「カウンシル・ミーティング」はインスト曲である。
当時のWHY@DOLLの音楽が、いわゆる渋谷系おじさんなどと呼ばれる世代から熱烈に支持されたであろうことは、想像に難くない。とはいえ、WHY@DOLLのボーカルに満ち溢れる溌剌とした魅力によって、このアルバムは単に趣味の良いポップアルバムにとどまらず、新しいタイプの音楽体験を提供することに成功している。
つまり、ポピュラー音楽の歴史に対しての敬意をいだきつつも、単に懐古趣味におちいることなく、その優れた継承者としての自覚と誇りを持って、最新型へのアップデートを図っているという点において、最新アルバム「WHY@DOLL」に至るまで、その姿勢は一貫しているということであろうか。
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